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僕にはずっと好きな友人がいた。 20230615
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僕にはずっと好きな友人がいた。
でも友人は別の女の子に片思いをしていた。
それが面白くなくて、応援しつつもからかったりしたけれど、なんと友人は上手いことその人とくっついてしまった。
幸せオーラ全開で、つぎはお前の番だななんて笑う。
友人以上に好きなやつなんて出来るわけない。いつからか一晩限りの関係ばかり繰り返しているうちに、友人は結婚してしまった。勿論自分以外の、女と。
スピーチを頼まれたけど誰がやるかバカと断って、当日は二次会で飲んだくれた。
翌朝気がつくと隣りに知らない男が寝ている。
男は友人の弟だった。
その上僕の、友人への気持ちも知っていた。ばらさない代わりにこの関係を続けようと提案されて、僕には断ることが出来なかった。
少し友人に似たその男は、声だけはそっくりで。
僕を苗字でしか呼ばない友人と違い、少し掠れた声で下の名前を呼ぶのだ。
そんな関係が何年も続く。ホテル代が勿体ないからとお互いの家を行き来し、時には何もしない夜もあった。脅されて始まったはずのこの関係は随分心地よい。
その日も昼食後、ウトウトと微睡んでいるとふいに名前を呼ばれた。目を開けることも億劫で、甘えるように腕を伸ばす。
触れるだけのぎこちないキスに違和感を感じて目を開けると、そこに居たのは男の兄である、かつての友人だった。
そしてタイミング良く、外に出ていたらしい弟の方まで帰ってきた。
友人は「昔から俺を好きだっただろう?」と言う。聞けば離婚したそうだ。
動揺する僕に弟は「良かったな」と告げる。僕は腹が立った。その程度の関係だったと言われたようで。気がつけば男の胸ぐらを掴んで「今更お前がそれを言うのか!」と叫んでいた。寂しい夜に傍にいてくれたのも、穏やかに過ごすだけの日々を教えたのも、お前のくせに。
殴りかけて、だけど男に易々と防がれた。そして力無さげに笑う男は「兄貴の面影を探されるのもキツイもんだ」なんて言う。
最初こそ脅しから始まり、友人と似た部分を探したかもしれない。だけど一緒に過ごした間、見ていたのは誰でもない、この男だけだと言うのに。
でも確かに気持ちを伝えたことなんかなかった。始まりは最悪な、友達以上恋人未満だ。
自分も男も結局、諦めが悪くて不器用な所が似ているのだと気がつく。だけど嫌な気持ちじゃない。
ごく自然に「僕が好きなのはお前だよ」と伝えると、目をまん丸にした男が愛おしい。
蚊帳の外だった友人が慌てた様子で「俺の事、好きだっただろ?」と言った。好きだったよ、昔はね。そう言うと項垂れて帰って行った。
弟である男は、昔から兄にコンプレックスを抱いていたらしい。だからそんな兄を好きだとバレバレの僕をセフレにする事で溜飲を下げるつもりだったという。
「でも可愛すぎて無理だった」顔を赤くしながらそんな事を言われたら、許すしかない。
その後、僕たちの関係は今までとあまり変わらなかった。お互いの家でダラダラ過ごしたり、たまに話題の場所に遊びに行ったり。体を繋げたり、ただくっついて眠ったり。
男から「結局、ずっと前から恋人みたいなことしてたな」と言われて確かにそうだと笑った。
ただそこに「好きだよ」と言葉を加えることが許されたのだ。
おしまい
でも友人は別の女の子に片思いをしていた。
それが面白くなくて、応援しつつもからかったりしたけれど、なんと友人は上手いことその人とくっついてしまった。
幸せオーラ全開で、つぎはお前の番だななんて笑う。
友人以上に好きなやつなんて出来るわけない。いつからか一晩限りの関係ばかり繰り返しているうちに、友人は結婚してしまった。勿論自分以外の、女と。
スピーチを頼まれたけど誰がやるかバカと断って、当日は二次会で飲んだくれた。
翌朝気がつくと隣りに知らない男が寝ている。
男は友人の弟だった。
その上僕の、友人への気持ちも知っていた。ばらさない代わりにこの関係を続けようと提案されて、僕には断ることが出来なかった。
少し友人に似たその男は、声だけはそっくりで。
僕を苗字でしか呼ばない友人と違い、少し掠れた声で下の名前を呼ぶのだ。
そんな関係が何年も続く。ホテル代が勿体ないからとお互いの家を行き来し、時には何もしない夜もあった。脅されて始まったはずのこの関係は随分心地よい。
その日も昼食後、ウトウトと微睡んでいるとふいに名前を呼ばれた。目を開けることも億劫で、甘えるように腕を伸ばす。
触れるだけのぎこちないキスに違和感を感じて目を開けると、そこに居たのは男の兄である、かつての友人だった。
そしてタイミング良く、外に出ていたらしい弟の方まで帰ってきた。
友人は「昔から俺を好きだっただろう?」と言う。聞けば離婚したそうだ。
動揺する僕に弟は「良かったな」と告げる。僕は腹が立った。その程度の関係だったと言われたようで。気がつけば男の胸ぐらを掴んで「今更お前がそれを言うのか!」と叫んでいた。寂しい夜に傍にいてくれたのも、穏やかに過ごすだけの日々を教えたのも、お前のくせに。
殴りかけて、だけど男に易々と防がれた。そして力無さげに笑う男は「兄貴の面影を探されるのもキツイもんだ」なんて言う。
最初こそ脅しから始まり、友人と似た部分を探したかもしれない。だけど一緒に過ごした間、見ていたのは誰でもない、この男だけだと言うのに。
でも確かに気持ちを伝えたことなんかなかった。始まりは最悪な、友達以上恋人未満だ。
自分も男も結局、諦めが悪くて不器用な所が似ているのだと気がつく。だけど嫌な気持ちじゃない。
ごく自然に「僕が好きなのはお前だよ」と伝えると、目をまん丸にした男が愛おしい。
蚊帳の外だった友人が慌てた様子で「俺の事、好きだっただろ?」と言った。好きだったよ、昔はね。そう言うと項垂れて帰って行った。
弟である男は、昔から兄にコンプレックスを抱いていたらしい。だからそんな兄を好きだとバレバレの僕をセフレにする事で溜飲を下げるつもりだったという。
「でも可愛すぎて無理だった」顔を赤くしながらそんな事を言われたら、許すしかない。
その後、僕たちの関係は今までとあまり変わらなかった。お互いの家でダラダラ過ごしたり、たまに話題の場所に遊びに行ったり。体を繋げたり、ただくっついて眠ったり。
男から「結局、ずっと前から恋人みたいなことしてたな」と言われて確かにそうだと笑った。
ただそこに「好きだよ」と言葉を加えることが許されたのだ。
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