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26‥庭園で
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調印式の会場には立会人として魔族の他に獣人族がいた。
もふっとな?
犬?
ギールさんの友達らしく話込んでいる。遅れて到着したので紹介してもらっていないが話しかけても大丈夫だろうか?
ギールさんが楽しそうなので邪魔するのは悪いような気がして声を掛けるのを止めて俺はグーリドとあまり目立たない席につき料理を食べた。
自分では目立っていないつもりだったが注目の的の一人だったらしい。
「お腹イッパイ」
「マナト様もう少し召し上がった方がよろしいかと食べる量が少なすぎます」
「えームリ。それより散歩しよ?」
グーリドの手を掴み引いた。
俺から手を繋いだことに驚いたのか目を見開いたがすぐに微笑んでくれた。
エヘヘ。
俺は手を繋いだまま庭園に出ていった。まさか自分が男と手を繋いで嬉しいなんて日本にいるときは考えもしなかった。ここに転移してからは魔法も使えるし魔族で長生きらしいしここ仕様に替わってしまったのだろうか?
あっそうだ!
スマホ持ってたんだった。不思議なことにバッテリーが減らなくなったんだ。カメラ機能しか使えないけどね。
グーリドの写真。
「グーリド動かないで!」
何枚か撮ってと!ヨシ
なんてことだ。
写真もいい男。
「グーリド観て」
撮った写真を見せたら驚いていた。
「陛下のお造りになったものですか」
前に魔王(伊藤さん)がカメラの試作機で写真を撮ったことが合ったらそうなのでそう思ったらしい。それは秘密です。と誤魔化しておいたがカメラが有るなら自分の写真を撮ってグーリドに貰ってもらおう。喜んでくれるかな?
「ここ…座ろう」
俺はグーリドとベンチに並んで座った。ピッタリと横に張り付きもたれ掛かった。
「あのねチューしてグーリドにされると気持ちいいから・・・」
俺は下を向いて言った。
顔が熱かった。自分からこんなこと言う日が来るなんて・・・
「うっ・・・」
私はマナト様の言葉に理性が飛びかけた。
下をむき頬を染めるマナト様の顎を引き上を向かせ口付けた。ふっくらとした唇を舌でなぞり味わった。そのまま唇を割って舌を擦り合わせ抱き寄せた。
マナト様が私の首に腕を回ししがみついて来た。
あーなんて愛らしいんだ。
細い腕が震えているのを感じ愛おしいかった。このまま部屋に連れ帰りたい衝動に駆られたが人族王家第三皇子たちが城内にいる今は駄目だ。大事な式典の途中でマナト様と抜ける訳には行かない。
んっんっ
あっ
っんあっん
マナト様から漏れる声が私の身体を熱くしていき全てを喰らいたかった。首筋に口付けを落としながら囁いた。
「愛してます…」
マナト様の身体が跳ねた。
「オ…オ俺も好き・・・」
瞳を潤ませながらマナト様が声を絞り出すように返事を返してくださった。
あぁぁー
胸の奥から暖かい物が込み上げてきた。
マナト様の頬を触りながら語りかけた。
「一生お仕えさせて頂きます」
「うん…」
そのまま抱き合っていた。しばらくして会場がザワザワしだした。
「マナト様会場の様子を確認して参ります。ナニか飲み物をお持ちしますのでここでお待ちください」
マナト様から離れたくなかったがこのままでは襲い掛かりそうな自分を落ち着かせるためと会場の様子を確認したかった。
グーリドの姿が見えなくなると悶えてしまった。
「あん~グーリド♡」
キスされただけなのに身体が熱い!もっと触って欲しかった。
本人は気付いてはいなかったが頬が染まり瞳は潤み唇が紅く色づき開いた口からは熱い吐息を洩らしていた。身体からは甘い匂いが漂いだしていた。
そう発情していた。
そんな彼を見つめる者がいた人族第三皇子クラッシュだ。彼は魔族の皇子(マナト君)と仲良くなりたく二人の後をつけていた。
彼は自身の使う隠密魔法により気配を完全に消し去っていた。
魔族の皇子(マナト君)が一人になると声をかけた。
「マナト殿?」
「えっ」
ふいに声を掛けられ驚いた。
振り返りまた驚いた。
「クラッシュ殿?どうされました。父上と話が弾んでおられたようでしたが?」
クラッシュ皇子は魔族の皇子(マナト君)が従者の騎士とイチャ付く現場を目撃していた。ショックだったが嬉しさもあった。
魔族の皇子(マナト君)は男と愛人関係であるということを知ったからだ。
ゴクリとつばを呑んだ。今の彼は可愛いだけでなく全身から艶が漂い押し倒したい衝動に駆られた。
魔族の第一皇子そんな肩書きなどどうでもよくなっていた。彼の隣に腰かけると手を取り見つめた。歳は17と聞いているがもっと幼くみえた。
「魔王家の方は皆若く美しいのですね」
そう言うと手に口付けし自分の手で包み込んだ。小さい。これが男の手か細い指に柔らかな手触り今まで触れたことのある女性の手より遥かに美しい手だった。
「魔王陛下も美しく感動しましたが私はマナト殿の方が愛らしく思いましたが…」
ぁぁあ…じつに可愛らしいこのまま国に連れて帰りたいと心の底から願った。
「マナト殿…ひとつお伺いしますが男性が好きなのですか?」
「何でそんなこと聞くんですか?」
「先程うっかり見てしまいました。従者の騎士とのことを……」
「うっぐっ」
たちまちマナト殿が真っ赤になっていった。全身を紅く染、目に涙を溜め睨んできた。それと同時に 全身から魔力が沸き上がり驚いた。
凄い!
三魔王と同レベル?
これでは魔国には魔王が四人ではないか!
小競り合いが戦争にならずにすんで本当に良かった。我国に勝ち目などまるでない。
「マナト殿!お怒りにならないでください私は貴方と仲良くしたいだけなのです。どうか魔力の放出を抑えて下さい。お願いです」
マナト殿が息を深く吸い込みゆっくり吐き出した。それと同時に魔力の放出が止まった。
握っていた手を引き寄せ抱き寄せた。細い!それにナンといい匂いがするのだ。うっとりしてしまった。
「離してください!」
強い口調で言われ我に返った。
「申し訳ない。私ははあの騎士が妬ましいのです。こんなにの華麗な貴方を一人締めしていることが…羨ましい」
「私も貴方に触れたい…」
そのまま唇に口づけていた。
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#不定期更新な私にお付き合い頂きありがとうございます。
心から感謝しております。
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