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72前を向いて
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ベッドのすぐそばにあった丸椅子に座る。
そうしてベッドサイドのテーブルの花瓶に活けられた赤い薔薇を目にして、ふと、この椅子に座るフォトスの姿を思い浮かべた。
自由にあちこちへ行き来できる彼女なら、腰痛で欠席したハンナへのお見舞いも容易だろう。
わたしの直感はあながち間違っていない気がしたけれど、わざわざ訪ねるようなことでもないから真相は闇の中。わたしはまだまだ賢人のごとき洞察力は身に着けることができていない。いつかは、物語に登場する老獪な宰相みたいに、相手の些細な動きから心を読み取れるくらいになってみたいものだ。
……なんて、少しテンションがおかしくなっている気がする。
「私は紅茶を淹れて来ますね!」
小動物が駆けるような足取りで部屋を出て行ったフィナンを、ハンナは眩しそうに見送る。まるで奔放な孫娘を見守る祖母のような目つき。
その目はきっとフィナンの背中に誰かを重ねていて。わたしもまた、フィナンの背中に、幼い頃領地で一緒に駆けずり回った悪友たちの背中を見た。
けれど、わたしもハンナも何かを語ることはない。
ただ小さく吐息を漏らし、顔を見合わせてどちらからともなく笑った。
ハンナはおかしそうに、わたしは困ったように。
――まったく、落ち着きのない使用人だ。あれで王子妃付きの優秀な使用人だというのだからよくわからないものだと思う。
笑みを浮かべたハンナの顔には深いしわが生まれる。
しわだらけの肌は、ハンナが経験した苦労の証。
苦労のない人生なんてない。だから、苦労のしわをいくつも刻みながら、それでも今日、こうして優しい笑みを浮かべていられるハンナに、わたしは心から尊敬していた。
それは、魔女の円卓の存在を教えてくれたからではなく、ハンナという女性の在り方にわたしが好感を覚えているから。
ハンナは、わたしの理想のような女性だ。魔法とともに生き、日常の中に幸せを見つけ出し、心温かく在る。
――そうできればよくて、けれどそうはできない醜いわたしがいるのだ。
「……うつむいていては何も見えないよ」
優しい声音が心をくすぐる。
どきりとした。顔を上げれば、まるでわたしの事情すべてを見通しているような、慈愛に満ちた目と視線がぶつかる。
顔を背けることはできなかった。目をそらすこともできなかった。
優しいまなざしは、けれどわたしの目を引き付けてやまなかった。
祖母のことを思い出した。幼いころに流行り病で亡くなってしまった魔法使い。
おそらくは、魔法使いであるわたしの原点ともいえる人。
彼女の声も、姿も、使って見せてくれた魔法ももはや思い出せなくて。けれどその魔法が美しかったことが、ふっと、確信とともに胸の中に浮かび上がった。
「そう、ですね。わかってはいるのですけれど」
顔を上げるべきなのだ。いつまでもぐだぐだと過去を見ながら愚痴を吐き出しているくらいなら、全部受け入れて、前を向いて歩きだすべきなのだ。
ふわりと香る砂糖煮の甘さ。連鎖的に呼び起こされた、一緒に作ったアヴァロン王子殿下の顔が思い浮かび、心がうずく。
まるで、許すなと言っているように。
傷が、怨嗟の声を上げるのだ。忘れるなんて許されないと叫ぶのだ。
痛みにうつむき、そんなわたしの手を、ハンナの細く節くれだった手がそっと包み込む。
ベッドから伸ばされたその腕は嫌に細くて、けれど確かな力と熱が宿っていた。
「ゆっくりでいいんだよ。ただ、心に嘘をついちゃいけない……背負い込んだものは、自分でも気づかずに大きくなっていくものだからね」
「そういうものですか」
「そういうものだよ。……ワタシは、もう下すこともできないものを背負いすぎているのさ。だからきっと腰を痛めたんだろうね」
お茶目にウインクをして笑うハンナは、けれどその振動も響くらしく眉根を寄せる。
とっさに伸ばした手はハンナに止められる。
