【完結】悪役令嬢に仕立てあげられそうですが、私は絵を描きたいだけなんです。

ぴえろん

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サリエルと美優

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ゆっくりと目を開けた時、私が居たのはユリアになる前の、美優として生きていた時の自分の部屋だった。

広くもなく豪華でもない、ただ最低限一人で生活していけるだけの広さのワンルーム賃貸の部屋。

慌てて鏡を見ると、そこに映っていたのはもう銀色の髪の美少女ではなく、疲れた顔をしたいつもの私の顔だった。


「大丈夫かい?」

突然横から声を掛けられたので飛び上がってしまいそうなほど驚く。

「ああ、ごめん。驚かせてしまったね。」

声の主の方に振り向くと、そこにはレインが立っていた。



「レイン・・・!これは一体、どういう事なの・・・?
みんなは、あの世界の人たちはどうなったの?」


焦ってたくさんの事を聞こうとする私を落ち着かせるかのように、レインが私の頭をそっと撫でた。


「美優。とりあえず君はもう大丈夫だ。悪魔に奪われた心臓も取り戻したし、
君がした願いも無効になった。あの悪魔はたぶん、死んだから。」


「悪魔が死んで、私の願いが無かったことに・・・?」


「そう。それは君の前世でした願い事も含んでね。
あの世界は無くなってしまったけど、ある意味では元のお話に戻ったというところかな?

それで君もまた、この世界へ戻ってきたんだよ。
あの世界では数か月程経っていたけど、ここではまだ君があの世界に転生してから2日ほどしか経っていないから、君の日常生活にそんなに支障はないはずだ。」


レインの言葉を聞きながら、頭の中を整理する。

じゃあ、あの恨みに苛まれるローラはいなくなったということね。

それは良かったけど、それじゃああの妖精たちは消えてしまったのか。


複雑な感情を抱いていると、レインが慰めるように私を見た。


「漫画の世界は、作者がいるから生まれるんだ。だから、もしあの妖精たちが気掛かりなら、

美優がお話を描いたらどうかな?絵を描くのが好きなんでしょう?」


レインの言葉にはっとする。

どうして思いつかなかったんだろう。そうだ、私がお話を描けば・・・。



そう思って顔を上げると、私を見つめているレインと目が合った。


そういえば、肝心なことがまだ聞けていない。


「レイン、貴方はどうしてここにいるの?レインはあの世界の住人では無かったの?」

私がそう聞くとレインは顔を横に振った。

「違うよ。僕はあの世界の人間ではない。」

レインの返事を聞いてから、私は再び質問をする。


「・・・悪魔が貴方の事を堕天使と呼んでいたけど・・・本当なの?」


「ああ、本当だよ。僕は堕天使だ。名前も、本当はサリエルって言うんだ。」



「どうして堕天使が、私を助けてくれるの・・・?」


私を見つめていたサリエルは、そっと視線を下に落とした。


「君が、好きだからだよ。僕は、ずっと見てたんだ。君の事を、前世から。

だから・・・。」


サリエルは落としていた視線をまた戻して、私の瞳を捉えた。



「やっと、美優を助けることが出来てよかった。」


わ、私の事が好き・・・・?しかも、私の事を前世から見ていた・・・?!


思いがけず告白の言葉を聞いてしまい、年甲斐もなく顔が熱くなる。

ああ、さっきまでは17歳の美少女だったのに、今の私はいい年しした大人のわけで。

顔だってその辺に転がっているような平々凡々の顔立ちなのに、私の事が好き・・・!?

しかも前世から知っているの・・!?私を!?


いいや、落ち着いて、私。

レイン・・・・じゃなくてサリエルは、あの世界の住人じゃなくても、人間ではないわけで。

堕天使がどこに住んでいるかは知らないけど、きっとここにはずっといられない、よね?


そう考えた私は、レインに恐る恐る聞いてみる。


「サリエルはこれからどうするの?元居た世界に戻るの・・・?」


どきどきしながらサリエルの返事を待つ私に、サリエルはそっとほほ笑んだ。


「いいや、戻らない。

なんだか美優は心配だからね。これからもずっとそばにいるよ。」


え、ずっと?ずっとって言いました???



「えーっと、ずっとって具体的にはいつまで・・?」


私がそう聞くと、サリエルはうーんと唸った。


「とりあえず、美優が死ぬまで、かな?

死んだ後は、また生まれ変わった時に探しに行くよ。」



いやそれって、もう永遠に一緒ってこと!??


「いや困るよ!他の男と住んでいるの見られたら、彼氏に申し訳ないし・・・!」


「もうアイツとは別れたでしょ?」


レインの冷めた声にハッとする。

そ、そうだった。私あの男とは別れたんだった。


いやでもでも、結婚願望とかあるし・・・!


「これから出会うかもしれない旦那?にも悪いし・・・!」


慌てふためく私の頬にサリエルはそっと口付けをした。


「大丈夫。僕が美優と結婚するよ、人間としてね。これなら何も問題は無いよね?」


えーーーーーーーーーーーっ!?!?!


開いた口が塞がらない私を見て、サリエルは思いっきり声を上げて笑った。





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