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第一章

8ー領地案内

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 はい、お昼ご飯も食べて午後です。
 今日のお昼ご飯は、ゴロゴロお肉の入ったシチューでした。相変わらず、レオン殿下はがっついてましたよ。

「では殿下、領地をご案内致しましょう!」

 あら、お父様やる気だわ。何故に?

「ああ、有難う。宜しく頼みます。そうだ、公爵、公爵夫人、ルルーシュア嬢も私の事はレオンとお呼び下さい。私は帝国皇子と言っても第3皇子です。此方に婿入りする身です。婚姻後は義理とはいえ息子になります。どうか、名前でお呼び下さい」

 えっ!? やっぱり殿下て婿入りしてくれるの? そうなの!? いいの!?

「まあ、殿下。嬉しい事を仰って下さいますわね。ねえ、あなた」
「しかし殿下。我が領土は魔物が出ます。しかも大型の魔物もいます。魔物にいちいち驚いていては使い物になりませんぞ」

 あらやだ、お父様ったら殿下を試してますか? 見定めているのかしら?

「ええ、先日ルルーシュア嬢にも聞きました。ミスリルリザードを倒されたとか。私には、まだそんな力量はないかも知れませんが出来る限り討伐して行きたいと思っております。ルルーシュア嬢に負けてはおれませんよ」
「まぁまぁ! 頼もしい事!」
「帝国からこちらに一人で旅する間にも魔物は出ました。しかし、私一人で楽に討伐できる程度の魔物ばかりでした。どの様な魔物が出るのか楽しみでもあります」
「勿論、魔物避けがありますので領都内には出ませんが。森や街道、海にも魔物は出ます。嫌でも討伐する事になります。しかし、無理なさらず命を守る事を最優先にお考え下さい。では、今後はレオンとお呼びしましょう」
「では私はレオン様とお呼びさせて頂きます。私の事もルルとお呼び下さい。お父様、私もご一緒したいですわ」
「そうか! お父様と一緒に行きたいか!」

 いや、そんな事は言ってないわ。

「そうか、そうか。お父様の勇姿を見せてあげような!」

 いや、本当。そんな事は全く全然言ってないわ。

「ルルーシュア、着替えてきなさい。馬で行くからな」
「はい、お父様」

 早く、早く! お着替えしなきゃ。リアンカがついてきます。

「モモ! 行くわよー!」

 魔物討伐してレベルアップするのよ!

『ルルと一緒にお出掛け?』
「魔物討伐するわよー!」
「わふっ!」
「ルル様! 無茶事しないで下さいねっ! また気を失ったりされたら……」
「リアンカ、分かっているわ!」

 はい、着替えました! 馬に乗るので、前世で言う乗馬スタイルですね。髪もポニテに結んでいます。
 お父様とレオン様とモモと厩に来ています。リアンカもまだ付いてますよ。リアンカはお留守番だけどね。
 レオン様の馬て黒毛なのね。艶々じゃん。毛並いいわねー。大事にしているのが分かるわ。
 私の馬はお父様が誕生日に下さった、白毛に立髪にだけブルーの少し混じった雄馬です。お利口さんですよ。

「そう言えばレオン様、お一人で馬で来られてお荷物も少なかったですね」

 そう、たしか手荷物程度しか持ってなかったわよね?

「あぁ、一人でルル嬢に会いに行くと言ったら宰相殿がマジックバッグをくれてな。一部屋分位は入るそうなんだよ。父上からはこの剣と防具を頂いたんだ」

 ほうほう、マジックバッグですか。作ってみたいわね。私は無限収納があるからいいんだけど。無限収納を誤魔化すのに丁度良くないかしら? ユリウスに相談してみようかしら。
 ユリウスはうちの優秀なお抱え魔導師です。執事のガイウスの息子でディアナとリアンカのお兄様なのよ。
 シルバーの髪にブルーの瞳で、ディアナと違ってとっても穏やかな頼れるお兄さんです。私の師匠みたいなもんよ。子供の頃から色んな事をユリウスに教わったわ。

「そう言えばレオン様、無限収納はなかったですか?」

 前世の記憶があるからって皆が持ってる訳じゃないのかな?

「あぁ、あるんだけどさ。ほら、昨日分かったばっかだろ。それまで知らなかったからさ」

 私も一昨日分かったばっかよ? で?