ゆっくりと深呼吸したハンナは、わたしから目をそらして天井へと視線を向ける。
細めたその目はきっと、在りし日のことを思い出しているのだろう。
時に悲しげに、時に幸せそうに、時に苦しそうに揺れる瞳の光は、フィナンが戻ってくるまで続いた。
「……どうかしましたか?」
こてんと首をひねるフィナンの顔を見ると、どこかしんみりとした空気なんて一瞬で吹き飛んでしまう。
「いえ、なんでも」
「フィナンは面白い子だね。清涼感ある風を吹かせる子だ」
なるほど、ドジっ子や落ち着きのなさも、風という表現一つで印象がこうも変わるのか。
これからはわたしも、フィナンのことは風の子と呼ぼうか。……でも、少年少女のように帰宅を惜しむほどに目いっぱい駆け回っているわけではないから、少しイメージと違うかもしれない。
うん、やっぱりフィナンはドジっ子でポンコツで残念使用人だ。
「あの、私はもう子どもっていう年齢じゃありませんからね?」
「わたしの抱き枕だものね」
柔らかさと、どこかミルクを思わせる落ち着く香り、そして何より、子どものように高めの体温。
そのすべてが、わたしを心地よい眠りに誘うのだ。
「そうそう抱き枕……って違いますよ!」
真っ赤にして叫ぶフィナンは可愛らしくてむくむくと嗜虐心が膨らむ。
けれどこれ以上揶揄ってはフィナンに嫌われてしまいそうなので、ここはぐっと抑えておくことにする。
「まあ、フィナンも座ったらどう?」
「そう、ですね」
ジト目をしていたフィナンは頬を軽くたたいて気持ちを切り替え、部屋の端から椅子を持ってきて、テキパキと皿にフレッシュ・ボールを並べ、三人分の紅茶を注いでから座る。
ポンコツでも王城勤めの使用人。動きにはどことなく気品が漂っていた。
ただまあ、紅茶をゆっくりと持ち上げ、その香りを楽しむハンナの立ち居振る舞いを前にするとかすんでいた。
「……それじゃあ、少し古い、古い話でもしようかね」
遠くを見つめるハンナの淡い桜色の瞳を前に、気づけば背筋が伸びる。
まるでわたしは、今日この話を聞くためにハンナを訪ねてきたのだ――そんな直感が生まれる。
それを肯定するように、ハンナは壮大な、そしてわたしにとってとても重要な話を語り始めた。
そうしてベッドサイドのテーブルの花瓶に活けられた赤い薔薇を目にして、ふと、この椅子に座るフォトスの姿を思い浮かべた。
自由にあちこちへ行き来できる彼女なら、腰痛で欠席したハンナへのお見舞いも容易だろう。
わたしの直感はあながち間違っていない気がしたけれど、わざわざ訪ねるようなことでもないから真相は闇の中。わたしはまだまだ賢人のごとき洞察力は身に着けることができていない。いつかは、物語に登場する老獪な宰相みたいに、相手の些細な動きから心を読み取れるくらいになってみたいものだ。
……なんて、少しテンションがおかしくなっている気がする。
「私は紅茶を淹れて来ますね!」
小動物が駆けるような足取りで部屋を出て行ったフィナンを、ハンナは眩しそうに見送る。まるで奔放な孫娘を見守る祖母のような目つき。
その目はきっとフィナンの背中に誰かを重ねていて。わたしもまた、フィナンの背中に、幼い頃領地で一緒に駆けずり回った悪友たちの背中を見た。
けれど、わたしもハンナも何かを語ることはない。
ただ小さく吐息を漏らし、顔を見合わせてどちらからともなく笑った。
ハンナはおかしそうに、わたしは困ったように。
――まったく、落ち着きのない使用人だ。あれで王子妃付きの優秀な使用人だというのだからよくわからないものだと思う。
笑みを浮かべたハンナの顔には深いしわが生まれる。
しわだらけの肌は、ハンナが経験した苦労の証。
苦労のない人生なんてない。だから、苦労のしわをいくつも刻みながら、それでも今日、こうして優しい笑みを浮かべていられるハンナに、わたしは心から尊敬していた。
それは、魔女の円卓の存在を教えてくれたからではなく、ハンナという女性の在り方にわたしが好感を覚えているから。
ハンナは、わたしの理想のような女性だ。魔法とともに生き、日常の中に幸せを見つけ出し、心温かく在る。
