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禁忌の恋(7)
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陽菜はラファエル、ウリエルの力で地下深くの岩場に来た。湿ったなんともいえない空気に、彼女は顔をしかめた。
「本当にこんな所にりこちゃんがいるの?」
そう言いながら、陽菜は不安に思った。それを消そうとするかのように叫んだ。
「りこちゃーん! どこにいるのーっ!!」
しかし何の音も声もしない。陽菜はラファエルとウリエルを振り返った。
「ここで間違いないの?」
「間違いないよ」
ラファエルは頷いた。
3人は歩いていく。途中で岩に縛りつけられた者、岩の下に吊り下げられている者が何十人もいた。彼らはラファエルとウリエルを見ると、恨みがましい目でこちらをにらみつけてくる。
「……堕天使だ」
ウリエルの言葉に、陽菜は目をみはる。
地上の快楽に負けた、かつての天使たち。
じろじろ見るのも何か嫌で、陽菜は目をそらした。
その間にも、どんどん奥に入っていく。思わず陽菜はラファエルの手を握った。彼は驚いていたけれど、いたずらっぽく笑った。
「怖いの?」
「……少し」
手が震えているのを、陽菜は自覚していた。こんな所、人間が来るべき場所ではない。
莉子は平気なのだろうか。それとも、シェムハザと共に行動することは決めても、この地下牢に連れてこられるとは思っていなかったのかもしれない。
人影が見えた。赤いメッシュの入った黒髪と赤い瞳をもつ美青年だ。
彼に近づくごとに、他の人物も見えてきた。群青色の髪と、これまた赤い瞳の美青年。白髪と大きな青い瞳の少年。そして見知った女性がひとり。
「りこちゃん!」
飛び出そうとする陽菜の肩を、ラファエルは止めた。止められたことで、冷静になった。
だから気づいた。莉子が複雑な表情をしているのを。自分たちが来たのだから、もっと喜んでくれてもいいのに。
「莉子、帰るよ」
ラファエルが言った。すると莉子は、はかなげな雰囲気をまとって群青色の髪の青年を見上げる。
そんな顔、15年生きてきて初めて見た。陽菜の知っている莉子は気が強く、何事にも動じない姉なのに。
でも、それでわかった。莉子を庇うように隣にいる、群青色の青年こそ、堕天使シェムハザなのだと。
陽菜は何も言わずにシェムハザを見たが、すぐに莉子に視線を戻した。
「りこちゃん、帰ろう」
しかし莉子は首を横に振る。
「帰らない」
陽菜はカッとした。
「なんで!」
するとシェムハザが口を開いた。
「人間界に帰るべきだ、莉子。ここにいるべきじゃない」
「でもあなただって、ここにいるべきじゃないわ。救いの天使なんでしょ?」
莉子の言葉に、シェムハザは顔をしかめた。
「同情はいらない。それに昔の話だ」
それを見た赤メッシュの青年が言った。
「カッコつけてんじゃねーよ。おまえだって、莉子に一緒にいてもらいたいんだろ?」
「アザゼル……」
シェムハザが苦しげにうめく。
「アザゼル!?」
陽菜は叫んだ。シェムハザとアザゼル。この2人を連れていけば、聖少女の任務が解かれる!
陽菜は、2人の堕天使の腕をそれぞれつかんだ。
「なんだ?」
アザゼルが眉を上げて問う。
「あんたたちをガブリエルのもとに連れていけば、あたしたちは自由になれるのよ! だからもう大丈夫よ、りこちゃん。あたしたちと一緒に帰りましょう」
陽菜が言う。その時、
「その必要はない」
声と同時に現れたのはミカエルだった。ガブリエルと共に。
「本当にこんな所にりこちゃんがいるの?」
そう言いながら、陽菜は不安に思った。それを消そうとするかのように叫んだ。
「りこちゃーん! どこにいるのーっ!!」
しかし何の音も声もしない。陽菜はラファエルとウリエルを振り返った。
「ここで間違いないの?」
「間違いないよ」
ラファエルは頷いた。
3人は歩いていく。途中で岩に縛りつけられた者、岩の下に吊り下げられている者が何十人もいた。彼らはラファエルとウリエルを見ると、恨みがましい目でこちらをにらみつけてくる。
「……堕天使だ」
ウリエルの言葉に、陽菜は目をみはる。
地上の快楽に負けた、かつての天使たち。
じろじろ見るのも何か嫌で、陽菜は目をそらした。
その間にも、どんどん奥に入っていく。思わず陽菜はラファエルの手を握った。彼は驚いていたけれど、いたずらっぽく笑った。
「怖いの?」
「……少し」
手が震えているのを、陽菜は自覚していた。こんな所、人間が来るべき場所ではない。
莉子は平気なのだろうか。それとも、シェムハザと共に行動することは決めても、この地下牢に連れてこられるとは思っていなかったのかもしれない。
人影が見えた。赤いメッシュの入った黒髪と赤い瞳をもつ美青年だ。
彼に近づくごとに、他の人物も見えてきた。群青色の髪と、これまた赤い瞳の美青年。白髪と大きな青い瞳の少年。そして見知った女性がひとり。
「りこちゃん!」
飛び出そうとする陽菜の肩を、ラファエルは止めた。止められたことで、冷静になった。
だから気づいた。莉子が複雑な表情をしているのを。自分たちが来たのだから、もっと喜んでくれてもいいのに。
「莉子、帰るよ」
ラファエルが言った。すると莉子は、はかなげな雰囲気をまとって群青色の髪の青年を見上げる。
そんな顔、15年生きてきて初めて見た。陽菜の知っている莉子は気が強く、何事にも動じない姉なのに。
でも、それでわかった。莉子を庇うように隣にいる、群青色の青年こそ、堕天使シェムハザなのだと。
陽菜は何も言わずにシェムハザを見たが、すぐに莉子に視線を戻した。
「りこちゃん、帰ろう」
しかし莉子は首を横に振る。
「帰らない」
陽菜はカッとした。
「なんで!」
するとシェムハザが口を開いた。
「人間界に帰るべきだ、莉子。ここにいるべきじゃない」
「でもあなただって、ここにいるべきじゃないわ。救いの天使なんでしょ?」
莉子の言葉に、シェムハザは顔をしかめた。
「同情はいらない。それに昔の話だ」
それを見た赤メッシュの青年が言った。
「カッコつけてんじゃねーよ。おまえだって、莉子に一緒にいてもらいたいんだろ?」
「アザゼル……」
シェムハザが苦しげにうめく。
「アザゼル!?」
陽菜は叫んだ。シェムハザとアザゼル。この2人を連れていけば、聖少女の任務が解かれる!
陽菜は、2人の堕天使の腕をそれぞれつかんだ。
「なんだ?」
アザゼルが眉を上げて問う。
「あんたたちをガブリエルのもとに連れていけば、あたしたちは自由になれるのよ! だからもう大丈夫よ、りこちゃん。あたしたちと一緒に帰りましょう」
陽菜が言う。その時、
「その必要はない」
声と同時に現れたのはミカエルだった。ガブリエルと共に。
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