39 / 49
38‥拒絶
しおりを挟む☆☆☆
マナトside
俺は人族王宮3日目の生活を送っていた。部屋からも出れずただひたすら向かえを待つのみだ。話し相手と言えば俺の世話ががり謙護衛の魔導師のお姉さん二人だけだがナンか怖がられてるミタイだし‥
暇だ!
コンコン コンコン
誰かがきた。
魔導師のお姉さんがドアを開けるとクラシュ皇子がニコニコしながら入ってきた。その後ろからはメイドさんたちがカートを押しゾロゾロ入ってきた。
何事かと思ってジーと見ていると美人のお姉さんたちも俺が気になるのかチラチラ見ていたがカート三台を中に並べると急ぐように出ていった。俺は怪訝な顔でみていた。
「何事ですか?」
「マナト殿はお菓子がお好きでしたでしょう。色々お持ちしました」
「お菓子…………」
「君たち手伝ってくれ」
クラッシュ皇子は魔導師のお姉さん二人にカートの中からお茶やお菓子とを出させるとテーブルの上に並べていった。
「王宮の料理長が作ったものです。どうぞ食べてください」
ニコニコしながらクラッシュ皇子は俺のとなりに座りケーキの皿を差し出した。
「ありがとう」
受け取った皿を見つめた。
クラッシュ皇子はナンのつもりだろう?
俺がお客さんなので親切にしてくれているのか?
それとも……
「マナト殿はどうされました?甘いものがお好きではなかったですか」
「クラッシュ殿は食べないのですか」
クラッシュ皇子は皿にケーキを取るとパックと食べた。
「甘い!毒も薬も入ってませんよ」
「……疑った訳では…」
「疑って当然です。私は貴方に大変失礼な行為をしたのですから‥それなのに許して下さり感謝の言葉もありませんマナト殿!」
にっこり笑いながらケーキをバクバク食べるクラッシュ皇子につられ一口食べた。
「あっおいしい」
コッテリとした味だ。魔国のものより甘さがある。
「美味しいでしょう」
「朝食お口に合いませんでしたか?少ししかお食べにならなかったと聞きましたが?」
「えーと食べましたよ」
朝からあんな物凄い量食べれません。パンの大盛にスープにサラダにスーテキ特大って朝から食えません。
「サラダは食べましたけどその‥不味いとか不味くないとかじゃなくて量が多すぎです」
「料理長が口に合わなかったのかとガックリしてましたので気になりまして…」
「料理長に謝っておいてください。グーリドならペロリと食べれるんだけど今いないしなぁー」
んっクラッシュの目の色が変わった気が?
「マナト殿は彼とは仲が良いのですね。羨ましい」
「うん。ごちそうさまでした」
俺は皿を置いた。
「散歩しませんか?」
突然言われ驚いた。
「いいんですか?俺がうろつくと迷惑でしょ!」
「大丈夫ですよ!人払いしときましたからサァー」
俺の手を取ると立ち上がった。以外に力が強く一気に引き寄せられた。一緒に並ぶとクラッシュとの身長差がかなりある。
「さぁー庭園と城内を案内します」
グイと腕を組まれた。抵抗虚しくそのまま外にでた。
わぁー
ここの植物見慣れないものが多いな?
俺はキョロキョロしていた。
「マナト殿は早く国に帰りたいですか?」
「帰りたいです」
「私はもう少し滞在してほしいです。もっと一緒にいたい。貴方を神殿の前で見つけたとき正直嬉しくて神様が私の願いを叶えてくれたのかと思いました」
「・・・願い ?」
「ええ。神殿への祈りの時に『もう一度会って話をさせてほしい』と神に祈りました」
俺はニコニコしているクラッシュを見上げた。俺に会いたい?
「城内をお見せします。行きましょう」
グイグイ引っ張られながら案内されていった。
ふん~本当に誰もいない。
魔力の高い人としか交流出来ないなんて詰まんないな。たしか?人族の三割ぐらいだったよな魔力持ちって少ないなぁ。
「マナト殿、ここから町が一望できます」
俺の目の前には異世界の町の風景が広がっていた。わぁー!中々の絶景この城高台に建ってるんだ。
俺は景色に魅入っていた。
「気に入って貰えましたか?」
「いい眺めですね!」
「魔国はどちら側ですか?」
「あちらです」
俺はクラッシュの指差した方角を見つめた。
魔国に帰りたい。
そして会いたい!
「グーリド……」
「マナト殿。そろそろ戻りましょう」
「うん」
俺はクラッシュに手を引かれたまま歩いていた。
庭園まで戻りベンチに座った。
クラッシュは俺の横に座ると俺の手を握り抱き寄せてきた。
「なっ」
「マナト殿」
俺を見つめるクラッシュの目がだんだんヤバイものに変わっていった。
「マナト殿に会うまでは黒髪黒目がこんなにも美しいとは思いもしませんでした」
クラッシュが俺の髪を触りながらうっとりとしている。
そのまま俺の頬に手を宛て食い入るように見つめてきた。
「貴方と離れたくない…まさか自分が男である貴方に一目惚れするなんて思ってもいませんでした」
いきなり抱き締められた。
「お願いです。私の恋人になってください」
まずい。
前回のことを思い出して咄嗟に強化魔法を発動し、身構えたらクラッシュが悲しそうな顔をした。
「マナト殿…もしかして身体強化ですか?」
手を振りほどき一気にその場を離れた。
「落ち着いてください。私は魔導師たちに監視されていますので決してマナト殿には失礼なことはしません。どうか魔力を抑えてください」
前にも聞いたぞ似たようなセリフって二度と失敗しません!
俺は魔法を解かなかった。
「「向かえが来るまで部屋にいます」」
俺は自分から部屋に戻った。俺の後ろから魔導師のお姉さん二人が着いてきた。
冗談じゃない。
もう二度とグーリド以外に触られたくない。
向かえが来るまで何十日も掛かるわけじゃない。
もう二三日の辛抱だ。
俺は部屋に籠城する覚悟を決めた。
イライラが溜まっていたのか俺の気持ちに反応して魔力がバチバチ音をたて空気を揺らした。
自分の手を見ると手が光っていた。
「「ひっーーーーー」」
声のしたほうに振り替えると魔導師のお姉さん二人が部屋の隅で抱き合い震えている。
俺が一歩近付くと首を横に降りながら二人が座り込んだ。
そんなに怖がらなくても……
俺は二人から距離を取り頭を下げた。
「ごめんなさい」
魔力の放出が収まっても俺は落ち込んでいた。自分が人族にあんなに恐がられるなんて………
ここは居心地が悪すぎる。
早く帰りたい……
「グーリド・・・寂しいよー」
☆
☆
☆
☆
☆
#お読み頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
0
あなたにおすすめの小説
運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜
キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」
(いえ、ただの生存戦略です!!)
【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】
生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。
ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。
のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。
「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。
「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。
「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」
なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!?
勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。
捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!?
「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」
ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます!
元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
たとえば、俺が幸せになってもいいのなら
夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語―――
父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。
弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。
助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。
寂しいを分け与えた
こじらせた処女
BL
いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。
昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる