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2.2 悪魔との出会い
7.卑劣
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「悪いが僕はお前の長話を聞いてやるほど優しくはないと言いたいところだが……弱者が何をほざいたところで、意味なんて無い」
僕は諦め混じりにため息を付いた。悪魔が憑依した人間を倒すことは容易だが、悪魔そのものが相手となれば話は別だ。普通の人間と堕天使である悪魔では、そもそも同じ場所にいる事自体がおこがましいと言っても過言ではないほどに実力差は明白だ。
「おいおい、そこまで自分のことを卑下する必要はあるのか? 俺の見立てでは、お前はこの国の騎士というやつだろう? ……それもパラディンだな」
悪魔は一人で納得したように、首を縦に何度も振った。その様子はまるで悪夢だった。だってそうだろう? 見た目は邪悪なる狼なわけだ。それが話すだけでも奇妙であり珍妙なのに、そいつが壊れたように首を振り続けているわけだから、嘲笑ような雰囲気ではない。だからか、僕はそのときに見合った言葉が思いつかなかった。
「……」
そんな僕の様子を気にしたのか、悪魔は頷くのをやめ、首をかしげてこちらに視線を向けて言い放った。
「そうか、お前たちはパラディンと言う言葉をしらないんだな。ってことは……今何年だ?」
「……」
先ほどとは違い、遠い昔のともに話しかけるように、いかにも前世で別れた息子にでも話しかけるような、そんな親しげな話し方という印象を植え付けられた。だからこそ、僕は今度も何も答えない。
「ふーん、あくまでだんまりを決め込む腹づもりか? なんてな、今の聞いたか? 悪魔があくまでって! ははは、面白いだろう? ってどうした、そんな毒虫でも噛み潰したような顔をして?」
「それをいうなら苦虫だ! 毒虫なんて噛み潰したら死んでしまうだろうが」
悪魔の長ったらしくも、懐かしいようなそんなわざとらしい間違いに、耐えることが出来ず間違いを訂正してしまう。しかし、自分でもどうしてそんな行動を取ったのかが不思議でならない。元来、僕はそう言った冗談が好きではない。厳格な父の元で育てられた僕にとって、冗談とは低俗で穢らわしいというイメージを払拭することが出来なかったからだ。それは騎士団の内部でも同じで、騎士団員の殆どが貴族の家系から出た者ということもあり、そんんな低俗な庶民の文化というものを嫌っていた。――そんな貴族によくある差別が蔓延していたからこそ、それが一番薄い僕が騎士王として選ばれたということもあるが、このような経緯から、僕は悪魔とのやり取りが、自分にとっても自然的ではないという事に気がついていた。そして、それは悪魔も同じようだ。
「ほう、騎士様にしては珍しい。俺がほしいものを的確にくれるとはな……」
「……」
「なんだ、まただんまりか? そんなに黙り込んで何が楽しいのやら……それで俺を倒す算段はついたのか?」
「今の僕には無理だ」
そう、いくら僕が強くなったところで、人間であるうちは彼に勝つことは出来ないだろう。それは戦わずしても分かることだ。……なんて、格好つけてさも実力差が分かる男のようなことを言ったが、僕は達人ではないわけで、対峙したぐらいでそれが分かるのであれば、僕はこんなにも恐怖を抱いてはいないだろう。
