竜王陛下、番う相手、間違えてますよ

てんつぶ

文字の大きさ
4 / 27

俺にプレゼンなんて無理なんです

 塩気の無い肉の塊を平らげたあと、ルンルンちゃんがお茶を入れてくれた。
 この家には小さいキッチンがちゃんと付いているのだ。

 そして俺はお茶をすすりながらふと思い出した。
 やはりまだ、俺が番いだと勘違いされているこの状況を。
 竜王はまだ俺をナージュだと勘違いして、番いへの求愛を給餌行動として表現している。
 あれから全く姿を現さないのが気になるが、ルンルンちゃんとミルさんの話を聞くに、給餌用の魔獣狩りか料理でもしてるんだろう。

 もうミルさんに言っても埒が明かないので、見た目美少女で中身がオジサマのルンルンちゃんに訴えることにした。
 ひょっとしたらメイド頭とかかもしれないし。

「ル……メイドさん。聞いてほしいんです。俺、間違って連れてこられただけで、本当に竜王陛下の番いじゃないんです。」

「ほう……?」

 なぜかルンルンちゃんの目がスッと細められた。
 えっ、俺名前には触れてないよ?
その目に剣呑なものを感じたが、ここで怯むわけにはいかない。

「国では俺の双子の姉が竜王陛下の番いだと、俺達が生まれたときから言われて来たんです!……あっ、毎年竜王陛下からドレスや宝石も姉に贈られていました!」

「……続けよ」

「姉は今でも竜王陛下を待ってると思うんです。…ちょっと現実的過ぎる姉ですが、生まれたときから竜王妃になるのを見据えてしっかり勉強……は、してなかったな。あっいや、礼儀作法とか……も、微妙って聞いたな。えっと、何かしら良いところがあっていい感じに頑張れる姉ですので是非とも誰か迎えに行ってください!」

 そうだ、俺が誤解を受けているせいで帰れないなら、番いである姉のナージュを連れてきて貰えばいいんだ!
 思い付きにしてはこれ、めちゃくちゃいい案じゃね!?
 二人並べばどっちが番いかなんてわかるだろ!?

「あ~……番い殿ぉ……」

 ミルさんが苦虫をかみ潰して飲み込んで歯磨きを許されなかったような顔をしている。
 いつ見ても飄々としているこの人にとっては珍しい。

「今それ言わないで欲しかったなぁ~……なんてねぇ……」

「ミルよ」

 ドスの聞いたルンルンちゃんの声が響く。
極々小さな声なのに、妙に通る声だ。
 俺は寒気を感じて、ブルリと身震いした。

「ミル、番い殿の言っている事に相違は無いか?」

「ハイぃ…」

 ミルさんが目を泳がせている。
 何かやましい事があるのか。

「あの愚か者は番い殿に何の説明もしておらぬと。よもやお前までそれに便乗したのか。
 ま、さ、か?お前ともあろうものが?番い殿に説明もせぬまま同意を得られぬまま連れてきたとは言わぬよなぁ?」

 悪い顔!
 ルンルンちゃん悪い笑顔が出てるよぉ…。

 言われたら俺ホントに出会ってすぐに連れてこられたなぁ。
 その辺のくだりは事実だよね。
 なんか……キ、キスされたけど!!

「…ん?そう言えばミルさん、竜王陛下からつるっとした塊(かたまり)飲まされたけど、あれってなんだったの?」
 
 そうミルさんを見ると「あちゃー」って顔をしてる。
 え、俺マズイこと聞いた?
 えっ、なんかこの部屋寒い。

 えっえっ、なんか床が薄く氷が張ってる!?
 欠陥住宅!?
 今冬じゃないけど!

「ミル、お主はあとで王宮裏に来い」

「はぁい……」

 なんなの、王宮裏って体育館裏みたいな扱いなの?
 シメられるの?まさかミルさんこの美少女にシメられるの??ヤキ入れられるの?
 それ程の何かをしちゃってるってこと?

「なお、番い殿は後ほど我の部屋に来るように」

 あっ、これはお前もシメるぞって顔だわ。

 あのルンルンちゃんの見事な蹴りを思い出してしまった俺だった。


感想 15

あなたにおすすめの小説

王子に彼女を奪われましたが、俺は異世界で竜人に愛されるみたいです?

