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第一章 推しがクラスにやってきた
銀嵐のベルウィード
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『銀嵐のベルウィード』。
平日深夜に放送されたそのアニメは、隣国からの留学生達が、全寮制の平和な学園で嵐を巻き起こすというもの。美形の彼らは全員敵で、人体干渉系の魔法を駆使し、グランローザ王立学園の生徒達を次々虜にしていく。
貴族の子弟を全員人質にすることで、我が国に圧力をかけ、内部から崩壊させようと企んでいるのだ。いずれこのセルシオス大陸全土を、手中に収めるために――。
そんな彼らに立ち向かうのが、襟足までの茶色の髪と青い瞳の好青年、オルトなんだけど……
「一日中居眠りするなんて、どうかしてるわ」
隣で机に突っ伏すオルトは、中等部に入学した当初、平民だという理由で差別され苦労した。いじめる貴族達から庇ったことがきっかけで、私はオルトに懐かれている。
「あの頃と比べたら、ずいぶん図太くなったわね」
高等部になると、魔力をコントロールできるようになったオルトをバカにする者はいなくなった。ただでさえ彼の火の魔法は威力が強く、教師の受けも良い。
『銀嵐のベルウィード』はオルトがヒーローで、ヒロインと力を合わせて学園の危機を救う。そしてそのヒロインこそが私、アリアなのだ。
どうりで胸が絶壁……いえ、なかなか成長しないと思っていたら。
制作側も、もう少し考えてほしい。
どの年代にも愛されるようにと、わざわざ子供っぽくしなくてもいいのに。まあ、スタイルはともかく、可愛らしい顔には満足しているけどね。
「まさか、私がヒロインポジ(※)だとは。これは不幸だった前世と、バランスをとるためなの?」
太陽は白く、月は赤い。
今までなんの疑問も持たなかったけれど、ここは間違いなく、私の好きなアニメの世界だ。
*****
『頑張れば頑張った分だけ報われる』
その言葉は大嘘で、人生何が起こるかわからない。
嵐の日に、私は両親と妹を失った。
年の離れた妹が高熱を出し、車で病院に連れて行く途中、事故に遭ったのだ。受験前の私は感染してはいけないと、家で一人留守番していた。
当然中学受験どころではない。
私は悲しみの癒えないまま、田舎に住む祖父母に引き取られた。
奨学金を得て大学まで進学し、卒業後に就職。
真面目に働かないと、借りたお金は返せない。
そのためほとんど遊びに行かず、残業だって積極的に引き受けた。
「面白みのない人生。このままでは、枯れてしまう――」
焦りを感じていたある日の帰宅後。
テレビをつけると、アニメの画像が目に飛び込んだ。
ちょうどCMが終わったばかりのようで、タイトルに付く『嵐』の文字が気になった。
「本物の嵐は、大嫌い」
なんとなくそのまま見続けていたところ、一気にどハマり。
「何これ。顔も声もすっごく好みなんだけど!」
以来、銀嵐のベルウィードは、仕事に疲れた私の癒やし。
休日に録画した分をゆっくり鑑賞できると思えばこそ、上司の嫌味や同僚の愚痴、急な残業にも耐えられる。
通勤ラッシュでつり革がつかめなかったり、昼食を食べる暇がなく、わびしく缶コーヒーで済ませたり。毎日どうにか乗り切れたのは、このアニメのおかげ。ほんの小さな幸せが、生きる活力になることだってある。
もちろん、オープニングとエンディング曲はダウンロード済みで、通勤時には必ず聴いて自分を励ましていた。
初回限定版Blu-ray Discだって予約し、ファンブックも発売初日に手に入れる。グッズだってショップや通販サイトで鑑賞用と保存用を買い集めた。
恋人のいない寂しいOLでも、彼らのおかげで毎日薔薇色。
「イケメンイケボでハイスペックとくれば、堕ちない女性はいないでしょう!」
……あ。『彼ら』というのは、もちろん敵のこと。
「味方のヒーロー、オルトも子犬系でそれなりに人気があったけど……」
女性達の圧倒的な支持を集めていたのは、敵の方。全員美形で素晴らしいが、私の最推しも彼らの中にいる。さっきの従者、オッドアイのレヴィーがその人だ。
「キャッ、言っちゃった」
……え? 興味がないとか聞こえない。
タイトルも敵の国名なので、原作者にも思うところはあったのだろう。その証拠に、敵の中に王家に縁のある者がいる。
『どうして留学生達が主役じゃないの!』
『制作者、彼らの出番を増やして』
『オルトとアリア邪魔』
そんな投稿が連日SNSに上がるくらい、敵の人気はすごかった。制作側にまんまと踊らされ、せっせと貢ぐ私達……。
でもいいの。他に楽しみなんてなかったし、後悔なんてしていない。
美形の彼らが大好きで、画面を通して微笑みかけられると、悶絶する日々。笑顔以外も最高で、舌打ちする姿にさえうっとりしてしまう。
大多数の女性ファンの疑問はただ一つ。
――ヒロインのアリア、なぜ敵にクラッとしない?