「だからさ、まだレベルが低いから無限て言うよりアイテムボックスて感じなんだよね。レベルが上がったらもっと機能が解放されるらしいな」
「へー。そうなのね」

 要はレベルが低いと。使い辛いと?

「ちなみにマジックバッグをくれた宰相は、ルル嬢の母上のお父上だぞ」

 なんですって!?

「知らなかったわ……」

 お母様ったら、マジお嬢様じゃない!?

「お父様! お母様のお父上が帝国の宰相様なんですか!?」
「ん? そうだぞ。言ってなかったか?代々、帝国の宰相の任に就いてる家系だぞ。兄上も次期宰相だぞ」

 マジでー!? あー、だから帝国の皇子様が婚約者なのかしら?

「じゃあ、私の婚約もその方面からですか?」
「まぁ、そうだぞ。帝国の父上にレオンが8歳位の頃だったか相談されてな。なんでもレオンは大きくなったら皇家を出て冒険者になるから、廃嫡してほしいと言い出したのだと。それで、うちだったら貴族としての家格もあるし、その上魔物も出るから冒険者の様に討伐もできる。レオンも納得するんじゃないかってな。第3とは言え皇子を一介の冒険者にするよりも、うちだったら公爵家だし、帝国からもまだ近い。体裁も良いだろう? ルル、嫌だったら今からでも断って構わないぞ! ズッとお父様のところにいていいんだからな!」

 お父様。何言ってるの。

「お父様、レオン様は婿入りして下さるのですから、私はお父様のところにいますよ」

 ニコッ、と笑顔はpricelessよ。大盤振る舞いよ。

「ルルー!! お前は可愛いなー!! ズッとお父様のところにいなさい!!」

 はいはい。さ、早く行こう!

「お父様、早く参りましょう」
「いや、ルル。さっきお前達が話してた無限収納だが」
「はい、何でしょう?」
「もしかして、持ってるのか?」
「はい。私も、レオン様も持っていますわ。鑑定もありますよ」

 お父様、ガビーン!! です! 固まってます!!

「ルルー!!」

 復活したお父様にガシッと抱き締められました! しかも背中をバシバシ叩いてます。痛いし! 今度は何!?

「ルル、お母様が喜ぶぞー!!」

 どうしてお母様が? 全く話が見えないわ?

「無限収納や鑑定はな、帝国の皇家とお母様の血筋にのみ出るスキルだ。しかも、何代かに1人という珍しいものだ。王国では持っている者はいない。だから、無闇に教えるんじゃないぞ。なんせ無限収納持ちがいると戦が変わるからな。危険だ」

 そうね、無限収納があると武器でも食料でも私一人で持ち放題ですものね。皇子様と二人でビックリしましたよ。

「公爵殿、それは本当ですか? 私は帝国でその様な話は聞いた事がありませんが」

 そうなの? 帝国の皇子殿下なのに?

「当然だ。希少ゆえに極秘扱いだからな。ましてレオンは皇家を出ると言っていたのだろう? 私は妻と婚姻した時に、妻の実家から聞かされていた。もしも産まれてくる子供に受け継がれていた時の為にな。だが、兄二人にではなくまさかルルにとはな!」
「大変! 奥様にお知らせしなくちゃ!!」

 あー、リアンカが走って行っちゃったわ。早いなぁ。


 はい、やっと馬で出てきました。
 お父様とレオン殿下とモモと、うちの領主隊0(セロ)の隊員達も一緒です。
 領主隊は0(セロ)から10(ディエ)まであります。中でも0から3迄はセイバーと呼ばれています。
 セイバー0(セロ)はお父様が隊長。
 セイバー1(ウノ)はラウアースお兄様が隊長。
 セイバー2(ドス)はジュードお兄様が隊長を務めています。
 精鋭中の精鋭で、男の子達は勿論、女性達の憧れの的ですね。

 馬でパッカパッカ領都を行きます。やはりセイバーの隊員がいる事もあって彼方此方から黄色い声が……

 ――ルルーシュアさまー!
 ――ルルしゃまー!!
 ――じょうちゃまー!!

 あれれー? ちょっと思っていたのと違うわね。黄色い声の種類が違うわ! 子供の声もするわね。

 ――お出掛けですかー!
 ――お気をつけてー!

 やだ、嬉しい!

「有難うー!!」

 ……て、手を振ります。

 ――キャーッ!!
 ――ルルさまー!!

 訳わかんないわ……
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