元ゲームオタク転生悪役令嬢は推しを幸せにするためにあらゆる死亡フラグをチート機能で叩きおります!

蓮斗♀(活動停止/再開の予定なし)

文字の大きさ
43 / 77
2節[第一章]

第四十話『春の家紋』

しおりを挟む

あちらの会話は聞こえないが、明らかに怯えている女の子達はノイン様に深々と頭を下げパーティー会場の隅の方へ逃げていった。

「ノイン?また女の子達を怖がらせたの?」

「またアイツらがレインの悪口言ってるから注意しとっただけや。」

少し不機嫌そうにノイン様はこちらに歩いてきた。エース様が少し嬉しそうにしていたのは気のせいだろうか…。

「レインの悪口は俺が絶対許さへん!アイツはそんなやつやないんやからな!」

そう言いながら笑顔を見せるノイン様は、この場にいる私にとって凄く心強かった。

「ノイン様、ありがとうございます!」

エース様の後ろに隠れていた私はノイン様の前に出て笑顔でお礼を言った。

私のために怒ってくれる人に感謝くらい伝えなくちゃね!

しばらくノイン様を見つめていると、少しずつ顔を赤らめそっぽを向いてしまった。

お礼言われるの慣れてないのかな?照れてる…。

「ノイン様?パーティーは楽しまれていますか?」

「そりゃ楽しんどるよ!レインの社交界デビューパーティーやからな!おめでとうレイン!」

「フフっありがとうございます!」

良かった、ノイン様もパーティーを楽しんでくれてるみたい。せっかく開いたんだから楽しんでもらわないと損だもんね!

しばらくノイン様と話していると、エース様とスベイス様がノイン様を呼びに来た。

なんでもウィンター家とハーベスト家の大切な相談事らしい。

私は行かなくていいのか聞いたら、パーティーの主役が抜けちゃダメでしょ?と言われ私はその場に残ることにした。

この日までのパーティーやなんやらで友達になった令嬢さんに囲まれながら色んな最近の女性の流行りを聞いていく。

このお店のケーキが可愛いとかこのドレスはこの店で買ったとかたまに自慢話をする子もいるけど…。

まぁ私はゲームオタクだったし、転生前から人と話すことに慣れていなかった事もあってこういう場はかなり疲れるのよね。

学校でのグループラインとか苦手だったし。

休憩すると言ってパーティー会場の隅の方へ逃げてくると、聞きなれた声が後ろから聞こえた。

「疲れとんね!レイン!」

「きゃあ!?ってフユーン様!?」

後ろに振り返ると笑顔で私を見つめるフィーダー家次男のフユーン様がいた。

フユーン様の後ろからフィーダー家長男フィーヤ様と三男ズハイ様の姿も見えた。

「驚かしたらダメだよフユーン。久しぶりだねレインさん。」

「おっお久しぶりです。」

「フィーヤ様!ズハイ様!」

2人がフユーン様を挟む形で並ぶとフィーダー家が揃ったイラストと瓜二つで初めてフィーダー家に招待された時を思い出した。

「社交界デビューおめでとうレインさん。月日は早いね~。」

「おめでとうございます!」

「お2人ともありがとうございます!私の社交デビューパーティーですけど、フランクなパーティーですから気軽に楽しんでくださいね!」

「もう十分楽しませて頂いてますよ。」

「ここの飯めちゃくちゃ上手いからびっくりしたわ!」

「それは良かったです!」

フユーン様は食べる事が大好きで美食家なのは知っていた。そのため食には一番気を使って悩んだのだ。喜んで貰えたのは本当に嬉しい。

しばらくフィーダー家の皆さんと話していると、エイム様がこちらに歩いてきた。

「あっ!エイム様!」

「楽しんでいるかいレイン?」

「はい!」

エイム様は笑顔で私の隣に並んだ。

「久しぶりだねエイム。」

「やぁフィーヤ、元気そうで何よりだ。」

2人が手を握りあい再会を喜んだ。エイム様はフィーダー家の長男であるフィーヤ様ともよくお話をする。

改めてエイム様はこの国の重要な人物であることが分かる。

「そういえば、君らの妹があっちで色んな男性とお話していたぞ?」

妹って…ヒロイン??

「アイツが?ったく、本当に厄介だな。」

ヒロインが男性と話してた?まさかエイムも…。

「エッエイム様!」

不安になって咄嗟に私はエイム様の服を掴んでいた。

もしヒロインと何かあったら、エイム様がヒロインの元に行ってしまったら…エイム様が死んだら…私は…。

恐怖から手が震える。エイム様は不思議そうに私の方へ振り向く。フィーヤ様達も私の事を気にして心配そうに見ている。

エイム様なら、聞いたら教えてくれるだろう。エイム様ならきっと…。

「どうした?」

「あっあの…」

なかなか言い出せない私にエイム様は優しく問いかけてくれる。震える手を強く握り心配させないよう勇気をくれている。

「そっその…フィーヤ様の妹さんとは…お話されたのですか?」

恐る恐るエイム様の顔を見ると、エイム様は満面の笑みで私を見ていた。

そして私を抱き寄せ嬉しそうにクスクスと笑いだした。急に抱き寄せられた私は動揺して見事に固まってしまった。

「ちょっちょっとエイム様!?」

「フフフッ、君が嫉妬してくれるとはな!嬉しい!とっても嬉しい!」

へっ?嫉妬??

「しかし安心しろレイン!私はあの女とは一言も喋っていないし近づいてすらいない!」

えっ?えぇ!?

「君のことを悪く言うやつには基本会わないし、何よりアイツは君と私のパーティーを台無しにした元凶だ!話す事などないからな!」

ヒッヒロインのことそこまで言っちゃうんだ…。でも、良かった、ヒロインとは何もなかったみたい。

「それなら…よかったです。」

抱きついていたエイム様が私の顔をジッと見つめながら少し笑って頭を撫でてきた。

「私の送ったティアラをちゃんと付けてくれているんだな。ありがとう嬉しいよ。」

「エイム様からの贈り物ですから当然ですよ!」

婚約者の贈り物を付けてこないなんて作法としてありえないからね!

「フフッ、そうか!」

満面の笑みで嬉しそうなエイム様は本当に心から幸せそうだった。

この笑顔が永遠であったらいいな…。

「お2人とも?イチャついている所悪いけど、僕らはそろそろ別の所に行ってくるよ。」

「あぁ、サマー家の方か?」

「そうそう、アイツにも挨拶しなきゃね。」

サマー家、夏を司る四代家紋の1つ。私達ウィンター家とは真逆に位置しているため、あまり会えない家紋だ。

それでも時々休みを使って遊びに来るレインの幼なじみがいる。

それがサマー家四男、リカルド・サマーだ。

彼はレインと同い年で、数ヶ月前に社交界デビュー記念パーティーを終えたところだ。

今回はサマー家もパーティーに招待している。主役の私が挨拶に行かないわけにはいかない。

「私もサマー家の方に挨拶に行くので良かったらご一緒してもよろしいですか?」

「あぁなら行こう!エイムも来る?」

「もちろん行く、ヤツの顔も久しぶりに見たいところだからな。」

ヤツ??サマー家の人間でエイム様と親しいのは…長男のアハト様?

でもアハト様ってゲームだと滅多に出ないレアキャラで、特殊な方法を使わないと現れないキャラクターだったような…?

とりあえず、行って確かめてみよう!

私はエイム様とフィーダー家の3人とでサマー家の元へ向かった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セリフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セリフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セリフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセリフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセリフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セリフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

処理中です...