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1.3 相棒と信頼
3.父親
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昨日は武器を見繕うだけではなく、あのあと服屋にもよった。流石に武器に10万も使ってしまったからあまり大きな金は使えないふところ事情だから、仕方なく防具は諦めて一般的な冒険者用の服だけ採寸して今日の朝受け取りに行った。
だが昨日の今日で俺の新たな相棒の初陣はどうしたものかと考えていた。
堺から声が掛かったのはそんな時だった。
「どうや、今日も一緒に行かんか?」
もちろん2つ返事で返す僕だが、それは1人で行くのが怖かったからだ。決して友達と一緒に来たかったとからじゃないからな!
そんなこんなで、いつも一緒に会社へと向かうニヒルとは家で別れた。今日は会社へは向かわず、そのまま酒場へと直行だ。
その道すがら、僕と堺はクエストの話しで盛り上がっていた。
「昨日みたいに最下位モンスターを狩りに行ってもええねんけど、それじゃあつまらんやろ?」
堺の言うことは確かだが、なれない武器で強い敵に挑むのは少し怖いというのが本音だ。
「いや、流石に強い敵というのはちょっと不安かな……」
そう言った僕に対し、大げさに笑った。
「―――――お前はホンマに情けない奴やな。まあ、しゃーない、今回は勘を取り戻すってことで最下位モンスターを狩りまくるか?」
「そうしてもらえると助かるよ。」
堺との談笑もそこそこに、僕たちは酒場へと急いだ。
酒場までの道のりは思ったよりも長かったが、いつの間にか僕はこの街が好きになっていたため、苦痛には感じなかった。
僕の国とは違い、おしゃれな街並みはまるで悪魔の存在を感じさせない。ただそれだけで、僕にとっては大きなやすらぎをもたらしてくれる包容力のある街だと感じさせた。
酒場に着くと巨体で珍妙な格好をした大男が店の中を怪しく覗き込んでいる姿が目に付く。道行く人もその異様さからか酒場を避けて通っているようだ。
うん? あのハゲ頭どこかで見たような……
そう、あれは武器屋の主である光だ。もともとの風貌も強面にも関わらず、ピチピチのタキシードは彼の怪しさを一層強める約割にしかなっていない。
僕は顔を半分引きつらせながら話しかけてみた。
「……光さん? こんなところでなにをしているんですか?」
光はこちらに全く気が付いていなかったようでこちらを振り向いて驚きの表情を見せた。それはまるで鬼の形相、かえってこちらがびびってしまうほど恐ろしい。
「――――なんだ、お前らか……急に声をかけられたからびっくりしちまったじゃねーか!!」
そういうと光は口に指をあて、黙るように促した。それにしても光はなんだか様子がおかしいかしいし、なにより一番うるさいのはあんただ。
沈黙というのは残酷なもので、おしゃべりな堺にとってはまさに拷問そのものらしい。堺までそわそわし始めた。2人おっさんがもじもじしている様子はシュールで、一緒にいることが恥ずかししい。
距離を取ろうと決意した僕だが、先に決断したのは堺だった。
「……おやっさんなんで、タキシードなんて来てるんや? 正直その筋肉でタキシードは気持ち悪いで?」
全く堺の言う通りではあるが……あるのだが、今の堺が言っていいことでは決してない。それは光とっても同じようだ。
「堺……他の誰でもなくお前にだけは言われたくないぞ……お前のその真っ白なスーツは似合ってないぞ…いつものチャラチャラした服はどうしたんだ?」
堺は言い返せないようで黙り込んだ。正直僕もそう思っていたよ堺……
だが、堺は直ぐに元気を取り戻した。彼にとってそれはわかりきっていたことなのだろう、いまさら言うほどのことではない。
「うるさいわ! あのスーツは間違って洗濯してもうたんや!」
僕は思った。お前の方がうるさいよ……
「はっはっはっ、それでお前はその似合わんスーツを着てるんか!」
光が爆笑しながらいった。あんたも朝からうるさいよ……
僕は大きな声により頭が痛くなってきた。
「堺も光さんもそこまでにしてくれないか……近所迷惑だよ……そんな事より光さんのタキシードは僕も気になってたんですが、どうしたんですか?」
そのなだめとも言える僕の言葉を光はどうも履き違えたようだ。
「なんだ。イグニスまで俺のこの姿を馬鹿にしようとでも言うのか?……」
「いえそういうことではなく……」
とてつもなく面倒くさい2人でまたヒートアップする。
―――――本当に勘弁してくれ……
道を通っている人々の視線はかなり痛かった。
30分ほどの言い合いの末、2人の口喧嘩はようやく佳境を迎えた。入り込む隙など全くと言っていいほどないが、それでもこれ以上は本気でまずい……そう感じた時には突如収まりを見せた2人の喧嘩。まあ2人とも僕に比べ大人なわけだからあたりまえか?
