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3章 対なる聖者
4.聖なる角 3
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「お前は出てくるんじゃない。話がややこしくなるだけだ」
ルシフはため息をついて窓を閉めた。そこにいた全員が唖然とする中、アリサが声を出す。
「今のってレヴィア様だよね……?」
アリサは窓の方をじっと見つめる。唖然とし続けていたおっさんもつられて窓を見つめる。
「いいや、気のせいじゃないか…………」
今日、ずっと誤魔化し続けていたルシフだが、いつまで経っても誤魔化しが上手くならない。
「いや、俺も知っているぞ。あれは、間違いなく王国騎士団のレヴィアだろ?」
「おっさんは黙っていてくれよ!!」
「お前、目上の人にその態度はないだろう」
おっさんは明らかに不服そうだが、ルシフの言葉に黙り込んだ。
それにより、ようやく喋る機会を得た様にアリサが口早に話し始める。
「レヴィア様、やっぱりこの街に居たんだね。ルシフさん、早くレヴィア様を呼んできてよ。僕はレヴィア様に会うためにこんな所まで来たんだ!」
まるで本当に子供のようにはしゃぐアリサ。
「その必要はないわ! 早く家に帰りなさいアリサ!」
いつの間にか教会の入口へと回っていたレヴィアがアリサに厳しく言う。
「いいえ、帰りません。僕はレヴィア様と一緒に居られればそれでいんだもん。レヴィア様と一緒じゃなければ帰る必要なんてない!!」
アリサは激昂する。それに対抗する様にレヴィアが怒鳴る。
「言ってるでしょ、今は王都に帰るつもりなんてない!! そこのハムートと一緒に騎士団本部に帰りなさい!!」
「どうしてそんなこと言うの? 僕たちはもうあそこにはいたくないんだよ!?」
その言葉にレヴィアが怒りを鎮めた。それどころか意気消沈したように気迫がなくなった。
「そうか、あなたたちも私と同じなのか?」
「……一緒?」
アリサに自覚がなかった。しかし、それもしょうがないことである。彼女はまだ5歳だから、プレッシャーや近くにない恐怖が自分の深層意識に関係しているということに気がつかなかった。
「私は悪魔の軍勢に恐怖して逃げて来た、あなたたちもそうなんじゃないの?」
「僕が逃げた…………?」
「そう逃げた。あなたは私のように逃げちゃだめ……まだ間に合うから戻って」
そう言うレヴィアの目には涙が浮かんでいる。
「何だかわからないが、そろそろ話してもいいか?」
空気も読まずに言葉を発したは、もちろんこの人、おっさんだった。
「誰か知らないけど、なに?」
止めようとしたルシフの動きも間に合わず、レヴィアが問いかけた。
「俺は思うんだ……その子はあんたを慕ってどこか遠い所から来たんだろ? なら無碍にするのは可哀想だ。」
おっさんは子供のことに関してはよく気が回る男だ。ただ、そのことによって保護者からはロリコン変質者として扱われることになる。
「あなたの言うことは確かにそうね。だけど、この子は聖者なんだから、人に甘えることはダメなの……」
おそらく、この中で一番アリサのことをわかっているのはレヴィアだろう。彼女のいうことはおそらく自分の経験則からだ。だけど、おっさんも人の親だ。ただつけ離すだけではダメだということは痛い程知っている。
「そうか、確かに偉大な者になる事も大切だろうな。だがな君も通った道だ、分かるとは思うが理解者がそばに居ないということは辛い事だ。
一番信頼出来る相手だからこそ、こんな所まできたんだろう? それなら君が助けてやらねばその子はどうすると言うんだ?」
おっさんは凄くかっこいい事といって、悦に浸っている。そんなことを言われたレヴィアだ、考えることがあるだろう。くしくもルシフにとっても響く言葉だ。
おっさんは自分が言いたいことだけいうと、「しまった! 朝飯を作る時間だった!! 妻に殺される!!」と叫びいそいで家へと帰って行った。
(おっさんめ、こんな空気のまま帰るなんてどうかしてるぜ!)