――そうできればよくて、けれどそうはできない醜いわたしがいるのだ。
「……うつむいていては何も見えないよ」
優しい声音が心をくすぐる。
どきりとした。顔を上げれば、まるでわたしの事情すべてを見通しているような、慈愛に満ちた目と視線がぶつかる。
顔を背けることはできなかった。目をそらすこともできなかった。
優しいまなざしは、けれどわたしの目を引き付けてやまなかった。
祖母のことを思い出した。幼いころに流行り病で亡くなってしまった魔法使い。
おそらくは、魔法使いであるわたしの原点ともいえる人。
彼女の声も、姿も、使って見せてくれた魔法ももはや思い出せなくて。けれどその魔法が美しかったことが、ふっと、確信とともに胸の中に浮かび上がった。
「そう、ですね。わかってはいるのですけれど」
顔を上げるべきなのだ。いつまでもぐだぐだと過去を見ながら愚痴を吐き出しているくらいなら、全部受け入れて、前を向いて歩きだすべきなのだ。
ふわりと香る砂糖煮の甘さ。連鎖的に呼び起こされた、一緒に作ったアヴァロン王子殿下の顔が思い浮かび、心がうずく。
まるで、許すなと言っているように。
傷が、怨嗟の声を上げるのだ。忘れるなんて許されないと叫ぶのだ。
痛みにうつむき、そんなわたしの手を、ハンナの細く節くれだった手がそっと包み込む。
ベッドから伸ばされたその腕は嫌に細くて、けれど確かな力と熱が宿っていた。
「ゆっくりでいいんだよ。ただ、心に嘘をついちゃいけない……背負い込んだものは、自分でも気づかずに大きくなっていくものだからね」
「そういうものですか」
「そういうものだよ。……ワタシは、もう下すこともできないものを背負いすぎているのさ。だからきっと腰を痛めたんだろうね」
お茶目にウインクをして笑うハンナは、けれどその振動も響くらしく眉根を寄せる。
とっさに伸ばした手はハンナに止められる。
ゆっくりと深呼吸したハンナは、わたしから目をそらして天井へと視線を向ける。
細めたその目はきっと、在りし日のことを思い出しているのだろう。
時に悲しげに、時に幸せそうに、時に苦しそうに揺れる瞳の光は、フィナンが戻ってくるまで続いた。
「……どうかしましたか?」
こてんと首をひねるフィナンの顔を見ると、どこかしんみりとした空気なんて一瞬で吹き飛んでしまう。
「いえ、なんでも」
「フィナンは面白い子だね。清涼感ある風を吹かせる子だ」
なるほど、ドジっ子や落ち着きのなさも、風という表現一つで印象がこうも変わるのか。
これからはわたしも、フィナンのことは風の子と呼ぼうか。……でも、少年少女のように帰宅を惜しむほどに目いっぱい駆け回っているわけではないから、少しイメージと違うかもしれない。
うん、やっぱりフィナンはドジっ子でポンコツで残念使用人だ。
「あの、私はもう子どもっていう年齢じゃありませんからね?」
「わたしの抱き枕だものね」
柔らかさと、どこかミルクを思わせる落ち着く香り、そして何より、子どものように高めの体温。
そのすべてが、わたしを心地よい眠りに誘うのだ。
「そうそう抱き枕……って違いますよ!」
真っ赤にして叫ぶフィナンは可愛らしくてむくむくと嗜虐心が膨らむ。
けれどこれ以上揶揄ってはフィナンに嫌われてしまいそうなので、ここはぐっと抑えておくことにする。
「まあ、フィナンも座ったらどう?」
「そう、ですね」
ジト目をしていたフィナンは頬を軽くたたいて気持ちを切り替え、部屋の端から椅子を持ってきて、テキパキと皿にフレッシュ・ボールを並べ、三人分の紅茶を注いでから座る。
ポンコツでも王城勤めの使用人。動きにはどことなく気品が漂っていた。
ただまあ、紅茶をゆっくりと持ち上げ、その香りを楽しむハンナの立ち居振る舞いを前にするとかすんでいた。
「……それじゃあ、少し古い、古い話でもしようかね」
遠くを見つめるハンナの淡い桜色の瞳を前に、気づけば背筋が伸びる。
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