元ゲームオタク転生悪役令嬢は推しを幸せにするためにあらゆる死亡フラグをチート機能で叩きおります!

蓮斗♀(活動停止/再開の予定なし)

文字の大きさ
30 / 77
1節[第三章]

第二十七話『五年後の約束』

しおりを挟む


すっ好きって…

「“好意を持ってくれるのは嬉しいわ。けれど、私には大切な婚約者がいるから…。”」

「“うん!わかってる。だから僕はその婚約者から君を奪うために全力で動くから!覚悟しててね!”」

「“あっいや…私にはエイム様が…”」

「レイン?」

「ひゃぁっ!?エイム様!!」

びっビックリした…。急に後ろからハグされたら心臓に悪い…

……。

ハッハグ!?ちょっと待って!私今エイム様にハグされてるの!?嘘でしょ!?顔あっつ!!///

「どっどうされたんですか?」

「ん?いや、私の大切な婚約者が口説かれている気がしてね。」

いや口説かれている気がしたって…鋭すぎません!?というか婚約者と言っても私悪役令嬢ですよ!?そんな愛されるヒロインと同じ扱いしていいの!?

「“こいつが君の婚約者?”」

「“えっ…うん。私の婚約者、エイム・プレント様だよ?”」

「“ふーん”」

なっなんだか険悪な雰囲気に…。エイム様はレインの婚約者ではあるけど、エイム様が幸せになるためには、悪役令嬢である私とはいつか離れないといけないわけだし…。その後ヤヌア様、スベイス様、フィブア様に迷惑をかけないように森の奥でひっそり暮らす予定だったから、ドラゴンと暮らすのもありなのかも…。

でも今すぐってわけにはいかないのよね…私と同じ転生したヒロインがストーリー通りに動く限り、みんなの死亡フラグがなくなることはないだろうから。数年後くらいに一緒に過ごすって感じにしたいな…。

「“あのね?今すぐ一緒には無理だけど、私が五年後ここにまた来た時にまだ私を好きだったら、その時はもう一度告白してくれない?”」(ニコッ

「“五年後?”」

「“そう、私が二十歳はたちになったら、必ずあなたに会いに来るわ。その時に、まだ私を好きなら誘って?”」

この言葉はエイム様には分からない。だから、これは全てが終わったあとの保険のようなもの。私が生きるための、安全な居場所を作っておくためのお願い。

「“わかった!五年なんて僕にしたらお昼寝してる時間と変わらないからね!君への気持ちは、五年ごときでは変わらないよ!”」

そう言って少年の姿の子どもドラゴンは私の右手をとった。

「“僕の名前は、[ラバ・ファフニア・ルーズラント]。”」

私はこの時、公式サイトに載っていたドラゴンの設定を思い出していた。

ドラゴンの名前。

それは、高貴なドラゴンが持つとされている正式な名前。神から授けられたそれは決して安易に教えてはならない特別なもの。ドラゴンが名を教える時、それはその者に永遠に傷つけず、命をかけ守り続けるという誓いを立てたことを意味する。

ドラゴンは最長で一万年以上生きるとされている。その一生の中で 誓いをする相手は一人のみ選ばれる。

そしてその誓いの証は、そのドラゴンが誓いの際に口付けをした場所に刻まれる。

公式サイトの隅の方にあったドラゴンの設定。名前を渡す命をかけた誓い。

このこの名前を聞いた瞬間、思い出した。今私は、この子とその誓いを立てている。赤いオーラがドラゴンと私の周りを囲んでいる。

「“この時より、レイン・ウィンターへ名を預けん。我が名に誓い、そなたを一生守ると誓おう。レイン・ウィンター、我が名を呼び誓いに答えよ。”」

あっ…誓いは互いの了承の上で成り立つものなんだ。ここで名を呼んで初めて誓いが完了するのかも。設定では文でしか書かれてなかったから…。こういう設定分からなかったことも、ゲームの中に入るとわかることもあるんだな…。

ドラゴンからの誓いは名誉の証。断ったらドラゴンの名を汚すことになる。まぁつまり、誓いが始まったら最後、断れない。

「“ラバ・ファフニア・ルーズラント。我が命に名を預けて下さったこと光栄に思います。どうかこの誓いが永遠でありますように…。”」

ラバ・ファフニア・ルーズラントはとっていた私の右手の甲にキスをし、誓いの証が刻まれた。右手には赤いドラゴンの形をした印が残っている。

「“これで君との誓いは完璧だよ。僕は五年ここで待つけど、レインが僕を呼びたくなったらいつでも呼んで!その証に僕が来て欲しいって願ってくれれば、すぐに駆けつけるから!”」

まだドラゴンの中では幼いはずなのに、一生の誓いを私にしてよかったのかな…。でも心強いのは、確かな気がする。

「“ありがとう。ところで、呼ぶ時はちゃんと呼ばなきゃダメなのかな?例えば、私はレインでいいように、あなたをラバって呼ぶのはダメなのかしら?”」

「“なんでもいいよ?レインが呼ぶ名なら僕は嬉しいから!”」(ニコッ

なんだか弟が出来たみたい…。可愛い…。

「“じゃあ[ラバ]!これからよろしくね。”」(ニコッ

「“よろしくね!レイン!”」(ニコッ




























こうして私はドラゴンのラバと誓いを交わし、五年後再び会う約束をした。エイム様とフィブア様は私たちの会話を聞き取れないため、改めて詳しく教えるように言われた。

ドラゴンの親子と別れる時に私は何気ない質問した。

「“ラバって今何歳なの?”」

好きなってくれたのは嬉しいけど、もしも年齢差がありすぎたら付き合うのはかなり私的に気が引けるんだけど…。

「“歳か…今年で五十歳かな!”」

ん"ん"ん"ん"ん"!?!?

「“ごっ五十歳!?”」

「“あっ!人間で換算したら十歳くらいだから、レインは何歳なの?”」

あっ良かった…十歳か。いや、良くない!十歳!?私十五歳よ?愛に年齢なんて関係ないとか言うけど、罪悪感はかなり高いよこれ!

「“わっ私は十五歳…。”」

「へ~!レインって大人びてるからもっとお姉さんかと思ってたけど、まだまだ女の子だね!”」

…何この子。ドラゴンだからとかの前に十歳じゃあないでしょあなた。

「“でもそっか!二十歳までで五年後だから今は十五歳だよね!レインが二十歳になったもっと綺麗になってるだろうし、楽しみに待ってるね!”」 

「“そうね、ドラゴンとは時の速さが違うだろうけど、私も五年後にあなたと会うのを楽しみにしているわ。”」

悪役令嬢である私が二十歳まで生きていたらいいんだけどね…。


その後、エイム様と私はフィブア様達と共に首都へ向かった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

処理中です...