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それこそ姫扱いでチヤホヤ育てた 20230608
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姫くんは年の離れた男兄弟に可愛がられて育った末っ子だ。可愛すぎる容姿の弟に兄達は、それこそ姫扱いでチヤホヤ育てた。近所の幼なじみくんはそんな姫くんと幼稚園児から一緒で、まるでナイトのようだった。
実際、高学年になると幼なじみくんは姫くんに告白してた。
姫くんは嬉しかったけど、それ以上に恥ずかしくて素直になれなくて、幼なじみくんを振った。「こんな可愛い僕と、幼なじみだからって付き合える訳ないでしょ!」照れ隠しに随分酷いことを言ってしまって後悔したけど、幼なじみくんは「そうだよね」と微笑んで終わった。
だけどそれからも2人の関係性は変わらず、朝晩の送迎と学校での世話焼きを幼なじみくんは欠かすことがなかった。
そんな2人は同じ高校へ進学する。クラスは離れたけど相変わらず甲斐甲斐しい幼なじみに、姫くんは実は恋してた。昔振ったけ素直になれないままなのだ。
だけど結局タイミングが掴めずに3年生になった姫くん。告白してくる男女を断りまくってる。同クラの同級生くんはそんな姫くんの気持ちに気づいた上で「じゃー代わりに俺と付き合お」なんて言ってくる。
「当て馬役だって。付き合ってるって宣言したら幼なじみだって慌てるだろ」
自分から告白できないなら、させるように仕向けよう。そんな同級生くんの提案に乗った。
早速同級生くんに腰を抱かれながら幼なじみくんのクラスに向かう。「付き合うことになったから」そう宣言すると幼なじみくんはびっくりした顔をした。姫くんはほくそ笑む。
「そうなんだ?おめでとう」だけど返ってきた言葉は予想と違って。「俺もだいぶ前から彼女がいるんだ」姫くんの知らないところで幼なじみくんが恋人を作っていた。
「む、昔僕に告白してきた、よね」姫くんが震える声で聞くと「あの頃姫くんは美少女だったからね」「流石に今はないかな」なんてあっさり笑う。姫くんの顔はもう真っ青だ。倒れそうになる体を同級生くんに引き寄せられる。
「これから送迎は俺が代わりにやろうか」「助かるよ。姫くんちの兄ちゃんたち怖くて逆らえなかったんだよね」彼女との時間が増えると幼なじみくん。
自分を大事にしてくれたと思っていたのは兄達からの命令で、過去の告白は気の迷いだったように言われて、ポタポタ涙を零す姫くん。
同級生くんはそれに気づいて、皆から隠すように抱き寄せた。「んじゃ、幼なじみくんはお役目ごめんって事で」そう言って姫くんとクラスを出た。
スンスンと泣く姫くんはなだめて貰いながら、その日は家に送ってもらった。兄達に見つかって「誰だお前」「彼氏です?明日から送迎します」で家中大騒ぎ。
この年まで恋愛の浮いた話がなかった末っ子の恋人を、家族総出で歓迎した。
学校でも家でも宣言してしまってこうなってくると嘘だと言い出せなくなる。姫くんは同級生くんにお願いして、嘘の恋人の振りをして貰うことにした。
長年付き従ってくれた幼なじみくんに比べると、同級生くんは姫くんの扱いが雑だった。送迎するっていったのに、寝坊して来れない事の方が多くて、結局姫くんが迎えに行くようになる。
帰りだって部活がある日は待たされるから退屈だった。
それでも同級生くんの傍は気が楽で、幼なじみくんとも違うこの関係を姫くんは大切に感じた。
夏休み明けのある日、姫くんは幼なじみくんちに呼ばれた。まさか彼女と別れて僕と付き合いたいとか?
だけど「彼女が妊娠したから大学に行かずに公務員になるつもり」と打ち明けられた。
姫くんはそれになんて答えたか覚えてないまま、気がついたら同級生くんの家に行った。一通り話を聞いた同級生くんは「それで姫くんはどう思ったんだよ。やっぱあいつが好きなのか?」
姫くんは考えた。
ショックだったけど、自分の気持ちが分からなかった。自分の「好き」で言うなら同級生くんだってもう好きだ。それに幼なじみくんを彼女から奪いたいなんて思った事もない。
混乱しながら伝えると、同級生くんはぎゅっと姫くんを抱きしめた。初めてのハグだ。
姫くんは自分でもビックリするくらいドキドキしていた。抱きしめられる事なんて兄達で慣れてるのに。
「嘘のカレシはもう無理。本物のカレシにしてくれ」なんて囁かれる。
断ったら、きっとこの関係は終わってしまう。だけど自分が恋愛として同級生くんを好きなのか、姫くんは分からなかった。打算で始まった嘘の関係を、また自分の気持ちに嘘をついて打算で続けていいわけが無い。
姫くんは、断った。正直にその気持ちを同級生くんに伝えた。酷い人間だと自分でも思ったけど、同級生くんには嘘をつきたくなかった。
だけどそんな決死の覚悟をした姫くんに、同級生くんはあっけらかんと言い放つ。
「嫌いじゃないなら良いじゃん。てかむしろ、嘘つきたくない位、俺の事もう好きなんじゃねーの?」なんてニカッと笑われて。
姫くんは少し考えて、それから唐突に自分の気持ちに気がついた。
