永劫回帰の黙示録(レヴェレーション)

真白 悟

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終章 魔の終末

18.ダンダリオン

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 ルシファーとルシフ、名前は似ているがそれはかなり違う。ルシフというのは一人間の名前で、今までサボりながら神父をしてきて、ようやく過去を振り切ってここまでやってきた男の名前だ。
 しかし、ルシファーというのは自分が神よりも優れていると傲慢になり、神を貶めるために人間を誘惑して重い罪を侵させた天使。傲慢によって生きた天使の名前。
 その神を裏切る天使の名がダンダリオンの口から、ルシフに向けて発せられたことに関しては、この場にいるダンダリオン以外の人間の頭では理解できない事象であることは確かだだろう。
 だがある意味ではルシファーとルシフは似ている。神父という立場にありながら、神を信じていないルシフという人物は、神の側でありながら神を裏切ったルシファーに近い人間であるということは誰の目から見ても歴然たる事実と言えよう。
 それでも、レヴィアはその言葉を強く否定した。

「彼はルシフ、私の親友で大切な人。もし彼がルシファーだったとしても、彼が人間を誘惑して罪を侵させたとしても関係ない。結局罪を犯したのは人間だし、罪を償うのも人間。あなたになんて罪をかぶってっ貰う必要なんてないわ」

 レヴィアの言葉にジゼルとアリサも肯定する。しかしそれを一笑するかのようにダンダリオンが口を開いた。
「君たちにとってはそうだろう……だが一般の人、それもルシフ君のことなどしらない人にとって君の言葉はどう聞こえるだろうか? きっと『どうして他人の罪を自分たちが償うのだろうか?』なんてことを考えているに違いないだろう。人間とは生きているだけで罪を犯し続ける生き物だと言うのにな」

 ダンダリオンの言うことも最もだと思いながらも、ジゼルは否定する。
「確かに人間とはそういう生き物なのだろう。だがそれだけではないだろう?」
 ジゼルの言うことをダンダリオンは真っ向から否定する。

「いや違う、人間とは自分の罪さえも他人のせいに出来る生き物だ。欲望によって人は悪に走る。だがそれはきちんとした指導者のもとで強制は出来ると私は信じているが、今の人間が自分の罪を償うことはしないだろう。だからこそ、私達が悪となりそれを挫く正義を立てるべきだとは思わないか?」
「そのために人間を殺したって言うの!? おじさんはそんなことのために……」
 アリサが怒りに満ちた瞳でダンダリオンを睨みつけた。しかしより激高したのはダンダリオンの方だ。

「そんなことだと……!? だったら聞くが、お前は俺の長い人生で見てき人間の業を知っているとでも言うのか? いいや知るはずがない。たった数年……一度の人生終えていないお前ごときが…………ただ傀儡としての人生しか過ごしてこなかったお前が世界のことなど分かるはずがない」
 息切れしそうなほど、早口でまくし立てるダンダリオンはその王の姿の威厳は愚か、以前ルシフを襲撃した際の躍動感すら失われているようにルシフは感じた。
「お前に何があった?」
「俺には何もないさ……」
 ルシフの問に、ダンダリオンは冷静に答えた。その様子が先程に比べかなり冷静に見えた為ルシフは困惑する。
 これではまるで多重人格ではないか、と。

 そんなルシフの疑念に答えるかのようにダンダリオンが口を開く。
「すまない。俺の魔法は自分の精神に以上をきたす副作用がある。残念なことに人の記憶の一部が俺のもとなる。それは不便なことであり便利なことでもあるがな……だけど僕の言いたいことは今言ったとおり、歴史的大罪を犯した悪魔である僕を倒す事のできる英雄が世界を正しい方向へと導いていくことだ」
 ダンダリオンが王の姿を解き、本来の姿であるのかはルシフにはわからなかったが、魔神というその名にふさわしいような禍々しい黒い姿へと変貌していく。邪悪なオーラをまとったマントはまるで彼が魔王であることを示唆しているようなそんな恐怖を与える。

「そんな魔王のような格好をしていても、お前はこの世に悪魔がいないと言うんだな?」
 ルシフは恐る恐る尋ねた。その問いにダンダリオンは高笑いしつつも答える。
「いるのは自分のことを悪魔だと勘違いした犯罪者だけさ……この世にはまだ悪魔と言われる存在はいない。いるのは天使と人間とその他の生物だけで、人間が自分を悪魔だということ自体が傲慢だろう? まあ僕はある意味教会からしてみれば悪魔そのものだろうね、いやマーラと言うべきか」
 ダンダリオンは続けて、とにかくと言う。
「僕を倒して君たちは罪を洗う。そしてルシフ、君は人間の罪を洗浄する救世主となるんだ。それが神の計画。悪いけど他の3人はいらないだよ、今回の戦いにはね」
「ちょっとまて……!」
 ルシフがそう口にするよりも早く、ダンダリオンは姿を消した。それと同時に背後からはうめき声が一瞬聞こえる。ルシフの背後では、ダンダリオンがジゼルのみぞおちに強い一撃を与え、それをルシフが視認したと同時に、アリサの首に手刀を入れた。

「何だと!?」
 ルシフがようやく反応できる時間が来たかと思えば、ダンダリオンは猛スピードでレヴィアに向かう。ダンダリオンは両拳を強く握りしめて、レヴィアのみぞおちをめがけて右の拳を突き出したが、その拳がどこに来るか容易に読み取れたためか、レヴィアは瞬間的に反応し、なんとか拳を弾く。
「あまり私をなめないことね……」
 レヴィアの言葉にダンダリオンはほんの僅かだが口角が釣り上がり、左側の拳を上に挙げる。レヴィアはそれを未然に察知し、ダンダリオンに向けて水の魔法を最大出力で発動しようとする。もし発動してしまったら城は崩壊を免れないだろうが、それでもいまがダンダリオンを倒せる最後のチャンスかもしれないと思い、レヴィアは思いっきて魔法を発動することを決めた。

「甘い」

 ダンダリオンの言葉とともにレヴィアの魔法は打ち消されて、ダンダリオンの拳がレヴィアの意識を奪う。
「どうして……っ?」

 
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