わたしのパーティーが全員ラスボスなんだけど!?

きゃる

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第一章 ラスボスは難しい

ラスボスは一筋縄ではいかないようです

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 わたしは食堂にラスボスたちを呼び集め、頭を下げた。

「お願いします。一緒に旅に出てください」
「断る!」

 魔王は即却下。
 
「僕も~。面倒くさいもん」

 人の悪意も同行する気はないようだ。
 龍神は無言で、頼みの綱は大天使だけ。

「魔物退治は、国王陛下の意思でもあります。世界の平和を守るため、どうかお力を貸してください」
「国王陛下? それがどうかした?」

 大天使までやる気なし……と思ったら。

「まあ、君がどうしてもって言うのなら、手伝ってあげてもいいよ」
「本当ですか!」
「ああ。君の魂はキレイだからね」

 ――またそれ? どんな色か、非常に気になる。

「ウリエル様、わたしの魂って、何色なんですか?」
「ん? 限りなく白に近いクリーム色だよ」
「クリーム色……」

 期待した割にそれって……なんだか地味だ。

「自慢していいよ。生きている以上、無垢むくな白などあり得ない。中にはにごった沼色や、いろんな色が渦巻いて泥の方がマシな色もある」
「そう……なんですね」

 よくわからないけど、まあいいか。
 大天使はとりあえず、協力してくれるみたい。

「ウリエル様、よろしくお願いいたします」
「わかった。でもそれだけ?」
「えっ?」
「もっと近くにおいで。身体全体で、感謝を示してほしいな」

 大天使はそう言うと、腕を大きく広げた。

 ――魔力が必要ないのに、ハグするつもりなの? ウリエル様は、セクハラ大天使!?

 妙な考えが浮かんだが、慌てて首を横に振る。
 いくら魂の色がキレイでも、元々わたし。
 RPGのラスボスを推す普通の人間だ。

「訂正。セクハラじゃなくって、ご褒美ほうびかもね」
「おや? 何か言ったかい?」
「いいえ。では、失礼して……」

 大天使の胸に飛び込もうとしたその瞬間、龍神がわたしを引きがす。

「よく考えろ。自分を安売りするな!」
「へっ?」

 龍神のけわしい表情に、わたしは目を丸くする。

「邪魔が入るとは残念。それじゃあ君も、彼女を手伝ってあげるんだね?」
「…………ああ」
 
 低い声でも聞き逃さない。

「一連様、ありがとうございます!!」

 勢い込んでお礼を言うと、龍神は無言で首肯しゅこうした。



 余命が限られている以上、魔物をとっとと片付けたい。
 欲を言えば、あと二体の協力もほしいところだ。
 ダメ元で、もう一度お願いしてみよう。

「アルトローグ様、ライムバルト様、一緒に旅がしたいです。どうしてもダメですか?」

 顔の前で両手を組んで、祈りのポーズ。
 慈悲深き女神、エストレイヤ様にもすがる思いだ。

「ふむ。条件次第では、聞いてやらぬこともない」
「アルトローグ様、ありがとうございます!」
 
 喜ぶわたしの前で、魔王が長い爪を自分の唇に当てる。

「礼はまだ早い。余は、条件次第と言ったはず」

 ――そのポーズ何? まさかとは思うけど、キ、キ、キスしろってこと!?

 ゲームのドット絵ではわからなかったが、今の魔王は黒い服がはだけて胸元が丸見え。引き締まった胸筋が目にまぶしい。その彼に近づいて、キスなんて……。

「な、な、ななな」
「どうした、人間。なぜ顔を赤らめる?」

 あまりのことに声が出ない。
 そんなわたしの様子に、魔王が顔をしかめた。

「うぬぼれるな。余が、人間に迫ろうはずがない」

 ――ですよね~。大天使がチャラいからって、魔王が同じわけがない。私ったら勘違いもはなはだしい。

「では、アルトローグ様の条件とは?」
「何、簡単なことだ。魔物を倒した暁には、お前を食わせろ」
「はいいいいい!?」

 仰天するけど、魔王は動じない。

「絆という話は信じられん。お前の能力を、余が取り込んでやろう」
「いや、それだけは嫌、というか無理です!」
「なんで無理なの? 魔物を殺すなら、人だって殺していいでしょう?」

 今度は人の悪意が、口を挟む。

「いいえ、絶対にダメです」
「どうして? 魔物は良くて、なぜ人はダメなの?」
「魔物を退治するのは、与える被害が甚大だからです。このまま放置するわけにはまいりません」
「じゃあ、悪い人ならいい? 人間にも、悪いやつはいるよね」
「――う」

 思わず言葉に詰まった。

 ライムバルトの言う通り、人間にも他者の命をなんとも思わない極悪人がいる。反対に、魔物にも悪くないものがいる……かもしれない。
 
 魔物の側にも人を襲う理由があるとしたら?
 そもそも魔物が、人里に現れるようになったのはなぜ?

 魔物を退治するだけでなく、大元の原因を突き止める必要がある。だけど余命わずかの自分に、そんな時間はあるのだろうか?

「ふふ。屁理屈へりくつを言うとは、少年は魔物に勝つ自信がないのかな?」
「はあ? オジサン、頭がおかしいの? 魔物くらい余裕で勝てるよ」
「そう。じゃあ、君も参加ということだね?」
「そうきたか。ま、ここは退屈だから行ってあげてもいいよ」
 
 ――え? いいの?

 人の悪意ライムバルトは気を変えたのか、あっさり了承してくれた。それにしても、見目麗しい大天使ウリエル様を「オジサン」と呼ぶなんて。

 
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