永劫回帰の黙示録(レヴェレーション)

真白 悟

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3章 対なる聖者

6.地形変化

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「ハムートの魂が全部角にあるだって?」
 ルシフは思わず声をあげ、聞き返す。
「兄さんは角に魂を奪われたと言ったほうがいいかな? 兄さんは5歳の時に魂、すなわち角を奪われて死んだんだ……それが15年前の事。そして、半分しか魂を持たない僕が生きている理由の一つ……」
 アリサは寂しさを醸し出してそう漏らし、懐かしむように話し始める。
「僕は生まれて直ぐに死ぬはずだったんだ。だけど、レヴィア様と兄さんが僕を生かしてくれた」
「……」

 いつの間にか考えをまとめのか、レヴィアが聞き耳を立てており、暗い空気に我慢できなかったようだ。
「その話はもう終わりね。このままじゃ気分が悪くなる一方だわ」
 そう言い放ち、屈託な笑顔でアリサを見る。
「ごめんなさい、僕はまた場を盛り下げてしまったようだね……」
 アリサは試合の時とはまるで別人のようだ。ずっと謝ってばかりで俯きがちに青い顔をし続けた。
「じゃあ、こうすればどうだ? アリサとハムートの2人とレヴィアで魔法試合をする」
 ルシフの思いつきの発言は恐ろしものだった。アリサとレヴィアは飛び出すような目でルシフの方を見る。
「ルシフ、あんた正気なの!?」
「そんな事をしたら大変な事になるよ! ルシフさん!」
 2人は同時に別々の事を叫ぶ、ルシフは聞き取ることが出来ず耳に手を当てる。
「は? なんて?」
「だ~か~ら~、本気でやり合えば、この街が消し飛んじゃうわよ!?」
 レヴィアは自分の力とアリサもといハムートの力を高く評価しているようだ。本気で消し飛ぶと言っていることがその表情からも読み取れる。
 アリサも同じようで、レヴィアの言葉に何度も頷き同意していた。
「誰もここでやれとは言ってないだろ? 街の外でやるんだよ!」
 そう提案するルシフだが、一番状況を分かっていないのがルシフだった。---


--- 数時間後、ルシフは強い後悔を抱いて倒れ伏していた。
 街の入口には永遠に続く大草原、だが、今となっては焼け野原。
 全ては灰燼と帰していた。
 だが、アリサもレヴィアも本気の魔法を使った訳ではない、どちらも初歩の魔法である狐火の魔法を放った。しかし、その威力はメラではなく、まさにメラゾーマだ。
 しかもまずい事に2人ともお互いの魔法の威力をみてやる気になってしまった。
「レヴィア様。僕が地角の聖者と呼ばれている理由を思い出させてあげるよ・・・・。」
「私こそ、この私の渦巻きの聖女の本当の怖さを教えてあげるわ!!」
 アリサは頭に二本の角をつけ猛り、レヴィアがそれに応えるように自身の最強魔法リヴィアタン・メルビレイの詠唱を始める。
 大地が揺れ、海が荒れる。その様子はまさに終末の時だ。いつアポカリプティックサウンドがなってもおかしくない。
「・・・・大いなる地の神よ! 化のものにその力を示したまえ!!」
「・・・・海を統べる白鯨よ! その姿を現し、恐れを集めよ!!」
 2人とも同時に詠唱が終わり、アリサからは茶色い魔法陣、レヴィアからは水色の魔法陣が現れ空気が揺れる。
「地殻魔法! ダイアストゥロフィズム!!」
「白鯨魔法! リヴィアタン・メルビレイ!!」
 2人から出ていた魔法陣がそれぞれの右目に宿る。
 アリサが地に手を当てると同時に恐ろしいほどの地響きが起こる。
 レヴィアが右手を振り上げ、手のひらを天に掲げると空に水でできたクジラが渦巻きとともに現れる。
 ルシフは死を覚悟した。2人ともルシフや街のことなど御構い無しに最大火力で魔法を放とうとしていたのだ。これでは本当に街は消滅してしまいそうに思えた。
 アリサが持つ二本の角から魔力が滾り、オーラとなって現れる。それに伴って地響きは収まった。だが、ここからが本番だ。地面の土から巨大な龍が現れ、その巨大な角をクジラに突き刺す。
 クジラは龍を包み込むも、どちらも均衡しているようで動かない。
 彼女達の目にある魔法陣にヒビが入る。どうやら魔力が持たなかったようだ。ヒビが入ると直ぐに崩れてしまった。
 しかし、クジラも龍も質量を持っている。それは魔法が崩れようが変わらない事実だ。その形が崩れようとも何万トンもある水と土が一斉に流れ出すのだ。
 巨大な壁に囲まれた街はなんとか持ち堪えたが、草原には小規模な山と大きな水溜りが出来てしまう。
 焼け野原になった草原に小さな山と湖だ、生態系は大きく変化してしまうだろう。もしかすると捕まる、最悪は死刑もあり得る。
 
「「・・・・・・。」」

 黙って見つめ合うレヴィアとアリサ、全力の戦いのあとは言葉などいらない。2人は固く手を握り合った。
 そんな様子を見ていたルシフは、恐怖と不安で胸が押し潰されそうだった。
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