人生を斜交いに生きた男 実話

人生を斜交いに生きた男 実話 ３０

然し、こんな楽で給与も良く、女にも持てて、、、このままだと堕落して女のヒモになっていく恐怖感があり絶対水商売にどっぷり浸かる前に辞めようと思った。
　ダブルワークで頑張ったのと、お金を使う間が無いので小金が４２万円程に成ったので横浜を引き払い東京へと向かったのだ。

　先ずは憧れていた表参道を目指して、当時はまだ原宿族もいない時で、どことなく品があり、大人の雰囲気が漂って洒落たお店が多かった。
　帽子屋、ブディック、レストラン、高級果物の千疋屋、バー、喫茶店、花屋、洋菓子店等々。然しコネも、知人もいないので取り敢えず職業別の電話帳で片っ端から電話を
　「○○店ですか？急な話ですが、そちらで今募集されていますか⁈」
　今では考えられないが、若さ故の成せる行動だ。７軒目で募集している店に当たり夕方５時半の面接となり、時間前に下見がてら出向くと此処はレストランバーになっていて地下にあるのだ。結構広くて週２回生バンドが入り、飲食にダンスフロアも有り大人の雰囲気の洒落たお店だ。
　運良く一発で採用になり、その晩から働く事に黒ズボンは辞めた人のお下がりを借り、白のワイシャツは近所で買い、蝶ネクタイをしてホール係に。緊張と不安と期待感とが入り交じり、仕事が見つかった安堵感も。
　店長、シェフがいて私を入れて３人体制で回していたが、ホールの人が急に辞めたとこへ私の電話がベストタイミングだったのだ。
　此処で学んだ事は。人生ダメで元々　で兎に角アタック、動くとチャンスは巡ってくる。
　店内はボックス席が６っつとカウンターに８人程座れるのでマックスで３５人位い収容。６時３０分から深夜２時迄で特に金、土曜日は忙しいのでバイトが２人来ていた。日曜日は定休日になっていた。
　此処は大手の芸能プロダクションが経営していたので寮も完備されて大いに助かった。
　当時人気ドラマ『ザガードマン』でクラブ、レストランの場面ではこの店での撮影が多かったので芸能関係者も多く出入りしていたが、当時は今みたいな携帯電話が無いのでお忍びの場合には私達もわきまえてこちらからは声を掛けない決まりになっていたが、今は携帯でパシャリとプライベートもあったものでは無い。すっぱ抜かれる。
　然しこの仕事は楽しかった。一般人が主なお客さんだが、芸能関係者や、宝塚歌劇団も来るので相乗効果が有り忙しかった。　　　続く