のんびり領主とモフモフ相棒の異世界スローライフ

ポテトフライ

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「第三十五話」リューク男爵からの急報

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 数日後、アルトの腰の痛みもだいぶ癒え、いつものように領民の相談を受け始めた頃だった。突然、王都の使者セスがまたもや訪れる。驚いて応接室へ通すと、セスは少し疲労の色を浮かべながら深い礼をする。

「アルト様、ご無沙汰しております。お怪我の具合は大丈夫でしょうか? 実は、またリューク男爵領で動きがあって……」

「大丈夫だよ。少し打撲しただけだから。リューク男爵領で何かあったのか?」

 アルトが問いかけると、セスはうなずいて書簡を手渡す。そこには男爵の紋章が押され、急ぎの用件を示す印が記されていた。アルトはさっそく封を切り、文面を読み始める。

「フィンダレン領のアルト殿、先日、私の領地で再び倉庫荒らしらしき痕跡が発見された。今度は少量だが薬品や宝飾品の一部が紛失している。以前より不審な車輪跡も見つかり、密輸の  可能性が高いと睨んでいる。
 また、境界付近の巡回を強化するにあたり、以前にアルト殿が提案していた『共同見回り』について本格的に協議したい。王都のセス殿にも相談し、そちらへ出向く用意がある。
 もし協力の意思があるなら、返信をいただきたい。日程を合わせ、直接そちらを訪問する。
 リューク男爵」

 アルトは読み終えて、思わず「ほう……」と声を漏らす。男爵はついに具体的な行動を起こす気になったのか。侵入者や倉庫荒らしの被害が再発し、限界に来ているのかもしれない。

「密輸か……。やはり境界の抜け道を使って何者かが行き来しているのかもね。宝飾品や薬品を狙われたら、男爵も黙っていられないだろう」

「ええ。男爵も『フィンダレン領との共同見回り隊を作れば、少なくとも境界での監視網は強化できる』と考えているようです。アルト様、どうされますか?」

 セスが訊ねると、アルトは一も二もなく「受けよう」と決めた。以前に自分から提案していたことだし、これで領地を守れるなら願ってもない。

「もちろん、手を組みましょう。うちの領民にも協力を呼びかけるよ。日程を決めて、男爵が来るならちゃんともてなしも用意しておかないと」

「ありがとうございます。急ぎで日程を調整しましょう」

 アルトは笑顔でそう答え、セスとともに具体的な計画を練り始めた。
 ――これで、リューク男爵との関係が少しでも前進するなら幸いだ。だが同時に、不審な倉庫荒らし事件はまだ続いている。密輸ルートの存在が浮上し、侵入者の目的は単なる嫌がらせではなく“利益”だと考えられるようになってきた。
 もしフィンダレン領にもその影響が及ぶなら、今こそしっかりと備えなくてはならない。ルルや領民の安全を守るためにも、のんびりしてばかりはいられない――。
 アルトの胸には、いつになく強い決意が芽生えていた。
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