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おまけ(夏の終わり~秋 編)
第62話 【精霊騎士】、卓球をする。
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地元食材をふんだんに使った、見た目も綺麗な美味しい晩ご飯を食べた後。
俺たちは卓球という屋内レジャーを楽しんでいた。
「それいっ! スマッシュなのじゃ!」
パチコン!
俺が何とか返したピン球を、幼女魔王さまが俺の陣地に軽快に打ちこんだ。
「魔王さま、ナイススマッシュでーす! ハルト様ももう少しでとれそうでしたね、次ガンバです」
ミスティが幼女魔王さまをバッチリ褒めつつ、しかし俺へのケアも忘れない絶妙な応援をしてくれる。
「くっそー、またやられたな。それにしても卓球が上手なんだな魔王さまは。ちょっと意外かも」
俺は床を転がるピン球を拾い上げながら、完全にお手上げって感じで言った。
「ふふん。妾は運動は平々凡々――どころか下から数えたほうがはるかに早いのじゃが、こういう筋力があまり要らないチマチマした感じのスポーツに限っては、割と得意なのじゃよ」
俺に褒められてまんざらでもない幼女魔王さま。
その口ぶりには、圧倒的なまでの自信がみなぎっていた。
もちろん【精霊騎士】や【精霊使い】は、精霊の力を借りることで様々な卓越した技能を使うことができる。
今も卓球精霊【ミウミマ】を使えば、ここからでもなんなく逆転することは可能だろう。
最上位の卓球精霊術【ミマパンチ】は、そう簡単には止められないはずだ。
でもそれはちょっと違う気がするんだよな。
だって今は勝負に勝つことが目的じゃなくて、みんなでわいわいと卓球を楽しむことが目的なんだから。
だから俺は精霊術を使用せずに、自分の力だけで卓球を続けることにした。
魔王さまの鋭いスピンのかかったサーブをなんとか返し、ドライブやスマッシュ、チキータといった攻撃にくらいつく――つけないことがほとんどだけど、それはそれで楽しいからヨシ!
ミスティと交代して、3人で次々と相手を変えながら、俺たちは卓球をちょっと疲れてしまうくらいに楽しんだのだった。
そしてシャワーで軽く汗を流して部屋に戻った後、俺たちは川の字に敷かれた布団に横になった。
俺がまん中で、右にミスティ、左に幼女魔王さまというポジションだ。
「ハルト様、手を繋いでもいいですか?」
小さな声でこわごわって感じで聞いてきたミスティの手が、俺の布団の中へと入ってくる。
「別に構わないよ」
ミスティの女の子らしい小さな柔らかい手を、俺は優しく握り返してあげた。
「えへへ……ハルト様の手、大きいです」
ミスティは可愛らしくつぶやくと、そのままなぜか向こうを向いてしまった。
どうしたんだろう、もしかして恥ずかしかったのかな?
「せっかくだし、魔王さまも手を繋ごうか?」
「いや、妾はいいのじゃよ」
「なに遠慮してるんだよ。ほら手を出して」
俺は幼女魔王さまの布団に手を入れると、その手を軽く握ってあげた。
「まったくハルトよ、こういうのはミスティにだけしてあげるのが良いと妾は思うのじゃが?」
「なに言ってんだよ。ミスティも魔王さまも俺の大事なパーティの仲間――家族なんだから」
「ふぅむ……ま、言いたいことはなくもないのじゃが、今はそれでいいかの。せっかくの3人で過ごす夜に無粋な言葉をかわすというのは、あまりに興が覚めるというものじゃからの」
「……?」
最後はちょっとよくわからなかったんだけど、そのまま俺たちは川の字で手を繋いだままで小声でいろんな話をして。
そしていつの間にか誰からともなく寝入ってしまっていたのだった――。
翌日と翌々日も温泉に入ったり、美味しいご飯を食べたり、周囲を散策したり、ビリヤードをしたりと1日中温泉宿を楽しんで。
俺たちは温泉旅館を後にした。
こうして今回の温泉旅行は、3人の絆を大いに深める形で幕を閉じたのだった。
ーFin-
~~レアジョブおまけエピソード「夏の終わり~秋 編」について~~
「夏祭り編」「温泉宿で卓球編」は楽しんでいただけましたでしょうか?(*'▽')
長編を読み終えていただきありがとうございました。
温かい応援、感謝してもしきれません。
3人の物語はきっとこれからも続いていくことでしょう――。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
あらためて御礼申し上げます。
俺たちは卓球という屋内レジャーを楽しんでいた。
「それいっ! スマッシュなのじゃ!」
パチコン!
