えぇー 俺が魔族しかも王族て???

腐りんご

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39‥人族王城での噂…

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侍女長の呟き…




 王城内ではクラッシュ皇子の客人の噂話で持ちきりであった。本来なら城の客人は王宮専属の侍女がお世話をするはずだが今回は違っていた。

 侍女長は困惑していた。どうして今回の客人の世話をさせてもらえないのか?いつもなら命令に素直に従うのだが今回ばかりは上司に訴えた。上司からはシブシブと言うか内々に説明を受けたところ客人は魔王家の御方で高魔力保持者のため魔力無しは長時間近くに居られないとのことだった。魔導師たちが世話をするが陰ながら支えてほしいと頼まれた。

  客人とは直接接触することは無かったが黒髪黒目の美しい姫様だった。
 美しい黒髪だった。
 黒色の髪がこんなにも美しいなんて髪を短くしておいでなのが残念だった。こちら人族領では髪の短い女性はいないが魔族では習慣が違うのだろうと考えた。
 こんな可憐なお顔を見たのは始めてでいたく感激したが数時間後にあの方が女性ではなく男性だと魔導師の方から聞きショックを受けた。魔族の方は美しい方が多いと聞いてはいたがあんなにも可憐な容姿なのに男性だなんて何回お見かけしても美少女にしか見えなかった。




侍女ABC三人の会話…


 三人はクラッシュ皇子に付き添い厨房からお菓子とお茶のセットを運んでいた。今まで見たことがないほど機嫌の良い皇子を前に三人は驚いていた。
 皇子に付いて台車を押していくと現在立ち入り禁止の命令が出ている部屋だった。三人はドキドキしながら入室した。
 中には黒い髪黒い瞳の人物がいた。
 魔族!とひと目見ただけでわかった。けどあまりにも愛らしい容姿のせいか恐怖感はなかった。

 クラッシュ皇子が魔族の姫様にデレデレで今まで見たことがほど目尻を下げ微笑んでいた。姫様は何故か男装をしておられ髪も短く切られていたモッタイナイと眺めていたら目線が合ってしまった。クッリとした黒曜石の瞳がキラキラ輝いていた。「可愛い」とポツリと呟いていた。
「「うん」」と他の二人も頷いていた。部屋からすぐに出された私たちは仕事に戻った。
 
  部屋の掃除をしながら三人で魔族の姫様の話をしていた。

「驚いたね!」
「まさか魔族の姫様がいるなんてしかも黒髪黒目!」
「黒髪って魔王の血筋だっけ?」
「たしかそう聞いた!この前和平協定を結んだって聞いたからその事できたのかな?」
「けどズルイよね?あのお顔可愛すぎるよ」
「男装してないで深紅のドレスとか着てほしいー似合いそうー」
「「「ウンウン絶対似合う」」」

「パンー」
と手を叩く音が響いた。三人が振り返ると侍女長が睨んでいた。

「三人ともお部屋で見たり聞いたりしたことを無闇に喋ってはいけません!わかりましたか!」

「「「はい」」」
 三人はハモるように返事をした。

「それからあの方は男性です。間違えてはいけません」

「うそ」「えっ」「きゃ」
  
「「「イヤン~」」」

 三人は悶えていた。

 実はこの三人現在王都で女性に人気の物語蔭の薔薇シリーズにハマッているのだ。内容は男性同士の恋物語である…


「あのう侍女長。本当に男のかたですか?男装の麗人とかじゃなくて?」

「自分も最初は姫様かと思いましたが違うそうです。いいですか三人とも余計なことを喋らず仕事に戻りなさい」

  侍女長は三人に注意すると歩き去った。






「窓の外」

 三人のうち一人が庭園を指差した。二人が目を向けると庭園にクラッシュ皇子と先程の魔族の方が見えた二人は腕を組んで歩いていった。
 
 「「「ウソ」」」

 三人の侍女は窓の外を食い入るように見つめた。

 三人は物凄い勢いで仕事を終わらせるといつもより早めに部屋に戻っていった。


三人の侍女は同部屋であった。

「見てしまいました!」
「ええハッキリと!」
「見ました」


「「「きゃーーーー」」」

「クラッシュ様そういう趣味?」
「そういえば今まで浮いた話を聞いたことがないですよね?」
「ナイナイ」

「「「イヤンーーーーー」」」

「あの方は魔国からクラッシュ様を追いかけてきたとか?」
「それいいーー」
「もっと情報がほしいわ?」

「魔導師のかたに聞いてみましょう」
「それがいいわ」
「けど実際に見るとドキドキしましたわ!」

 三人は興奮しすぎで寝付けず次の日寝坊をし侍女長に怒られたのであった。






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#お読み頂きありがとうございます。


 



    
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