永劫回帰の黙示録(レヴェレーション)

真白 悟

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5章 智の魔王

5.4人

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 ルシフは自分がいかに非力であるかということを知っている。
  だからこそダンダリオンとの戦いで死なずに済んだのだ。もし少しでも慢心があれば、一瞬にして敗北していたことは間違いない。ダンダリオンはそれほどまでに凶悪なのだ。

「なあジゼル」

 突然の声に驚いたのか、ジゼルは挙動不振だった。
「な、なんだ? ルシフ、お、俺になにかようかい?」
 ジゼルの慌てっぷりにはルシフも思うところがあった。彼は間違いなく、なにか隠し事をしている。

「俺とお前の仲だ。言わなくてもわかるだろ?」

 もちろんジゼルはルシフの言いたいことなどわかっていたが、それだけは許可出来ないようだ。
「お前と俺の仲だからこそいう。お前は足手まといだ・・・・・・なにより、お前は悪魔だろ? 俺が許したところで誰も認めはしないだろうな・・・・・・」
 そう言ったジゼルは、自身の言葉に納得していないようで唇を噛んでいた。
 だが、そんなことはルシフが一番知っている。そんなルシフにとって、親友の助言など意味すらもたない。

「それこそ、俺とお前の仲なんだ。止めても意味がないなんて分かりきっていることだろう?」
 2人とも、自分が引くつもりなど毛頭ないのだから、言葉に意味などないことは明確であるが、それでも2人は話し合いを続けた。

「ルシフ・・・・・・お前は何も分かっちゃいない! お前がどれだけ強く、どれだけ優秀で、どれだけ戦略を組み立てようが、その全てはその刻印によってきえさるのだ・・・・・・」

「ジゼル・・・・・・俺は誰かに認めてもらいたいわけじゃない! だけどな、親友と仲間、それに大切なやつをほっぽり出して逃げるほど臆病者にはなりたくないんだよ・・・・・・」

「そうかルシフ、お前の言いたいことはよく分かった。だがな、お前のその力は集団戦においてなんの意味ももたない・・・・・・確かにお前の剣の腕は一流だが、それも人間レベルでの話だ。相手はあのダンダリオンだからそんなものクソの役にもたたないぞ!」

「馬鹿だなお前は・・・・・・俺の魔法は集団戦でこそ役に立つ。なにより、相手は全てを知る知の魔王であり、いくつもの顔を持つものだ・・・・・・俺が正体を暴かなければお前らは誰がダンダリオンだか知ることすら出来ないだろうよ!」

 2人は散々言い合い、意見は一致することもなくジゼルは怒って教会のドアを強く開けた。
「ルシフ、俺はお前に死んで欲しくないんだ・・・・・・」
 ルシフに聞こえないようにそう呟き、教会から出て行った。

「俺も団長と同意見だぜ!」
 起きてるのか寝ているのか分からないハムートが話し始める。
「こんな奴を連れて行ったところで戦況は変わらない・・・・・・死者が1人増えるだけだ・・・・・・」
 それに対しアリサは少し不満げに言う。
「ちょっとは変わるよ」
「いいや、変わらない! それにこいつだけじゃない、レヴィア様が騎士団に戻ってもなにも変わらない! 悔しいけど、こいつに出来ることはレヴィア様を護ることぐらいだ」
 ハムートの表情は分からないが、おそらくレヴィアを気遣ってのことだろう。だが、それは直ぐに訂正される。

「誰が居たってかわらないって!?」

 声の主は教会のドアを勢いよく開ける。ドアの向こう側に立って居たのはレヴィアだった。
「私は確かに接近戦じゃ力不足よ! でも、魔法戦になると反対に役不足だわ!」
 その言葉に対し、呆れを吐露するハムート。
「レヴィア様は分かっておられないようだ・・・・・・ダンダリオンは魔法を使う隙など与えてはくれませんよ!」
 レヴィアは首を振る。
「それでも、私は行かなければならない。例えどれだけ怖くともね・・・・・・それがルシフに教えてもらった最後のことだからね・・・・・・」

 ルシフはこの時、レヴィア本当の覚悟に気がついた。彼女は驚くほど悲しい目をしている。
「最後じゃない! これからも俺もお前もアリサもジゼルも、ついでにハムートもお互いに色々なことを教え合うんだ! それが友だろ!?」

 しばらくの沈黙があった。レヴィアは思い詰めたような表情で何かを言おうとするが、結局言わない。
 そんな2人の様子を見て苛立ちを募らせたハムートがアリサの制止を押し切って怒鳴りはじめる。
「このクソ野郎のいう通りです! だからこそ、レヴィア様はこいつとここに残るべきなんだ!」
 ハムートの言葉をルシフは否定する。
「そうじゃない、俺は全員で生きるために全員で行くべきだと言っているんだ!」
 
「2人とも間違っているわ! 私とハムートは騎士だけど、ルシフは違う。」
「それもそうですね。レヴィア様。」

 2人はそれで納得したようだ。
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