「俺も暇じゃないからな……これ以上考える時間をやるなんてことも出来ない。つまりは、そろそろ始めようかってことなんだが、いいか?」
もちろん良くはない。と言うか悪いというべきだろう。だが――
「良くなくてもお前は待ってくれるつもりはないんだろう?」
「ああ、さっきもそういったしな……」
さてと、なんて言葉を吐いて悪魔は立ち上がる。立ち上がった悪魔から感じられるプレッシャーは先程よりも少しだけ大きく感じた。それを感じた僕も腰に据え聖剣を構える。
「言っておくが、僕が正攻法でお前に勝つのは無理だから、ちょっと卑怯な手を使わせてもらうが……って悪魔相手にこんな宣言をするのもおかしいな」
そう言い終わるや否や、すぐさま僕は悪魔に斬りかかろうとした。だが、それはいとも簡単に避けられてしまう。僕が切り込んだその距離だけ悪魔は後ろに飛び退いたようだ。直接それを目で追うことが出来たわけではないが、土についた足跡がそれを物語っていた。
「その不意打ちのことを卑怯な手と言っているのならかなりがっかりだが……違うのだろう?」
僕はゆっくりと頷く、くしくも、悪魔が言うことは当たっていたということだ。だが、その卑怯な手とやらにも準備がいる。その時間稼ぎのために、僕は何度も悪魔に斬りかかるが、全てギリギリのところでかわされている。それだけ僕と悪魔の間には実力差があるのだろう。だが、悪魔が僕に対して反撃しないということは、少なからず僕の卑怯な手という言葉を気にしてくれているということだろう。――好都合だ。悪魔がこちらに手を出さないという事は、それだけ時間が稼げるということだ。むしろそれだけ僕にとって有利だということであり、準備をする余裕が出来たということである。
「いいのか、せめて来なくて?」
僕は十分に時間を稼いだ後、悪魔に対して挑発するように剣先を向けた。
「そんな見え透いた挑発に乗るはずがないだろう? だが、時間は有限だしな……ちょっと攻めてみるとするかな!」
悪魔はその鋭い牙が見え隠れする口を大きく開いた。この状況はさっき師匠を消し去ったあの時と同じだ。先程はあまりにも突然に起きたことだったから、動揺してしまい何が起きたかすら把握出来なかったが、今度は違う。冷静に対処できるはずだ。
開かれた口から一瞬だけ火花が散ったのを僕は見逃さなかった。見逃さなかったために回避行動を取ることが出来たが、それでも間一髪というところだろう。もし、その一瞬を見極めることが出来なかったら、師匠の二の舞いだ。
「まさか、口から火を吐くとは……まるで伝説上の生き物であるサラマンダーのようだな……いいやサラマンダーよりもずっと早い! 本当に火を吐いたのかすら疑問に思えるほどだ。もし、地面に焦げ跡が残っていなければ、まだ疑っていただろう」
僕は先程まで自身が立っていた場所が削り取られているのを見て、ようやく悪魔の正体が分かった気がした。
「まさか避けられるとは思っても見なかった。だが、世界は広い……俺の速攻を避けるやつが何人いたところで驚きはしないが、これは困ったな……出来るだけ近接戦闘は避けたかったんだがな」
その言葉を最後に、僕は悪魔を見失った。徐々に動きがわからなくなったなんて話ではなく、突如、まるで透明にでもなったかのように、それが当たり前であるかのように消え去ったのだ。
――まさか、魔法だというのか? いや、だがあいつはさっき近接戦闘がどうとか言っていた。つまり、僕の目に見えないほど早く動いているというのか?