悪くはないけど取り立ててすごくもないヒーローに、入れ込む理由がわからない。まあ、オルトに一途なせいでアリアは特に罵られず、ファンの間では空気のような存在として扱われていた。
劇場版『銀嵐のベルウィード』では、登場するなり「あー、はいはい」と、完全スルーのアリア。会場の視線を一心に集め、熱い声援を浴びていたのは、敵の方だ。
特典クリアファイルが全種類ほしくて、食費を切り詰め何度も観に行った。使わずに飾っていたあのファイル、この世界に持ち込めず非常に残念だ。
やがてボーナス支給日。
浮き浮きしながら何が買えるかと考えていた、あの日――
運悪く通り魔に襲われた私は、二十代半ばで絶命した。
本当に、人生何が起こるかわからない。
だからこそ次は、自分の心に正直に生きたい。
*****
隣のオルトが、突然大きくあくびする。
「ねえアリア。さっきからブツブツうるさくて、眠れないんだけど」
「あら、ごめんなさ……」
謝りかけて、ふと気づく。
今、ホームルーム中だよね?
慌てて視線を前に戻せば、彼らの姿が消えている。
「え? どこ、どこに行ったの?」
まさか夢? オルトにつられて私まで寝ていたっていう、ただの夢オチじゃあ……
すると、通路を挟んだ隣の席から柔らかな声が響く。
「よろしくね。可愛いお嬢さん」
私に向かってにっこり微笑みかけたのは、公爵家のディオニスだ。
ぶすっと頷くのが、従者のレヴィー。
――ああ、最っ高!!!!!
※ポジ……立ち位置、ポジション。
平日深夜に放送されたそのアニメは、隣国からの留学生達が、全寮制の平和な学園で嵐を巻き起こすというもの。美形の彼らは全員敵で、人体干渉系の魔法を駆使し、グランローザ王立学園の生徒達を次々虜にしていく。
貴族の子弟を全員人質にすることで、我が国に圧力をかけ、内部から崩壊させようと企んでいるのだ。いずれこのセルシオス大陸全土を、手中に収めるために――。
そんな彼らに立ち向かうのが、襟足までの茶色の髪と青い瞳の好青年、オルトなんだけど……
「一日中居眠りするなんて、どうかしてるわ」
隣で机に突っ伏すオルトは、中等部に入学した当初、平民だという理由で差別され苦労した。いじめる貴族達から庇ったことがきっかけで、私はオルトに懐かれている。
「あの頃と比べたら、ずいぶん図太くなったわね」
高等部になると、魔力をコントロールできるようになったオルトをバカにする者はいなくなった。ただでさえ彼の火の魔法は威力が強く、教師の受けも良い。
『銀嵐のベルウィード』はオルトがヒーローで、ヒロインと力を合わせて学園の危機を救う。そしてそのヒロインこそが私、アリアなのだ。
どうりで胸が絶壁……いえ、なかなか成長しないと思っていたら。
制作側も、もう少し考えてほしい。
どの年代にも愛されるようにと、わざわざ子供っぽくしなくてもいいのに。まあ、スタイルはともかく、可愛らしい顔には満足しているけどね。
「まさか、私がヒロインポジ(※)だとは。これは不幸だった前世と、バランスをとるためなの?」
太陽は白く、月は赤い。
今までなんの疑問も持たなかったけれど、ここは間違いなく、私の好きなアニメの世界だ。
*****
『頑張れば頑張った分だけ報われる』
その言葉は大嘘で、人生何が起こるかわからない。
嵐の日に、私は両親と妹を失った。
年の離れた妹が高熱を出し、車で病院に連れて行く途中、事故に遭ったのだ。受験前の私は感染してはいけないと、家で一人留守番していた。
当然中学受験どころではない。
私は悲しみの癒えないまま、田舎に住む祖父母に引き取られた。
奨学金を得て大学まで進学し、卒業後に就職。
真面目に働かないと、借りたお金は返せない。
そのためほとんど遊びに行かず、残業だって積極的に引き受けた。
「面白みのない人生。このままでは、枯れてしまう――」
