【完結】悪役令嬢に仕立てあげられそうですが、私は絵を描きたいだけなんです。

ぴえろん

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早速レインとデートです。2

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レインが案内してくれた先に有ったのは、あの店構えからは想像もできないほど綺麗で、レインの好きそうな空間だった。

店内には数席分しかテーブルが設けられていないが、客は私たち以外にはいないので広く感じる。


テーブルも椅子も、一つ一つがこだわって作られたような造形の物だった。


「さあ、ここのご飯はかなり美味しいよ。何が食べたいとかあるかい?」


「肉です!」


すかさずそう答えた私に、レインは一瞬目を丸くしてから笑った。


「そうだね、そうしようか。」


レインが近くにいたウェイターを呼び、何個か料理名を言って注文してくれた。

料理を待つ間、レインと何を話そうか悩んだ。

無言でいるのはさすがに気まずいし、かと言って何も話題はないし。

しかし、悩む必要はなかったらしい。

「ところで、ユリアはさ。」

レインが私の様子を察したのか、それともお喋り好きな性分なのか、次々と話題を振ってくれた。


「家を飛び出すなんて、すごい行動力だよね。」


「そうですね。」


「それで妹に会って何をするつもりなんだい?」


「どうしてそんなことをするのか聞きたいんです。

何か理由があるのなら知りたい。だから絶対、私の分の招待状が欲しいんです。」


レインが色々聞いてくるので、全て素直に答える。


「真面目だねえ。特に理由なんてないって言われたらどうするの?」


「それは・・・・。」

レインに言われてハッとする。

確かにその可能性もなくはない。

ローラから答えを聞いて、私はその後どうしようか。


「・・・それなら、それでいいんです。私はもう何も気にすること無く、やっと自分の好きな事だけをして生きていけますから。」


答えは口からするすると出てきた。

「好きな事って?」


「絵を描くことです。」



「へー。絵を描くのが好きなんだ?」


レインは何度かうなずいた後、首をかしげた。


「そんなの、妹のことなんか忘れて好きに描いた方が早くないかい?」


たしかに、レインの言う通りだ。

でも、エリザからローラの正体を聞いた時、私は純粋にローラに興味が湧いてしまった。

知りたいと思った。だからエリザにもそう答えて、いずれ開かれるローラの婚約パーティーにいくことにしたのだ。



だけど実は、それだけではなかった。

心の奥底から湧き上がる、言葉にできないような感情。

何だか自分は、ローラの事を知らないといけない気がするのだ。

決して無視してはいけないような、無視してこのまま先に進んだらとんでもないことになるような、そんな不安感。


いつの間にかウェイターたちが料理を運んで来ていて、テーブルの上には美味しそうな匂いが漂う肉料理が並んでいる。



「まあ、とにかく食べようか。ユリア、好きなだけ食べてくれ。」


レインにそう促され、フォークとナイフを手に取る。

美味しい。伯爵家のご飯も美味しかったが、ここのお店も引けを取らないほど美味しい。


料理を頬張りながら、レインを見た。


「レインはどんな話も信じるのですね。」

私がそう言うと、レインは困ったような表情をした。


「まだ疑っているんだね。実をいうと、僕にはユリアが本当のことをいっているのかどうか分かるのさ。」

レインのその言葉に、料理に伸ばす手が止まる。

一瞬理解が出来なかったが、そういえばこの世界の貴族には魔力がある事を思い出した。

「人の心を読めるような魔法を使えるのですか?」

「まあ、そんなところさ。」

何だか含みのある言い方に少し引っ掛かりを覚える。



しかし、レインがそれ以上聞くなと言うかのように黙っているのを見て口を押えた。

深く聞かない方がいいことも有るよね。


目の前に美味しい料理が並んでいるのだから、そっちに集中しよう。



再び肉料理を食べ始めた私を見てレインが満足そうに笑った。



「美味しい?」



「ええ、とても美味しいです。」


実際本当においしい。

七面鳥の丸焼きのような、大ぶりな鳥の丸焼き料理が特に美味しい。


その後もひたすら満足するだけ食べ続け、お店を出る事にはお腹がかなり膨らんでいた。


「結構食べたね、ユリア。たくさん食べる女性は好きだよ。」


レインにそう言われて少し恥ずかしくなる。

いくら最近食べていなかったとはいえ、がっつきすぎたかな。



「ユリアの幸せそうな顔を見ると、僕も嬉しい。」

レインの言葉に思わずレインの顔をじっと見る。


なぜ知り合ったばかりなのに、そんな言葉が出てくるのだろうか。


それとも、遊び慣れすぎていて、女性になら良く言う台詞なのかな。


その後もレインと街を巡り、日が傾き始めた頃。

「あのさ。」

レインが私の方に振り返った。

「招待状を君の分まで手に入れるのは難しいから、一つ提案があるんだけど。」


突然一体何なのか、見当もつかない私はレインの目をじっと見つめた。


「僕のパートナーとして参加することさ。僕は必ず招待されるだろうからね。」


レインの提案は、かなり魅力的なものだった。

今ここでお願いしますと言えば、もう婚約パーティーに参加できるのは確定したようなものだろう。


だがふとここで、数日前の事を思い出してしまった。

テオの時と同じだ。

テオにもパートナーとして夜会に参加することをお願いされ、承諾した。

そんなテオは今、ローラの虜だ。

レインも私がパートナーとして婚約パーティーに出向けば、ローラの目に留まり、操られてしまうのではないだろうか。



「大丈夫だよ、ユリア。僕はいつだって、君の味方だ。」

レインがそう言って私の手を取った。


まるで私の心の声が聞こえたかのような言葉に、思わずレインの顔を見る。

一体この人は、何なんだろう。

なぜかレインは私の全てを知っているような、そんな風に見えてくる。


いや、そんなわけない。私は元々この世界の人間じゃないんだから。

レインが私の全てを知っているなんて有り得ない。



レインの手を払い、深く息を吐いた。


「私を、パートナーとして婚約パーティーに連れていってください。」


私の答えを聞いて、レインは安心したような顔をした。


傾きかけていた日は、もう完全に沈もうとしている。


レインの馬に乗り、私たちは森へと戻ることにした。


空には分厚い雲が浮かび、月は雲の隙間から見え隠れしている。


明日は雨が降るかもしれない。



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