そんな風に思考を張り巡らせていた僕に、突然に痛みがやってきた。まるで馬車にでも激突されたかのような激痛が僕の左頬へと流れた。そのせいか、僕の思考はそこでシャットアウトしてしまい、次の動作への反射すら出来ない。それを良いことに、次は左脇腹に痛みがやってくる。思考は追いつかない。ただ突如として訪れる痛みに耐えることが出来ず、うめき声をあげ、防御すらままならない間に、次はみぞおちへと衝撃が走った。
「っ……!!」
もはや、声にもならない叫びがあたりにこだまする。体中が引っかき傷で血まみれだ。ただ、それすらも次にやってくる痛みの布石に過ぎないのではないか、なんていう自分自身の中にある恐怖によって嘔吐させられた。
それを見てか、悪魔は僕に対して姿も表さないまま言い放つ。
「気がついているか? 先程までの攻撃が一定のインターバルで行われていたということに……はっはっは、気がついているわけないか、俺の攻撃に死に損なっているお前に気がつけるはずなどない! 本当はお前に恐怖によるショック死を味あわせてやりたかったが、どうも手加減がわからなくてな……犬の姿だからってのもあるだろうが、人間がどれくらい脆いってのがわからなくて困るな……」
僕の頭にはその言葉がまるで入ってこなかったが、それでも、その時間があったからこそ考えることは出来た。ただ、唯一の作戦とも言える、最終手段を使うその準備が整ったことを思い出すことが出来たことすら、悪魔が悪魔であったからとも言えるだろう。つまるところ、悪魔のような考えのも持ち主であったからこそ、油断が生じたということだ。
「……わるいな……悪魔……僕の勝ちだっ!」
自分の中にあるのかないのかぐらいしか無い少量の魔力を全て解き放ち、師匠が最初に行おうとした禁断の魔法である憑依魔法を発動させる。悪魔の中にあった人間の魂を自分のために利用するのはあまり快くはないが、それでも、自分が生き延びるためには仕方がないだろう。――少々、魂の隷属に時間はかかってしまったが、数秒程度あれば、悪魔を僕の中に憑依、つまり封印出来るだろう。
だが、それ自体チェックメイトと言うには程遠いことは、僕自身がわかっていた。
「それがお前の言う卑怯な手というのであれば、謝るのはよせ……いやむしろ誤ってもらおうか、その愚かしさに対して……」
悪魔は自分の中にあった兵士たちの魂、僕が隷属させたはずの魂をいとも簡単に隷属し返し、冷徹なその目をこちらに向け嘲笑った。だが、目は笑っていない。彼の持つ火の属性のように熱い怒りを表しているかのように、それでもって諦めとも取れるような、そんな目をしていた。
それが僕にとっての最後の手段をいともたやすく打ち砕いたものの目立った。
「終わった……」
僕の口から飛び出したのはその言葉だけでなく、希望を含めたいろいろなものった。望み達が消える瞬間というのは、望みが絶え、絶望へと変わるまでの時間というのは実に数秒だ。目の前にいるのは、それの成れの果て、悪魔、人の絶望の象徴なのだから、当たり前といえば当たり前ではあるが、これでようやく神を捨てることが出来るだろう。願わくは、彼女たちに被害が及ばないということだけだった。
僕は諦め混じりにため息を付いた。悪魔が憑依した人間を倒すことは容易だが、悪魔そのものが相手となれば話は別だ。普通の人間と堕天使である悪魔では、そもそも同じ場所にいる事自体がおこがましいと言っても過言ではないほどに実力差は明白だ。
「おいおい、そこまで自分のことを卑下する必要はあるのか? 俺の見立てでは、お前はこの国の騎士というやつだろう? ……それもパラディンだな」
悪魔は一人で納得したように、首を縦に何度も振った。その様子はまるで悪夢だった。だってそうだろう? 見た目は邪悪なる狼なわけだ。それが話すだけでも奇妙であり珍妙なのに、そいつが壊れたように首を振り続けているわけだから、嘲笑ような雰囲気ではない。だからか、僕はそのときに見合った言葉が思いつかなかった。
「……」
そんな僕の様子を気にしたのか、悪魔は頷くのをやめ、首をかしげてこちらに視線を向けて言い放った。
「そうか、お前たちはパラディンと言う言葉をしらないんだな。ってことは……今何年だ?」
「……」
先ほどとは違い、遠い昔のともに話しかけるように、いかにも前世で別れた息子にでも話しかけるような、そんな親しげな話し方という印象を植え付けられた。だからこそ、僕は今度も何も答えない。
「ふーん、あくまでだんまりを決め込む腹づもりか? なんてな、今の聞いたか? 悪魔があくまでって! ははは、面白いだろう? ってどうした、そんな毒虫でも噛み潰したような顔をして?」
「それをいうなら苦虫だ! 毒虫なんて噛み潰したら死んでしまうだろうが」