これ以上醜態をさらして欲しくはないが、2人を嫌いにならずに済みそうだ……
「……こんなバカはほっておいて、イグニスには話すとしよう。実は今日、俺の娘である灯の誕生日なんだよ!」
なんとなく事態は把握した。それでタキシードか……。だが、店の前まで来ておいてそのお祝いパーティーに関する話をするのが恥ずかしくなったようだ。
なんだか可哀想だったので、僕は彼を中に連れ込むことにした。
だが昨日の今日で俺の新たな相棒の初陣はどうしたものかと考えていた。
堺から声が掛かったのはそんな時だった。
「どうや、今日も一緒に行かんか?」
もちろん2つ返事で返す僕だが、それは1人で行くのが怖かったからだ。決して友達と一緒に来たかったとからじゃないからな!
そんなこんなで、いつも一緒に会社へと向かうニヒルとは家で別れた。今日は会社へは向かわず、そのまま酒場へと直行だ。
その道すがら、僕と堺はクエストの話しで盛り上がっていた。
「昨日みたいに最下位モンスターを狩りに行ってもええねんけど、それじゃあつまらんやろ?」
堺の言うことは確かだが、なれない武器で強い敵に挑むのは少し怖いというのが本音だ。
「いや、流石に強い敵というのはちょっと不安かな……」
そう言った僕に対し、大げさに笑った。
「―――――お前はホンマに情けない奴やな。まあ、しゃーない、今回は勘を取り戻すってことで最下位モンスターを狩りまくるか?」
「そうしてもらえると助かるよ。」
堺との談笑もそこそこに、僕たちは酒場へと急いだ。
酒場までの道のりは思ったよりも長かったが、いつの間にか僕はこの街が好きになっていたため、苦痛には感じなかった。
僕の国とは違い、おしゃれな街並みはまるで悪魔の存在を感じさせない。ただそれだけで、僕にとっては大きなやすらぎをもたらしてくれる包容力のある街だと感じさせた。
酒場に着くと巨体で珍妙な格好をした大男が店の中を怪しく覗き込んでいる姿が目に付く。道行く人もその異様さからか酒場を避けて通っているようだ。
うん? あのハゲ頭どこかで見たような……
そう、あれは武器屋の主である光だ。もともとの風貌も強面にも関わらず、ピチピチのタキシードは彼の怪しさを一層強める約割にしかなっていない。
僕は顔を半分引きつらせながら話しかけてみた。
「……光さん? こんなところでなにをしているんですか?」
光はこちらに全く気が付いていなかったようでこちらを振り向いて驚きの表情を見せた。それはまるで鬼の形相、かえってこちらがびびってしまうほど恐ろしい。
「――――なんだ、お前らか……急に声をかけられたからびっくりしちまったじゃねーか!!」
そういうと光は口に指をあて、黙るように促した。それにしても光はなんだか様子がおかしいかしいし、なにより一番うるさいのはあんただ。
沈黙というのは残酷なもので、おしゃべりな堺にとってはまさに拷問そのものらしい。堺までそわそわし始めた。2人おっさんがもじもじしている様子はシュールで、一緒にいることが恥ずかししい。
距離を取ろうと決意した僕だが、先に決断したのは堺だった。
「……おやっさんなんで、タキシードなんて来てるんや? 正直その筋肉でタキシードは気持ち悪いで?」
全く堺の言う通りではあるが……あるのだが、今の堺が言っていいことでは決してない。それは光とっても同じようだ。
「堺……他の誰でもなくお前にだけは言われたくないぞ……お前のその真っ白なスーツは似合ってないぞ…いつものチャラチャラした服はどうしたんだ?」
堺は言い返せないようで黙り込んだ。正直僕もそう思っていたよ堺……
だが、堺は直ぐに元気を取り戻した。彼にとってそれはわかりきっていたことなのだろう、いまさら言うほどのことではない。
「うるさいわ! あのスーツは間違って洗濯してもうたんや!」
僕は思った。お前の方がうるさいよ……
「はっはっはっ、それでお前はその似合わんスーツを着てるんか!」
光が爆笑しながらいった。あんたも朝からうるさいよ……
僕は大きな声により頭が痛くなってきた。
「堺も光さんもそこまでにしてくれないか……近所迷惑だよ……そんな事より光さんのタキシードは僕も気になってたんですが、どうしたんですか?」
そのなだめとも言える僕の言葉を光はどうも履き違えたようだ。
「なんだ。イグニスまで俺のこの姿を馬鹿にしようとでも言うのか?……」
「いえそういうことではなく……」
とてつもなく面倒くさい2人でまたヒートアップする。
―――――本当に勘弁してくれ……
道を通っている人々の視線はかなり痛かった。
30分ほどの言い合いの末、2人の口喧嘩はようやく佳境を迎えた。入り込む隙など全くと言っていいほどないが、それでもこれ以上は本気でまずい……そう感じた時には突如収まりを見せた2人の喧嘩。まあ2人とも僕に比べ大人なわけだからあたりまえか?
これ以上醜態をさらして欲しくはないが、2人を嫌いにならずに済みそうだ……
「……こんなバカはほっておいて、イグニスには話すとしよう。実は今日、俺の娘である灯の誕生日なんだよ!」
なんとなく事態は把握した。それでタキシードか……。だが、店の前まで来ておいてそのお祝いパーティーに関する話をするのが恥ずかしくなったようだ。
なんだか可哀想だったので、僕は彼を中に連れ込むことにした。
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