俺が何とか返したピン球を、幼女魔王さまが俺の陣地に軽快に打ちこんだ。
「魔王さま、ナイススマッシュでーす! ハルト様ももう少しでとれそうでしたね、次ガンバです」
ミスティが幼女魔王さまをバッチリ褒めつつ、しかし俺へのケアも忘れない絶妙な応援をしてくれる。
「くっそー、またやられたな。それにしても卓球が上手なんだな魔王さまは。ちょっと意外かも」
俺は床を転がるピン球を拾い上げながら、完全にお手上げって感じで言った。
「ふふん。妾は運動は平々凡々――どころか下から数えたほうがはるかに早いのじゃが、こういう筋力があまり要らないチマチマした感じのスポーツに限っては、割と得意なのじゃよ」
俺に褒められてまんざらでもない幼女魔王さま。
その口ぶりには、圧倒的なまでの自信がみなぎっていた。
もちろん【精霊騎士】や【精霊使い】は、精霊の力を借りることで様々な卓越した技能を使うことができる。
今も卓球精霊【ミウミマ】を使えば、ここからでもなんなく逆転することは可能だろう。
最上位の卓球精霊術【ミマパンチ】は、そう簡単には止められないはずだ。
でもそれはちょっと違う気がするんだよな。
だって今は勝負に勝つことが目的じゃなくて、みんなでわいわいと卓球を楽しむことが目的なんだから。
だから俺は精霊術を使用せずに、自分の力だけで卓球を続けることにした。
魔王さまの鋭いスピンのかかったサーブをなんとか返し、ドライブやスマッシュ、チキータといった攻撃にくらいつく――つけないことがほとんどだけど、それはそれで楽しいからヨシ!
ミスティと交代して、3人で次々と相手を変えながら、俺たちは卓球をちょっと疲れてしまうくらいに楽しんだのだった。
そしてシャワーで軽く汗を流して部屋に戻った後、俺たちは川の字に敷かれた布団に横になった。
俺がまん中で、右にミスティ、左に幼女魔王さまというポジションだ。
「ハルト様、手を繋いでもいいですか?」
小さな声でこわごわって感じで聞いてきたミスティの手が、俺の布団の中へと入ってくる。
「別に構わないよ」
ミスティの女の子らしい小さな柔らかい手を、俺は優しく握り返してあげた。
「えへへ……ハルト様の手、大きいです」
ミスティは可愛らしくつぶやくと、そのままなぜか向こうを向いてしまった。
どうしたんだろう、もしかして恥ずかしかったのかな?
「せっかくだし、魔王さまも手を繋ごうか?」
「いや、妾はいいのじゃよ」
「なに遠慮してるんだよ。ほら手を出して」
俺は幼女魔王さまの布団に手を入れると、その手を軽く握ってあげた。
「まったくハルトよ、こういうのはミスティにだけしてあげるのが良いと妾は思うのじゃが?」
「なに言ってんだよ。ミスティも魔王さまも俺の大事なパーティの仲間――家族なんだから」
「ふぅむ……ま、言いたいことはなくもないのじゃが、今はそれでいいかの。せっかくの3人で過ごす夜に無粋な言葉をかわすというのは、あまりに興が覚めるというものじゃからの」
「……?」
最後はちょっとよくわからなかったんだけど、そのまま俺たちは川の字で手を繋いだままで小声でいろんな話をして。
そしていつの間にか誰からともなく寝入ってしまっていたのだった――。
翌日と翌々日も温泉に入ったり、美味しいご飯を食べたり、周囲を散策したり、ビリヤードをしたりと1日中温泉宿を楽しんで。
俺たちは温泉旅館を後にした。
こうして今回の温泉旅行は、3人の絆を大いに深める形で幕を閉じたのだった。
ーFin-
~~レアジョブおまけエピソード「夏の終わり~秋 編」について~~
「夏祭り編」「温泉宿で卓球編」は楽しんでいただけましたでしょうか?(*'▽')
長編を読み終えていただきありがとうございました。
温かい応援、感謝してもしきれません。
3人の物語はきっとこれからも続いていくことでしょう――。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
あらためて御礼申し上げます。
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