永劫回帰の黙示録(レヴェレーション)

真白 悟

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3章 対なる聖者

7.賠償金

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 2人の戦いは、歴史に名を残すことだろう。たぶん。

 だが、ルシフにとって重要なのはこの壊れた街の壁をどうするかだ。
 レヴィアとアリサがいくら国家的な組織に入っていようが、私的な試合において国が賠償金を払ってくれる訳がない。

 戦いの後で、街の役場に連れられた3人はお先真っ暗だった。元来、この街もそこまで裕福な街ではないし、壁を立て直す様な金はない。
 それは、この役所がボロボロで古臭い木造建築のままであったことからも読み取れる。
 ボロボロさではルシフの教会が大敗することは間違いない。

 無愛想な受付を通され、2階へと招かれて小さな部屋に缶詰め状態にされてから、もう一時間はたっていた。
「それにしても、お前のその軍服は何の役にも立たなかったな・・・・。」
 ルシフがアリサの王国騎士団の制服をチラリと見てため息をついた。
「そりゃ、あんな状況じゃ言い訳もできないよ!!」
 すっかりフードが破れてしまって、騎士団の制服が見えているアリサが怒りを露わにいた。
「とにかく、悪いのは私とアリサよ・・・・ルシフに乗せられたとはいえね・・・・。」
 ずっとムスリとしていたレヴィアが反省した様に呟く。
「それよりも、所長はまだなの?」
「レヴィア様、もう少し静かに待っていようよ・・・。」
「それにしても遅すぎるぞ!! 確かに俺たちが悪いとはいえ!!」
「そうよ、いくら何でも待たせすぎよ!!」
「2人とも少し落ちつこうよ!!」

 そんな言い争いをしているうちにドアが開いた。ドアの向こうからは、頭に白髪の混じっり痩せ細っている初老の紳士が現れた。
 彫りが深く、若い頃は相当モテたであろう。そんな面影を残していた。
「いやぁ、待たせたね。君たちがあの災害を引き起こしたって本当かい?」
 3人が座る椅子の対面に座り込むと、気の抜けた様な声で3人に向かって瞳を輝かせながら話しかけた。
「聖者ともなると、ただの魔法が災害みたいなもんですよ・・・・。」
 開いた口が塞がらないレヴィアとアリサとは打って変わって、ルシフは普通に対応する。
「ルシフくん、それは本当かい!?」
 所長は机に乗り出し興味津々の様子だ。
「狐火の魔法が魔術師団の中堅クラスが使う最大火力魔法みたいだったよ。こんな奴らが大量にいると思うとぞっとしますよ。」
 呆気にとられていたレヴィアがその言葉に反論する。
「ちょっと、ルシフ! 誤解を生む様な事を言わないでよ!! 私達の狐火はそれほど強くないわよ!」
「草原を一面焼け野原にしてもか?」
「うぐっ・・・。」
「というかお前達の狐火だけで魔物を一掃出来るんじゃないか?」
「そ、それは流石に無理よ!」
「へー、それはこの街の所長としても興味深いな・・・。」


 魔法の話をしている間は、終始ニコニコ笑っていた所長もこの話を切り出す時ばかりは真剣な顔となる。流石にベテランだ、仕事に入ると雰囲気も全然変わる。
「さて、では仕事の話に入るとしようか。まず街の門の金額だが、あれは特注品でな王国通貨で金貨500だな。」
 あまりの値段に目玉が飛び出すルシフ。
「金500!? そんだけあったら新しい教会が建てれるぞ!!」
「まてまて、まだ城門の値段しか伝えてないだろう。壁の修繕費とか浸水してしまった入口付近の家々への賠償金、そして、道の整備費用。何より湖が出来てしまったから橋もいるな・・・・でたぞ、占めて金貨100,000だな。」
「じゅっ、十万だと!? 返せるわけが無いだろう!!」
「わかっとるがな・・・・そこはわしとルシフの仲だ。ゆっくり返せばいい。」
「そういう事じゃねー!! いくら待ってもらっても返せねーつってんだ!! お前らも何か言え!」
 ルシフは2人の方を見た。
「うーん、十万か・・・・私の給料50年分位かな?」
「いえ、レヴィア様。騎士団の給料はそこまで高くはないよ。500年分位かな・・・・。」
 2人は間抜けなやり取りをしていた。現実逃避といいやつだ。ルシフもそれに混じる。
「俺の給料なら4000年分位かな。そもそも、門の代金だけでも20年はかかるな。」

 そんな3人を見捨てるほど、この街も薄情じゃなかった。

「そんな3人にいい話がある。」

「「「いい話!?」」」

 初めて3人の息が合った。いい話なんて喉から手が出るほど欲しかった話だ。聞き逃す筈がない。
「知っての通り、最近魔物や悪魔が増えているだろ? それに伴って、ハンターギルドなるものを設立する事になった。しかも、そのギルドのモデルケースとしてこの街が選ばれたんだ。
 来週にもこの街には、仮説的ではあるがギルドが出来る。」
 ルシフはこれまで感じたことのがないほどのしらけを感じた。
「それのどこがいい話なんです?」
「なんと、そのギルドは誰でも簡単に加入できるうえに、大量の報酬金が出る。」
 その言葉に目を輝かせるレヴィアとアリサ。

「「報酬金!?」」

 ルシフだけはあまり良いこととは思えなかった。良い話には裏があるそれを骨身にしみて知っている。
 感無量な表情で、どうしたものか考えるルシフだが、結局考えたところでやるしかないというのも痛いところだ。

「なんか裏がありそうだが・・・・まあいい、話を聞かせて下さい。」
  
 そう頼むルシフだった。
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