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私は妖精のように可愛い歌姫(ローラ視点)
しおりを挟む(※ローラ視点のお話です)
可愛くて、愛らしくて、歌が上手い美少女。
それが、この国での私に対する評判だった。
「ローラ。お前は本当に可愛くてよく出来た娘だ。」
父はよくそう言って私の頭を撫でる。
家では父と母と兄の3人から可愛がられ愛されている。
その溺愛っぷりは、家の使用人たちにも影響がでてしまうほど。
お陰で、屋敷にいる誰もが私を愛し、とことん甘やかしてくれた。
ここでは、
「それに比べて、姉のユリアは…………」
私だけが、愛されているのだ。
頭を撫でる父を見上げ私は微笑む。
どう口角を上げれば可愛く見えるのか、すっかり熟知している私の顔は完璧だ。
父はこの顔を見て更にわたしを好きになるだろう。
私は、そんなこの家の人たちを、全員馬鹿にしていた。
人間とは、なんて愚かで下等な生き物なのだろう。
こんな種族に昔殺されてしまったなんて、とんだ黒歴史だ。
思い出したくもないほどに。
それなのに、最近ユリアのせいでまた思い出してしまった。
あの魔力の欠片もない女の周りを、最近3人の妖精がまとわりついている。
ルクス、イグニス、エリザ。
3人とも好奇心旺盛な性格だから、ユリアの何かに惹かれたのだろうが理由がさっぱり分からない。
分からないが、私に過去を思い出させるなんて、ユリアはとにかく気に入らない女だ。
気に入らないのはそれだけじゃない。
今日は突然、皇太子殿下がユリアを迎えに来た。
何故その女を迎えに来るの?
ユリアはドレスも与えられてないし、デビュタントすら行っていないというのに、どこで皇太子殿下と出会ったというの?
いや、今更そんな事を考えても仕方がない。
とにかく、ユリアに皇太子殿下の隣を奪われる訳には行かないのよ。
その隣は私のものなんだから。
私は今度こそ幸せになるのよ。
もうすぐあの中年のおっさんとの婚約を控えているというのに、油断ならない女だわ。
ユリアと皇太子殿下が去った後、私はすぐさま泣き真似をして見せた。
ある日を境に、ずっと私の洗脳の支配下にある哀れなユリアの家族は、心配そうに私を見つめた。
「お姉様ひどい!わたしが皇太子殿下を好きって知っていながら……。」
「可哀想なローラ。またユリアに意地悪されたのだな。
大丈夫だ、この件はこの父に任せなさい。」
父が私の元に近寄り慰めるように言った。
「お願いしますね…………お父様♡」
目の前のこの男は、本当に愛すべき存在がユリアの方だとわかった時深い絶望に襲われるだろうか。
そんな事をふと思った。
もうあるはずの無い心が、少し痛んだ気がした。
(ローラ視点終わり)
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