悪魔の長ったらしくも、懐かしいようなそんなわざとらしい間違いに、耐えることが出来ず間違いを訂正してしまう。しかし、自分でもどうしてそんな行動を取ったのかが不思議でならない。元来、僕はそう言った冗談が好きではない。厳格な父の元で育てられた僕にとって、冗談とは低俗で穢らわしいというイメージを払拭することが出来なかったからだ。それは騎士団の内部でも同じで、騎士団員の殆どが貴族の家系から出た者ということもあり、そんんな低俗な庶民の文化というものを嫌っていた。――そんな貴族によくある差別が蔓延していたからこそ、それが一番薄い僕が騎士王として選ばれたということもあるが、このような経緯から、僕は悪魔とのやり取りが、自分にとっても自然的ではないという事に気がついていた。そして、それは悪魔も同じようだ。
「ほう、騎士様にしては珍しい。俺がほしいものを的確にくれるとはな……」
「……」
「なんだ、まただんまりか? そんなに黙り込んで何が楽しいのやら……それで俺を倒す算段はついたのか?」
「今の僕には無理だ」
そう、いくら僕が強くなったところで、人間であるうちは彼に勝つことは出来ないだろう。それは戦わずしても分かることだ。……なんて、格好つけてさも実力差が分かる男のようなことを言ったが、僕は達人ではないわけで、対峙したぐらいでそれが分かるのであれば、僕はこんなにも恐怖を抱いてはいないだろう。
「俺も暇じゃないからな……これ以上考える時間をやるなんてことも出来ない。つまりは、そろそろ始めようかってことなんだが、いいか?」
もちろん良くはない。と言うか悪いというべきだろう。だが――
「良くなくてもお前は待ってくれるつもりはないんだろう?」
「ああ、さっきもそういったしな……」
さてと、なんて言葉を吐いて悪魔は立ち上がる。立ち上がった悪魔から感じられるプレッシャーは先程よりも少しだけ大きく感じた。それを感じた僕も腰に据え聖剣を構える。
「言っておくが、僕が正攻法でお前に勝つのは無理だから、ちょっと卑怯な手を使わせてもらうが……って悪魔相手にこんな宣言をするのもおかしいな」
そう言い終わるや否や、すぐさま僕は悪魔に斬りかかろうとした。だが、それはいとも簡単に避けられてしまう。僕が切り込んだその距離だけ悪魔は後ろに飛び退いたようだ。直接それを目で追うことが出来たわけではないが、土についた足跡がそれを物語っていた。
「その不意打ちのことを卑怯な手と言っているのならかなりがっかりだが……違うのだろう?」
僕はゆっくりと頷く、くしくも、悪魔が言うことは当たっていたということだ。だが、その卑怯な手とやらにも準備がいる。その時間稼ぎのために、僕は何度も悪魔に斬りかかるが、全てギリギリのところでかわされている。それだけ僕と悪魔の間には実力差があるのだろう。だが、悪魔が僕に対して反撃しないということは、少なからず僕の卑怯な手という言葉を気にしてくれているということだろう。――好都合だ。悪魔がこちらに手を出さないという事は、それだけ時間が稼げるということだ。むしろそれだけ僕にとって有利だということであり、準備をする余裕が出来たということである。
「いいのか、せめて来なくて?」
僕は十分に時間を稼いだ後、悪魔に対して挑発するように剣先を向けた。
「そんな見え透いた挑発に乗るはずがないだろう? だが、時間は有限だしな……ちょっと攻めてみるとするかな!」
悪魔はその鋭い牙が見え隠れする口を大きく開いた。この状況はさっき師匠を消し去ったあの時と同じだ。先程はあまりにも突然に起きたことだったから、動揺してしまい何が起きたかすら把握出来なかったが、今度は違う。冷静に対処できるはずだ。
開かれた口から一瞬だけ火花が散ったのを僕は見逃さなかった。見逃さなかったために回避行動を取ることが出来たが、それでも間一髪というところだろう。もし、その一瞬を見極めることが出来なかったら、師匠の二の舞いだ。
「まさか、口から火を吐くとは……まるで伝説上の生き物であるサラマンダーのようだな……いいやサラマンダーよりもずっと早い! 本当に火を吐いたのかすら疑問に思えるほどだ。もし、地面に焦げ跡が残っていなければ、まだ疑っていただろう」
僕は先程まで自身が立っていた場所が削り取られているのを見て、ようやく悪魔の正体が分かった気がした。
「まさか避けられるとは思っても見なかった。だが、世界は広い……俺の速攻を避けるやつが何人いたところで驚きはしないが、これは困ったな……出来るだけ近接戦闘は避けたかったんだがな」
その言葉を最後に、僕は悪魔を見失った。徐々に動きがわからなくなったなんて話ではなく、突如、まるで透明にでもなったかのように、それが当たり前であるかのように消え去ったのだ。
――まさか、魔法だというのか? いや、だがあいつはさっき近接戦闘がどうとか言っていた。つまり、僕の目に見えないほど早く動いているというのか?
