わたしのパーティーが全員ラスボスなんだけど!?

きゃる

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第一章 ラスボスは難しい

ラスボスとの絆

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 ラスボスたちに会えて嬉しい。
 でもそれは、推しを愛するファンとして。
 魔力がすぐに切れるなら、大量の魔物を倒すのはどのみち無理だ。

「とっても豪華なメンバーなのに、すご~くもったいない」

 顔をしかめたわたしを見て、大神官がにっこり笑う。

「いいや。そなたがいれば可能じゃ」
「わたし……ですか?」
「そうじゃ。召喚した者とされた者は、特別なきずなで結ばれておる。その証拠に、彼らの魔法はそなたにかなかったであろう?」
「なるほど」

 推しとの間に特別な絆。
 それはそれで嬉しいけれど、それじゃあただのファンサービスだ。

「でも、それと推し……」
「おし?」
「ええっと、召喚した方々、の魔力は別の話ですよね? 強大な魔法が使えても、あっさり魔力切れを起こすようでは魔物退治はできません」
「まあ、普通はそうじゃろう」

 ますますわけがわからない。
 大神官は何を知っているの?

「おい、老いた人間。貴様が詳しそうだな」
「洗いざらい話してくれないと、建物ごと潰しちゃうよ」

 魔王アルトローグと人の悪意ライムバルトが、じりじり迫る。
 わたしと同じく、ラスボスたちも戸惑っているようだ。
 
 大神官が、進み出る。

「偉大な方々、エストレイヤ西神殿にようこそ」
挨拶あいさつはよい。余がここにいるわけを、とっとと話せ」
「そうそう。どうしてこんなところに立っていたのか、不思議なんだよね~」

 なんだか不穏な雰囲気だけど、大神官はひげをのんびりでている。

「わしがこの娘に、あなた方をお招きするよう頼んだのじゃ。各地にはびこる魔物を退治して、どうか世界を救ってくだされ」

 一瞬、沈黙。
 真っ先に口を開いたのは、魔王アルトローグだ。

「世界を救う……だと?」
「いかにも。本懐ほんかいげたなら、この老いぼれをどうしようと構わぬ」
「へえ? 我々が、老人の命一つで言いなりになるとでも?」

 ウリエルが口に手を当て、クスリと笑う。
 大天使でさえこうなのだ。
 他のラスボスは、明らかに嫌そうだ。

「ええ~っ。お爺さんの下働きなんて、僕、やだなあ」

 頭の後ろでのんきに手を組むライムバルト。
 可愛い仕草とは裏腹に、その青い瞳は悪意に満ちている。

「ふん、ジジイに興味はない。余が人間に従うとでも思うたのか? しかも魔物退治とは……」

 魔王アルトローグの赤い瞳が、怒りにきらめく。

 ラスボスたちからしてみれば、魔物は手下で自分たちよりかなり格下。
 バカにされたと思うのも、当然だった。

 彼らの怒りをひしひし感じる。
 これってマズイのでは?

「待て。たとえ人間と言えども、老いた者の意見は尊重するべきだ。ご老人、他にも何か隠しごとがあるだろう?」

 龍神、龍ケ崎一連が核心を突く。
 わたしもそこが知りたい。魔力切れを起こすとわかっていながら、召喚させたのはなぜ?

「ふうむ、説明が必要じゃの。どなたさまもまだ、魔力は回復しておらぬか?」
「ジジイ、何が言いたい?」

 魔王が目を細めた。
 ラスボスたちの魔法は大量の魔力を必要とするから、魔素の少ないこの世界で、ちょっとやそっとで回復するわけないじゃない。

「では、誰でも良いからハルカと手をつなぐのじゃ」
「……へ?」

 言われた意味がわからずに、素っ頓狂すっとんきょうな声を出す。
 ラスボスたちも同様で、顔をしかめている。

「どうされたかの? この娘に触れるだけでいい。簡単じゃろう?」

 ――大神官様、そのお言葉は命知らずです。それにわたしがラスボス様と――推しと手を繋ぐなんて、恐れ多すぎます!!

 念のため、手の平を白いローブにこすりつけておく。
 手汗で不快な思いをさせるなんて、ファンとして許しがたい。

「いいよ。はい」

 大天使のウリエルが、手を差し出してくださった。
 彼は男性キャラには辛辣しんらつだけど、女性キャラには優しいことで定評がある。

「でも、あの……」

 推しは見るもの拝むもの。
 こうして実際に会えるだけでも奇跡なのに、わたしごときが触れるなんて、天地がひっくり返っても文句は言えない。

「どうしたの? ほら、早く」

 ウリエル様は、手まで美しい。
 
「ねえ、私とでは嫌?」
「そ、そ、そんな滅相めっそうもない」
「じゃ、いいよね」
「ひあっ」

 緊張のあまり、触れられた途端叫んでしまう。
 微笑むウリエルは、わたしの手をしっかり握った。

 ――ああ。イケメンの肌はなめらかで、指先まで綺麗。

 尊すぎて致死量寸前。
 なんとか正気に戻ろうと、推しの手から目をらす。
 大神官が口を開く。
 
「金髪の御仁、そのまま魔法を使うのじゃ。大きければ大きいほど良いが、危険でないものを」
「わかりました」
「え? わかったって、すぐには無理じゃ……」
 
 巨大な魔法を扱うには、MPの回復は必須。
 ウリエルは何度か魔法を使ったので、まだ戻っていないはず。

「【ホーリーシールド】展開、続いて【セイクリッドロードライト】」

 大天使が唱えると、白い球体が彼と私を包む。
 黄金のオーロラが空に出現し、地表では広範囲が光り輝いた。

「こ、これは……」

 RPGオタク垂涎すいぜんの技だ!
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