キノア9g
BL
高校生カップル、突然の異世界召喚――…でも待っていたのは、まさかの「おまけ」扱い!? 平凡な高校生・日当悠真は、人生初の彼女・美咲とともに、ある日いきなり異世界へと召喚される。 しかし「聖女」として歓迎されたのは美咲だけで、悠真はただの「付属品」扱い。あっさりと王宮を追い出されてしまう。 「君、私のコレクションにならないかい?」 そんな声をかけてきたのは、妙にキザで掴みどころのない男――竜人・セレスティンだった。 勢いに巻き込まれるまま、悠真は彼に連れられ、竜人の国へと旅立つことになる。 「コレクション」。その奇妙な言葉の裏にあったのは、セレスティンの不器用で、けれどまっすぐな想い。 触れるたび、悠真の中で何かが静かに、確かに変わり始めていく。 裏切られ、置き去りにされた少年が、異世界で見つける――本当の居場所と、愛のかたち。

【8話完結】魔王討伐より、不機嫌なキミを宥める方が難易度「SSS」なんだが。

キノア9g
BL
世界を救った英雄の帰還先は、不機嫌な伴侶の待つ「絶対零度」の我が家でした。 あらすじ 「……帰りたい。今すぐ、愛する彼のもとへ!」 魔王軍の幹部を討伐し、王都の凱旋パレードで主役を務める聖騎士カイル。 民衆が英雄に熱狂する中、当の本人は生きた心地がしていなかった。 なぜなら、遠征の延長を愛する伴侶・エルヴィンに「事後報告」で済ませてしまったから……。 意を決して帰宅したカイルを迎えたのは、神々しいほどに美しいエルヴィンの、氷のように冷たい微笑。 機嫌を取ろうと必死に奔走するカイルだったが、良かれと思った行動はすべて裏目に出てしまい、家庭内での評価は下がる一方。 「人類最強の男に、家の中まで支配させてあげるもんですか」 毒舌、几帳面、そして誰よりも不器用な愛情。 最強の聖騎士といえど、愛する人の心の機微という名の迷宮には、聖剣一本では太刀打ちできない。 これは、魔王討伐より遥かに困難な「伴侶の機嫌取り」という最高難易度クエストに挑む、一途な騎士の愛と受難の記録。 全8話。

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

【8話完結】効率厨の転生魔導師は、あふれ出る魔力を持て余す騎士団長を「自律型・魔力炉」として利用したいだけ

キノア9g
BL
「貴方は私の『生命維持基盤』です。壊れたら困ります」 「ああ、俺もお前なしでは生きていけない……愛している」 (※会話は噛み合っていません) あらすじ 王宮魔導師レイ・オルコットには、前世の記憶がある。 彼の目的はただ一つ。前世の知識(エアコン・冷蔵庫・温水洗浄便座)を再現し、快適な引きこもりライフを送ること。 しかし、それらを動かすには自身の魔力が絶望的に足りなかった。 そんなある日、レイは出会う。 王国の騎士団長にして「歩く天変地異」と恐れられる男、ジークハルトを。 常に魔力暴走の激痛に苦しむ彼を見て、レイは歓喜した。 「なんて燃費の悪い……いや、素晴らしい『自律型・高濃度魔力炉(バッテリー)』だ!」 レイは「治療」と称して彼に触れ、溢れ出る魔力を吸い取って家電を動かすことに成功する。 一方、長年の痛みから解放されたジークハルトは、レイの事務的な接触を「熱烈な求愛」と勘違いし、重すぎる執着を向け始めて――? 【ドライな効率厨魔導師(受) × 愛が重たい魔力過多な騎士団長(攻)】 利害の一致から始まる、勘違いと共依存のハッピーエンドBL。 ※主人公は攻めを「発電所」だと思っていますが、攻めは結婚する気満々です。

最弱白魔導士(♂)ですが最強魔王の奥様になりました。

はやしかわともえ
BL
のんびり書いていきます。 2023.04.03 閲覧、お気に入り、栞、ありがとうございます。m(_ _)m お待たせしています。 お待ちくださると幸いです。 2023.04.15 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m 更新頻度が遅く、申し訳ないです。 今月中には完結できたらと思っています。 2023.04.17 完結しました。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます! すずり様にてこの物語の短編を0円配信しています。よろしければご覧下さい。

【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)

てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。 言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち――― 大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡) 20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

【8話完結】いじめられっ子だった僕が、覚醒したら騎士団長に求愛されました

キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。 けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。 そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。 なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」 それが、すべての始まりだった。 あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。 僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。 だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。 過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。 これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。 全8話。