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20‥月光の祭り…隠れたい

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祭りの日……


 ついにやって来ました祭りです。
 月光神を讃え聖女を選抜する為の…国が主催する国内最大級の祭り…


「ツキコ様」


 
 あっ

「ソフィさん」

 私は数日ぶりに会ったソフィさんに申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。この世界に来たときから優しくしてくれてたのにソフィさんに相談もせず神殿を出て行ったから怒っていないか心配だった。

 ようし、突然引っ越したことを謝るぞ。

「相談しないで神殿から出っていってごめんなさい!」

 頭を下げるとソフィさんが目を見開いた。

「ツキコ様顔をお上げください。謝罪など必要ありません」

「けど…」

「多少は驚きましたが…それより弟のことお許しください。突然失礼な申し込みをしたそうできつく叱っておきました」

「あ‥」

 リム君。
 怒られたんだね。
 ごめんね。
 


「ツキコ様どうぞ」

 ソフィさんが私の手を取り馬車?ポイ物に乗った。
 キラキラに輝くパレード用の乗り物は私の羞恥心をMAXにした。    

 恥ずかしい。
 乗りたくない。
 どうひいき目に見ても隣に座るソフィさんの方が美人だし他の神官たちも美形ばかりだ。私のような地味顔がキラキラドレスを着せられ美形の中に主役として立たされるなんてこれは…痛いし恥ずい……

 けど王様に直に頼まれたので今更拒否して逃げるわけにも行かない。

 そう王城にゲイルさんと登城してきました。案の定と言うか予想道理と言うか…王様は私に皇子の誰かと婚姻してほしいと言ってきましたがゲイルさんが番だと言うとシブシブ引き下がってくれました。ついでに魔力が貯まっていないと黒髪黒目ですと魔力を限界まで押さえた姿を王様に見せしました。そしたら目を真ん丸にして驚いていました。もしかしたら聖女候補から外して貰えるかと思ったがそれはダメでした。なんで?なんで?
 



と、言う訳で今日のパレードにシブシブ参加となりました。
トホホこの歳でこんな可愛いドレスと馬車に挑戦させられるとは皆さん可愛いですって言ってくれるけど私的に痛いです。


パンパカンーーー

 合図のラッパが鳴り響き馬車が動き出しました。色とりどりの馬車が走り出しました。私は逃げたいです!門が兵達によって開放されていくとそこは…

 人人人だらけ……

 取り敢えず作り笑いを浮かべながら言われた通り手を振りました。長いパレードでした。

  王城での御披露目の儀では貴族の方々に紹介されましたがゲイルさんが私の後ろから牽制してくれました。ナイスですゲイルさん!

 ゲイルさんのひと睨みでほとんどの人が挨拶だけで下がっていきましたが中には強者がいました。
 隣国の皇子たちです。外交の為に参内に来た第二皇子とか第三皇子とかが物凄いウザかったです。


 


 隣国ホーン王国の第二皇子こいつが一番しつこかった!
 

「聖女様。なんて美しい銀の瞳なのですかこれ程完璧な銀の色は見たことはありません」

とかいって私の瞳を挨拶の時にグッと覗き込んできた。近いぞ皇子私の顔に息が掛かるのではと思う距離まで顔を近付けて動きを止めた。こんな至近距離で美形に見詰められるとか誰か助けて!

 皇子の付き人さん達が物凄く狼狽えていた。

「皇子。聖女様に失礼です」

 おぉー付き人の一人が皇子を引き離してくれました。ナイスだ君!

 しかし、この皇子会食会でも私にしつこく迫ってきました。

「聖女様。よろしいですか?」
 
 あっ名前はたしか?ヒューズ:ホーンで良かったよな?いつもは名前なんて覚えられないけどこの人3回も名前を連呼してたよなーそれに最後の方だったのでかろうじて覚えてました。


 「はい」

 私は首を傾げた。
 話しかけないで欲しかった。

「可憐だ」 

ヒューズ皇子の呟きにビックリして見ていたら皇子の頬が紅く染まっていった。

「聖女様がこんなにも可憐で可愛いかたで感激しております」


ヒューズ皇子はイスに座る私の手を取り片膝をつくと左手にキスしてきた。

「聖女様。我が国にお越し下さい。そして私と添い遂げてください」


ぇぇぇぇええええええーーー



 私はフリーズした。その時低い声が響いた。


「断る。ツキコはどこにもいかん」


 ゲイルさんが固まった私の代わりに返事をした。

 ヒューズ皇子が物凄い目でゲイルさんを睨んだ。

「森の守護者よ!ナンの権利が合って話に割って入られる!」

 ヒューズ皇子とゲイルさんは火花が散るように睨み合った。

 いつまで睨み合うのか重い空気が辛いです。
 ゲイルさんが口火を切った。

「ツキコは私の番だ。絶対譲らん」


「ぐっ」

「それは聖女様は納得しておられるのか?見る限り印(腕輪)をしておられぬが?」

「ふっそんなもの公式発表後だ!国王陛下には内々に報告済だ!」

 二人がかなりの大声で言い争うから周りがざわめき出した。

 どんどん人が集まってザワメキが広がっていった。



「聖女様は聖獣様とご婚約でっすって!」

「まっヒューズ皇子と取り合って聖女様羨まし!」

「聖女様困り果てておいでよ」

「あぁ~泣きそうな聖女様も可愛いらしいな」

「私も申し込みたいものだ!」

「あー聖女様泣いちゃう!」

「誰か二人をお止めになって!」




「「道を開けなさい」」


  大勢の人混みの中からローライト・ラピス皇太子殿下が現れ私に近づき深々と頭を下げた。

「ツキコ様。お久しぶりです」

「はい」
 私は消え入りそうな声で返事をした。

「この前は大変失礼しました。どうかお許しください」

「はい」

「では改めてお願いです。私と婚約してください」

 私の手を取り片膝を付きプロポーズしてきた。前に断ったのに!
 
「その件はお断りしたはずですが?」

「はい。断られましたが諦め切れなかったのです。ゲイル殿が悪いのです!ツキコ様と早く婚約してくだされば…」


 ローライト殿下が悲しそうな瞳を向けてきた。

 私は返事をしたかったが言葉が見つからなかった。
 私は隠れたかった。

 




#超不定期ですみません。
 m(_ _)m

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