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(7)彼との幸せな時間
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2週間後―
やっと私たちが会う日になった。私は、久しぶりに彼と会える事を心から喜んだ。前の日から、楽しみでその日のために服装を考えたり、持ち物を再度確認したりと、とてもソワソワしていた。その行動は母から見れば一目瞭然だったみたいで、「明日は何しに行くの?」とからかわれたものだ。待ち合わせ場所に着くと丈さんはもう着いていたみたいで私に手を振ってきた。その時の丈さんの服装は黒色のコートに黒色のズボンでとても落ち着いた服装だった。その服装と真逆に丈さんは頬を少し赤らめ、ソワソワしているように感じた。彼からはいつもの明るさがなく無言で私と歩幅を合わせるように歩き人気のないベンチに誘導した。そして、彼は意を決したようにこう言った。「あなたの事が好きです。良かったら、僕と付き合ってください。」と。私は、彼が唐突にこんな事を言い出したからびっくりしたし、恥ずかしさのあまり目をそらした。彼は、昔から私が描いた理想の顔の人ではない。私より10歳くらい年上に見えたし、イケメンではない。しかし、趣味が合うし、彼と話した時間はとても楽しかったから、付き合えばきっと楽しいだろうと思った。だから私はあまり迷わず「はい、喜んで。」と答えた。ただし、私はこれが恋愛感情であるか確信は持てなかったので、「あなたの事は人として好きだけど、恋愛感情ではないかもしれないけどそれでもいい?」と加えた。彼は私の顔を見ながら嬉しそうにうなずいた。そして、それから彼はリードするように私と手をつないで歩き出した。私は男の人と手をつないだことが初めてで心臓が胸から飛び出そうだった。彼は私が某バンドを大好きなのを知っているので、そのバンドのグッズが売っている店に案内してくれた。そのため、次第に手をつないでいる緊張感を忘れて彼の目を見て話せるようになっていた。また、彼は食事をした後、オシャレな夜景が見られる場所に連れて行ってくれて、私が前からほしがっていたグッズをプレゼントしてくれた。彼がここまで私の言ったことを忘れずに覚えてくれていた事、プレゼントを探すために苦労したであろう事を私は思い、とても彼を愛おしく感じて抱きついた。彼もそれに答えるかのように手を私の背中に回しぎゅっとした。そして、静かに顔と顔が近づき軽く口づけをした。初キスはレモンの味ではなかったが、彼の顔が花が咲くようなだったのを見て、こちらもそれがうつったように幸せな表情をしていたと思う。そして、私たちは帰る時間になるまで静かで穏やかな時を過ごした。私は家に帰ると、母に彼と付き合うと真っ先に報告すると「あなたにも春が来たんだ」と、とても喜んでいた。彼の抱えている秘密を知るまでは…
やっと私たちが会う日になった。私は、久しぶりに彼と会える事を心から喜んだ。前の日から、楽しみでその日のために服装を考えたり、持ち物を再度確認したりと、とてもソワソワしていた。その行動は母から見れば一目瞭然だったみたいで、「明日は何しに行くの?」とからかわれたものだ。待ち合わせ場所に着くと丈さんはもう着いていたみたいで私に手を振ってきた。その時の丈さんの服装は黒色のコートに黒色のズボンでとても落ち着いた服装だった。その服装と真逆に丈さんは頬を少し赤らめ、ソワソワしているように感じた。彼からはいつもの明るさがなく無言で私と歩幅を合わせるように歩き人気のないベンチに誘導した。そして、彼は意を決したようにこう言った。「あなたの事が好きです。良かったら、僕と付き合ってください。」と。私は、彼が唐突にこんな事を言い出したからびっくりしたし、恥ずかしさのあまり目をそらした。彼は、昔から私が描いた理想の顔の人ではない。私より10歳くらい年上に見えたし、イケメンではない。しかし、趣味が合うし、彼と話した時間はとても楽しかったから、付き合えばきっと楽しいだろうと思った。だから私はあまり迷わず「はい、喜んで。」と答えた。ただし、私はこれが恋愛感情であるか確信は持てなかったので、「あなたの事は人として好きだけど、恋愛感情ではないかもしれないけどそれでもいい?」と加えた。彼は私の顔を見ながら嬉しそうにうなずいた。そして、それから彼はリードするように私と手をつないで歩き出した。私は男の人と手をつないだことが初めてで心臓が胸から飛び出そうだった。彼は私が某バンドを大好きなのを知っているので、そのバンドのグッズが売っている店に案内してくれた。そのため、次第に手をつないでいる緊張感を忘れて彼の目を見て話せるようになっていた。また、彼は食事をした後、オシャレな夜景が見られる場所に連れて行ってくれて、私が前からほしがっていたグッズをプレゼントしてくれた。彼がここまで私の言ったことを忘れずに覚えてくれていた事、プレゼントを探すために苦労したであろう事を私は思い、とても彼を愛おしく感じて抱きついた。彼もそれに答えるかのように手を私の背中に回しぎゅっとした。そして、静かに顔と顔が近づき軽く口づけをした。初キスはレモンの味ではなかったが、彼の顔が花が咲くようなだったのを見て、こちらもそれがうつったように幸せな表情をしていたと思う。そして、私たちは帰る時間になるまで静かで穏やかな時を過ごした。私は家に帰ると、母に彼と付き合うと真っ先に報告すると「あなたにも春が来たんだ」と、とても喜んでいた。彼の抱えている秘密を知るまでは…
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