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「第三十四話」心に残る違和感
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イノシシとの騒動で、アルトたちは予定より早めに森を引き上げることにした。アルトの腰の痛みはそこまで深刻ではなさそうだが、一応安静にしておきたい。ラティムは途中で薬草を見つけてきて、手際よく湿布を作ってくれた。
村に戻り、若者たちの助けもあって、アルトは屋敷の応接室で横になり、しばし休息を取る。ルルは枕元で心配そうに「きゅう……」と声を出している。
「ありがとな、ルル。お前のおかげで助かったよ。腰は少し痛むけど、命に別状はないから」
アルトが笑みを見せると、ルルは申し訳なさそうに頭を垂れる。ラティムはそばでメモを取りながら、今しがたの出来事を整理しているようだ。
「アルト様、あれはやはりルルちゃんの中に秘められた力じゃないかと……。もしかしたら、先天的に魔力を備えた生き物なのかもしれません」
「……そうかもしれない。俺もあの光景は初めてだったけど、何か驚いたよ。でも、だからと言って、どうすればいいんだろう。ルルはルルのままだし、何も変わらない……」
アルトは正直、戸惑いを隠せない。もしルルに“魔力”のようなものがあるなら、それをどう扱うべきなのか。ルル本人(本“獣”)が望んでいるわけでもないし、アルトとしては今まで通り相棒でいてくれればいいと思っている。
しかし、「幻獣を探す者」や「密猟を狙う者」がいるなら、この力が知られれば狙われるかもしれない。ラティムは今のところ害意は感じられないが、彼の研究仲間や、噂を聞きつけた別の人物が押し寄せてくる可能性だってある。
「そうですね……。僕もあくまで学者として興味はありますが、ルルちゃんが望まないなら踏み込んだ研究はしません。ただ、もしアルト様がよければ、王都の図書館に古い文献をあたってみるのもありかもしれませんよ。何かしら手がかりがあるかも……」
「うーん、そうか。今はいいけど、そのうち必要になるかもしれない。ありがとう、ラティム」
アルトはラティムの提案に感謝しつつ、今すぐどうこうする気はなかった。ルルを守りたい。その気持ちが一番強いが、同時にルルの力を否定する気持ちもない。もしルル自身が何かを望むなら、それを応援したいとも思う。
ラティムはそんなアルトの心境を察したのか、「とにかく無理はしないで休んでください」と言って部屋を出ていった。残されたアルトとルル。小さな相棒を撫でながら、アルトはそっと目を閉じる。
あのイノシシ事件で垣間見えた、ルルの力――。これが、のんびりとしたフィンダレン領で今後どんな影響をもたらすのか。何も起こらなければいいが……。そう考えつつ、アルトは眠りに落ちていった。
村に戻り、若者たちの助けもあって、アルトは屋敷の応接室で横になり、しばし休息を取る。ルルは枕元で心配そうに「きゅう……」と声を出している。
「ありがとな、ルル。お前のおかげで助かったよ。腰は少し痛むけど、命に別状はないから」
アルトが笑みを見せると、ルルは申し訳なさそうに頭を垂れる。ラティムはそばでメモを取りながら、今しがたの出来事を整理しているようだ。
「アルト様、あれはやはりルルちゃんの中に秘められた力じゃないかと……。もしかしたら、先天的に魔力を備えた生き物なのかもしれません」
「……そうかもしれない。俺もあの光景は初めてだったけど、何か驚いたよ。でも、だからと言って、どうすればいいんだろう。ルルはルルのままだし、何も変わらない……」
アルトは正直、戸惑いを隠せない。もしルルに“魔力”のようなものがあるなら、それをどう扱うべきなのか。ルル本人(本“獣”)が望んでいるわけでもないし、アルトとしては今まで通り相棒でいてくれればいいと思っている。
しかし、「幻獣を探す者」や「密猟を狙う者」がいるなら、この力が知られれば狙われるかもしれない。ラティムは今のところ害意は感じられないが、彼の研究仲間や、噂を聞きつけた別の人物が押し寄せてくる可能性だってある。
「そうですね……。僕もあくまで学者として興味はありますが、ルルちゃんが望まないなら踏み込んだ研究はしません。ただ、もしアルト様がよければ、王都の図書館に古い文献をあたってみるのもありかもしれませんよ。何かしら手がかりがあるかも……」
「うーん、そうか。今はいいけど、そのうち必要になるかもしれない。ありがとう、ラティム」
アルトはラティムの提案に感謝しつつ、今すぐどうこうする気はなかった。ルルを守りたい。その気持ちが一番強いが、同時にルルの力を否定する気持ちもない。もしルル自身が何かを望むなら、それを応援したいとも思う。
ラティムはそんなアルトの心境を察したのか、「とにかく無理はしないで休んでください」と言って部屋を出ていった。残されたアルトとルル。小さな相棒を撫でながら、アルトはそっと目を閉じる。
あのイノシシ事件で垣間見えた、ルルの力――。これが、のんびりとしたフィンダレン領で今後どんな影響をもたらすのか。何も起こらなければいいが……。そう考えつつ、アルトは眠りに落ちていった。
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