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1-2.騎士団のお迎え
しおりを挟む数日後―――
オレは朝早く、ギルマスにたたき起こされた。
「おいっ!アルト!早く起きろっ!」
ドアをドンドンと何度もたたく大きなノックの音にイラっとした。
「うるせーっ!朝早くから何しやがんだっ!」
ただでさえ寝起きは最悪なオレにこんなことするなんて死にてえのかっ!
ドアを開けて怒鳴りちらすと、ギルマスはそれどころじゃないっと言ってオレの腕を引っ張る。
「おい、何なんだよ!」
「迎えが来たんだよっ!」
「ああん?迎えだと・・何の迎えだよ?」
昨日、セインとしこたま酒を飲んだせいで二日酔いで頭がまわらない。
「バカか!お前は?王都からの迎えに決まってるだろう!」
「ああ、そうか・・て、もう来たのかよっ!」
依頼書が来てまだ3日と経ってない。
王都からここまで早くても一週間はかかる。つまり依頼を出してすぐに迎えを出したってことだ。
一体誰がそんなことを?
「驚くのはまだ早いぞ」
「はあ?何だよまだ何かあんのかよ?」
「おおありだ!あれを見ろっ!」
そう言ってギルマスが指差したところにはーー
黒光りした大きな馬車が一台。引いている馬は同じく真っ黒な馬が4頭。その前後には護衛と思われる騎士が数10名と荷馬車が数台止まっていた。
「な、何だあれ・・?」
絶句というのがぴったりな状況だった。
「お前の迎えだそうだ・・」
「はあ?あれが、オレを?」
いやいやいや、何かの間違いだ!
こんなのあり得ねえって!
首を横に振りながら無意識に足が下がる。
「逃げるなよ!ここで逃げたらどうなるかわからんぞ」
「どうなるかって・・」
「お前に会いたいっていうのは間違いなく貴族だ。しかも身分の高いな。それを無下に扱うとどうなるか、さすがにお前でもわかるだろう?」
認めたくないが確かにそうだ。ここで逃げ出しても罪に問われるだけだ。
「クソッ!面倒なことしやがって!」
「覚悟を決めて行ってこい!」
「覚悟って、何の覚悟だよ?笑わせんな!」
「ハハハ・・・骨は拾ってやる」
「はっ!クソだな」
ここでグダグダ言ってても仕方ねえ。いい加減覚悟を決めねえと。でも何でオレがこんな目に?
仕方なくギルマスと一緒に迎えの方に行き、リーダーらしい奴と顔を合わせる。
「お待たせしました。この者がAランクのアルトです」
「はじめまして、アルトです」
「はじめまして、そうですか貴殿が・・」
何だ?その、奥歯に物が挟まったような言い方は?
こいつ、何か知ってんのか?
怪訝なオレの顔に気付いたのか咳払いをして仕切りなおす。
「んんっ・・失礼しました。私は王都のギルマスから依頼されてお迎えにあがりました。騎士団所属のジェイクと申します。よろしくお願いいたします」
ニコッと笑っているが何でこんな奴を・・とでも思っているに違いない。
はあ~・こんなおっさんを迎えに来てくれてありがとうな。
「では、いきましょうか?」
「え、もう行くのか?着いたばかりなのに?」
「はい、ギルマスから急いでお連れするようにと仰せつかっておりますので」
「・・は、はあ~そうですか。わかりました」
こうまで言われては行かないわけにはにかない。
それにしても、騎士団の騎士にこんなことさせるなんて恐ろしき王都のギルマス!
まあ、必要な荷物は亜空間倉庫に入れてるし問題ないな。
というわけで、オレは王都へ出発したのだった。
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