【完結】悪役令嬢に仕立てあげられそうですが、私は絵を描きたいだけなんです。

ぴえろん

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父親に向かって言ってやりました

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メイドから父親の居場所を聞き、書斎の扉をノックしてから入った。


「……何だ?ユリア。」


妹には絶対に向けないような冷たい顔で、父親は私を見た。


「お父様、画材道具が欲しいのです。」

そう言いながら先程描いた絵を見せた。


「お前が描いたのか?」


父親がそう言いながら、わたしから絵を受け取った。


まじまじと絵を見る父親を見て少し得意気になった。
しばらく描いてないとはいえ、絵は下手なほうじゃない。

今までユリアのことはなにも才能が無いとか言っていたけど、これを機に絵の才能があるのを認めてもらえたりするかもしれない。

期待を込めた目で父親を見つめた。


「その絵に色をつけたいのです。ローラをその方がよく表現できるので……」


お願いです、と本来であれば言いたかったのだが、そこまでしか言えなかった。


なぜなら次の瞬間、父親は絵をびりびりに破いたからだ。



「ユリア、こんなくだらない事をしている暇があるなら、少しでも嫁ぎ先を探しなさい。

おまえもそろそろ16歳だろう?」




足元に絵の残骸が転がった。


期待した私が馬鹿だった。


目の前にいる伯爵の父親と、自分の親の姿が重なった。


あんたもなの?

絵を描くのがくだらないって、将来何の役にも立たないって。

転生先の親でさえ、元の世界の親と同じことを言うの?



震える私に、父親が書類の束を差し出した。



「お前に来てる縁談だ。その中から選びなさい。

申し込んできた誰もが多額の持参金をお前のために用意出来るそうだ。


その持参金を我が家にもたらす事が、おまえが唯一この家にとって役に立てる事だからな。」

 
頭の中が真っ白になりつつ書類を受け取る。

まるで履歴書のような書類を適当にパラパラと数枚めくるが、縁談を申し込んできた男はどれも中年男性だった。



何?要は私を売るってことなの?

この、若い女が好きそうなおっさん達に??




「あら、お姉様にぴったりな殿方ばかりね!」


憎たらしいほど可愛い声に振り向くと、いつのまに帰ってきたのか妹のローラが立っていた。


「おお、ローラいたのか。」


「お父様!今日もたくさんの人の前で歌を歌いましたの!」   


私の前でいちゃつく親子に吐き気がしてきた。

いくらローラの方が気に入ってるとはいえ、この違いはなんだ?

ユリアもあんたの娘なのに、なんなんだ。


「私には縁談の話は無いのですか?」

ローラが輝く目でそう聞くと父親が優しく微笑んだ。


「急ぐ必要は無い。おまえに似合う男を見繕う必要があるからな。少なくとも公爵家以上の身分じゃないと女神のようなお前には釣り合わないだろう。」


父親はローラの頭を大事な物を扱うように優しく丁寧に撫でた。

そしてその手を止め、私を見た。


「ユリア、その中からさっさと選びなさい。

そして、16歳になるのと同時に嫁ぎなさい。」


その言葉を聞いて、ローラが嫌味たっぷりな笑顔で私を見ながら言った。

「やっとお姉様もこの家にとって役に立つ事ができるのね!   

お姉様も嬉しいのではなくて?」





返事をせず固まっているわたしに、痺れを切らしたのか父親が再度口を開いた。



「聞いてるのか、ユリア。聞こえているなら返事を……。」


「………………さい。」


「ん?なんだ?」




「うるさいって言ってんだよ!!!!このクソが!!

わたしに指図するな!!!」



私の怒鳴り声を聞いて、父親とローラは固まってしまった。

恐らく今までのユリアからは考えられない怒声なのだろう。


言い訳させて欲しい。

私は本来こんなキレる性格ではない。

今私は、


「妹贔屓ばっかしやがって!!!!

気持ち悪いんだよ!ロリコンかてめーはよお!!!!」


自分でもびっくりするような暴言を吐いているのだ。

今まで親を含め誰にもこんな言葉を使ったことは無い。


自分で言うのもなんだが、わたしは大人しくて良い子だった。


でも、転生する直前に分かった。
人間、我慢に耐えれるよう出来てはいない。

あんまりにも我慢すると病気になる。


病気になっても、ストレスを与えてきた人間は責任をとってくれるわけじゃない。

自分自身が一生苦しむのだ。


そうなるくらいならいっそ、

「二度とその面見せんな。吐き気がするからなあ!!!」


その場でその相手に向かってストレス発散させといた方がよほど利口なのだ。


縁談の書類をびりびりに破いてその場に撒き散らした。
 
辺りにはまるで雪のように細切れの紙が舞い、父親とローラの頭に少し積もっていた。

父親もローラもあまりに唐突な出来事に理解が追いつかないのか唖然としていた。

そんな2人の顔を鼻で笑ってから私は書斎を後にした。



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