焦りを感じていたある日の帰宅後。
テレビをつけると、アニメの画像が目に飛び込んだ。
ちょうどCMが終わったばかりのようで、タイトルに付く『嵐』の文字が気になった。
「本物の嵐は、大嫌い」
なんとなくそのまま見続けていたところ、一気にどハマり。
「何これ。顔も声もすっごく好みなんだけど!」
以来、銀嵐のベルウィードは、仕事に疲れた私の癒やし。
休日に録画した分をゆっくり鑑賞できると思えばこそ、上司の嫌味や同僚の愚痴、急な残業にも耐えられる。
通勤ラッシュでつり革がつかめなかったり、昼食を食べる暇がなく、わびしく缶コーヒーで済ませたり。毎日どうにか乗り切れたのは、このアニメのおかげ。ほんの小さな幸せが、生きる活力になることだってある。
もちろん、オープニングとエンディング曲はダウンロード済みで、通勤時には必ず聴いて自分を励ましていた。
初回限定版Blu-ray Discだって予約し、ファンブックも発売初日に手に入れる。グッズだってショップや通販サイトで鑑賞用と保存用を買い集めた。
恋人のいない寂しいOLでも、彼らのおかげで毎日薔薇色。
「イケメンイケボでハイスペックとくれば、堕ちない女性はいないでしょう!」
……あ。『彼ら』というのは、もちろん敵のこと。
「味方のヒーロー、オルトも子犬系でそれなりに人気があったけど……」
女性達の圧倒的な支持を集めていたのは、敵の方。全員美形で素晴らしいが、私の最推しも彼らの中にいる。さっきの従者、オッドアイのレヴィーがその人だ。
「キャッ、言っちゃった」
……え? 興味がないとか聞こえない。
タイトルも敵の国名なので、原作者にも思うところはあったのだろう。その証拠に、敵の中に王家に縁のある者がいる。
『どうして留学生達が主役じゃないの!』
『制作者、彼らの出番を増やして』
『オルトとアリア邪魔』
そんな投稿が連日SNSに上がるくらい、敵の人気はすごかった。制作側にまんまと踊らされ、せっせと貢ぐ私達……。
でもいいの。他に楽しみなんてなかったし、後悔なんてしていない。
美形の彼らが大好きで、画面を通して微笑みかけられると、悶絶する日々。笑顔以外も最高で、舌打ちする姿にさえうっとりしてしまう。
大多数の女性ファンの疑問はただ一つ。
――ヒロインのアリア、なぜ敵にクラッとしない?
悪くはないけど取り立ててすごくもないヒーローに、入れ込む理由がわからない。まあ、オルトに一途なせいでアリアは特に罵られず、ファンの間では空気のような存在として扱われていた。
劇場版『銀嵐のベルウィード』では、登場するなり「あー、はいはい」と、完全スルーのアリア。会場の視線を一心に集め、熱い声援を浴びていたのは、敵の方だ。
特典クリアファイルが全種類ほしくて、食費を切り詰め何度も観に行った。使わずに飾っていたあのファイル、この世界に持ち込めず非常に残念だ。
やがてボーナス支給日。
浮き浮きしながら何が買えるかと考えていた、あの日――
運悪く通り魔に襲われた私は、二十代半ばで絶命した。
本当に、人生何が起こるかわからない。
だからこそ次は、自分の心に正直に生きたい。
*****
隣のオルトが、突然大きくあくびする。
「ねえアリア。さっきからブツブツうるさくて、眠れないんだけど」
「あら、ごめんなさ……」
謝りかけて、ふと気づく。
今、ホームルーム中だよね?
慌てて視線を前に戻せば、彼らの姿が消えている。
「え? どこ、どこに行ったの?」
まさか夢? オルトにつられて私まで寝ていたっていう、ただの夢オチじゃあ……
すると、通路を挟んだ隣の席から柔らかな声が響く。
「よろしくね。可愛いお嬢さん」
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