真っ赤になる姫くんを、同級生くんはさらに強く抱き寄せた。
少し帰りが遅くなった姫くんを送って、兄達に少し小言を言われたけれど。2人は顔を見合せて、幸せそうに笑ったのだった。
終
実際、高学年になると幼なじみくんは姫くんに告白してた。
姫くんは嬉しかったけど、それ以上に恥ずかしくて素直になれなくて、幼なじみくんを振った。「こんな可愛い僕と、幼なじみだからって付き合える訳ないでしょ!」照れ隠しに随分酷いことを言ってしまって後悔したけど、幼なじみくんは「そうだよね」と微笑んで終わった。
だけどそれからも2人の関係性は変わらず、朝晩の送迎と学校での世話焼きを幼なじみくんは欠かすことがなかった。
そんな2人は同じ高校へ進学する。クラスは離れたけど相変わらず甲斐甲斐しい幼なじみに、姫くんは実は恋してた。昔振ったけ素直になれないままなのだ。
だけど結局タイミングが掴めずに3年生になった姫くん。告白してくる男女を断りまくってる。同クラの同級生くんはそんな姫くんの気持ちに気づいた上で「じゃー代わりに俺と付き合お」なんて言ってくる。
「当て馬役だって。付き合ってるって宣言したら幼なじみだって慌てるだろ」
自分から告白できないなら、させるように仕向けよう。そんな同級生くんの提案に乗った。
早速同級生くんに腰を抱かれながら幼なじみくんのクラスに向かう。「付き合うことになったから」そう宣言すると幼なじみくんはびっくりした顔をした。姫くんはほくそ笑む。
「そうなんだ?おめでとう」だけど返ってきた言葉は予想と違って。「俺もだいぶ前から彼女がいるんだ」姫くんの知らないところで幼なじみくんが恋人を作っていた。
「む、昔僕に告白してきた、よね」姫くんが震える声で聞くと「あの頃姫くんは美少女だったからね」「流石に今はないかな」なんてあっさり笑う。姫くんの顔はもう真っ青だ。倒れそうになる体を同級生くんに引き寄せられる。
「これから送迎は俺が代わりにやろうか」「助かるよ。姫くんちの兄ちゃんたち怖くて逆らえなかったんだよね」彼女との時間が増えると幼なじみくん。
自分を大事にしてくれたと思っていたのは兄達からの命令で、過去の告白は気の迷いだったように言われて、ポタポタ涙を零す姫くん。
同級生くんはそれに気づいて、皆から隠すように抱き寄せた。「んじゃ、幼なじみくんはお役目ごめんって事で」そう言って姫くんとクラスを出た。
スンスンと泣く姫くんはなだめて貰いながら、その日は家に送ってもらった。兄達に見つかって「誰だお前」「彼氏です?明日から送迎します」で家中大騒ぎ。
この年まで恋愛の浮いた話がなかった末っ子の恋人を、家族総出で歓迎した。
学校でも家でも宣言してしまってこうなってくると嘘だと言い出せなくなる。姫くんは同級生くんにお願いして、嘘の恋人の振りをして貰うことにした。
長年付き従ってくれた幼なじみくんに比べると、同級生くんは姫くんの扱いが雑だった。送迎するっていったのに、寝坊して来れない事の方が多くて、結局姫くんが迎えに行くようになる。
帰りだって部活がある日は待たされるから退屈だった。
それでも同級生くんの傍は気が楽で、幼なじみくんとも違うこの関係を姫くんは大切に感じた。
夏休み明けのある日、姫くんは幼なじみくんちに呼ばれた。まさか彼女と別れて僕と付き合いたいとか?
だけど「彼女が妊娠したから大学に行かずに公務員になるつもり」と打ち明けられた。
姫くんはそれになんて答えたか覚えてないまま、気がついたら同級生くんの家に行った。一通り話を聞いた同級生くんは「それで姫くんはどう思ったんだよ。やっぱあいつが好きなのか?」
姫くんは考えた。
ショックだったけど、自分の気持ちが分からなかった。自分の「好き」で言うなら同級生くんだってもう好きだ。それに幼なじみくんを彼女から奪いたいなんて思った事もない。
混乱しながら伝えると、同級生くんはぎゅっと姫くんを抱きしめた。初めてのハグだ。
姫くんは自分でもビックリするくらいドキドキしていた。抱きしめられる事なんて兄達で慣れてるのに。
「嘘のカレシはもう無理。本物のカレシにしてくれ」なんて囁かれる。
断ったら、きっとこの関係は終わってしまう。だけど自分が恋愛として同級生くんを好きなのか、姫くんは分からなかった。打算で始まった嘘の関係を、また自分の気持ちに嘘をついて打算で続けていいわけが無い。
姫くんは、断った。正直にその気持ちを同級生くんに伝えた。酷い人間だと自分でも思ったけど、同級生くんには嘘をつきたくなかった。
だけどそんな決死の覚悟をした姫くんに、同級生くんはあっけらかんと言い放つ。
「嫌いじゃないなら良いじゃん。てかむしろ、嘘つきたくない位、俺の事もう好きなんじゃねーの?」なんてニカッと笑われて。
姫くんは少し考えて、それから唐突に自分の気持ちに気がついた。
真っ赤になる姫くんを、同級生くんはさらに強く抱き寄せた。
少し帰りが遅くなった姫くんを送って、兄達に少し小言を言われたけれど。2人は顔を見合せて、幸せそうに笑ったのだった。
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