そんな風に思考を張り巡らせていた僕に、突然に痛みがやってきた。まるで馬車にでも激突されたかのような激痛が僕の左頬へと流れた。そのせいか、僕の思考はそこでシャットアウトしてしまい、次の動作への反射すら出来ない。それを良いことに、次は左脇腹に痛みがやってくる。思考は追いつかない。ただ突如として訪れる痛みに耐えることが出来ず、うめき声をあげ、防御すらままならない間に、次はみぞおちへと衝撃が走った。
「っ……!!」
もはや、声にもならない叫びがあたりにこだまする。体中が引っかき傷で血まみれだ。ただ、それすらも次にやってくる痛みの布石に過ぎないのではないか、なんていう自分自身の中にある恐怖によって嘔吐させられた。
それを見てか、悪魔は僕に対して姿も表さないまま言い放つ。
「気がついているか? 先程までの攻撃が一定のインターバルで行われていたということに……はっはっは、気がついているわけないか、俺の攻撃に死に損なっているお前に気がつけるはずなどない! 本当はお前に恐怖によるショック死を味あわせてやりたかったが、どうも手加減がわからなくてな……犬の姿だからってのもあるだろうが、人間がどれくらい脆いってのがわからなくて困るな……」
僕の頭にはその言葉がまるで入ってこなかったが、それでも、その時間があったからこそ考えることは出来た。ただ、唯一の作戦とも言える、最終手段を使うその準備が整ったことを思い出すことが出来たことすら、悪魔が悪魔であったからとも言えるだろう。つまるところ、悪魔のような考えのも持ち主であったからこそ、油断が生じたということだ。
「……わるいな……悪魔……僕の勝ちだっ!」
自分の中にあるのかないのかぐらいしか無い少量の魔力を全て解き放ち、師匠が最初に行おうとした禁断の魔法である憑依魔法を発動させる。悪魔の中にあった人間の魂を自分のために利用するのはあまり快くはないが、それでも、自分が生き延びるためには仕方がないだろう。――少々、魂の隷属に時間はかかってしまったが、数秒程度あれば、悪魔を僕の中に憑依、つまり封印出来るだろう。
だが、それ自体チェックメイトと言うには程遠いことは、僕自身がわかっていた。
「それがお前の言う卑怯な手というのであれば、謝るのはよせ……いやむしろ誤ってもらおうか、その愚かしさに対して……」
悪魔は自分の中にあった兵士たちの魂、僕が隷属させたはずの魂をいとも簡単に隷属し返し、冷徹なその目をこちらに向け嘲笑った。だが、目は笑っていない。彼の持つ火の属性のように熱い怒りを表しているかのように、それでもって諦めとも取れるような、そんな目をしていた。
それが僕にとっての最後の手段をいともたやすく打ち砕いたものの目立った。
「終わった……」
僕の口から飛び出したのはその言葉だけでなく、希望を含めたいろいろなものった。望み達が消える瞬間というのは、望みが絶え、絶望へと変わるまでの時間というのは実に数秒だ。目の前にいるのは、それの成れの果て、悪魔、人の絶望の象徴なのだから、当たり前といえば当たり前ではあるが、これでようやく神を捨てることが出来るだろう。願わくは、彼女たちに被害が及ばないということだけだった。
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