ひとまず、暗くなった空気を一蹴したいがために、ルシフは2人に対して一つの言葉を送る。
「こんな時に使う言葉を知っているか? 俺は知っている、お前らよりも学があるからな。つまり、今回のこの状況は喧嘩両成敗だ!」
その言葉に帰って静まりかえる2人であった。
ルシフはため息をついて窓を閉めた。そこにいた全員が唖然とする中、アリサが声を出す。
「今のってレヴィア様だよね……?」
アリサは窓の方をじっと見つめる。唖然とし続けていたおっさんもつられて窓を見つめる。
「いいや、気のせいじゃないか…………」
今日、ずっと誤魔化し続けていたルシフだが、いつまで経っても誤魔化しが上手くならない。
「いや、俺も知っているぞ。あれは、間違いなく王国騎士団のレヴィアだろ?」
「おっさんは黙っていてくれよ!!」
「お前、目上の人にその態度はないだろう」
おっさんは明らかに不服そうだが、ルシフの言葉に黙り込んだ。
それにより、ようやく喋る機会を得た様にアリサが口早に話し始める。
「レヴィア様、やっぱりこの街に居たんだね。ルシフさん、早くレヴィア様を呼んできてよ。僕はレヴィア様に会うためにこんな所まで来たんだ!」
まるで本当に子供のようにはしゃぐアリサ。
「その必要はないわ! 早く家に帰りなさいアリサ!」
いつの間にか教会の入口へと回っていたレヴィアがアリサに厳しく言う。
「いいえ、帰りません。僕はレヴィア様と一緒に居られればそれでいんだもん。レヴィア様と一緒じゃなければ帰る必要なんてない!!」
アリサは激昂する。それに対抗する様にレヴィアが怒鳴る。
「言ってるでしょ、今は王都に帰るつもりなんてない!! そこのハムートと一緒に騎士団本部に帰りなさい!!」
「どうしてそんなこと言うの? 僕たちはもうあそこにはいたくないんだよ!?」
その言葉にレヴィアが怒りを鎮めた。それどころか意気消沈したように気迫がなくなった。
「そうか、あなたたちも私と同じなのか?」
「……一緒?」
アリサに自覚がなかった。しかし、それもしょうがないことである。彼女はまだ5歳だから、プレッシャーや近くにない恐怖が自分の深層意識に関係しているということに気がつかなかった。
「私は悪魔の軍勢に恐怖して逃げて来た、あなたたちもそうなんじゃないの?」
「僕が逃げた…………?」
「そう逃げた。あなたは私のように逃げちゃだめ……まだ間に合うから戻って」
そう言うレヴィアの目には涙が浮かんでいる。
「何だかわからないが、そろそろ話してもいいか?」
空気も読まずに言葉を発したは、もちろんこの人、おっさんだった。
「誰か知らないけど、なに?」
止めようとしたルシフの動きも間に合わず、レヴィアが問いかけた。
「俺は思うんだ……その子はあんたを慕ってどこか遠い所から来たんだろ? なら無碍にするのは可哀想だ。」
おっさんは子供のことに関してはよく気が回る男だ。ただ、そのことによって保護者からはロリコン変質者として扱われることになる。
「あなたの言うことは確かにそうね。だけど、この子は聖者なんだから、人に甘えることはダメなの……」
おそらく、この中で一番アリサのことをわかっているのはレヴィアだろう。彼女のいうことはおそらく自分の経験則からだ。だけど、おっさんも人の親だ。ただつけ離すだけではダメだということは痛い程知っている。
「そうか、確かに偉大な者になる事も大切だろうな。だがな君も通った道だ、分かるとは思うが理解者がそばに居ないということは辛い事だ。
一番信頼出来る相手だからこそ、こんな所まできたんだろう? それなら君が助けてやらねばその子はどうすると言うんだ?」
おっさんは凄くかっこいい事といって、悦に浸っている。そんなことを言われたレヴィアだ、考えることがあるだろう。くしくもルシフにとっても響く言葉だ。
おっさんは自分が言いたいことだけいうと、「しまった! 朝飯を作る時間だった!! 妻に殺される!!」と叫びいそいで家へと帰って行った。
(おっさんめ、こんな空気のまま帰るなんてどうかしてるぜ!)
ひとまず、暗くなった空気を一蹴したいがために、ルシフは2人に対して一つの言葉を送る。
「こんな時に使う言葉を知っているか? 俺は知っている、お前らよりも学があるからな。つまり、今回のこの状況は喧嘩両成敗だ!」
その言葉に帰って静まりかえる2人であった。
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