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4.王子、暴走する
しおりを挟む「――――ら」
「うん―――で――――のじゃ」
「でも―――なー」
何だコソコソして気になるじゃねえか?
親父も気になるらしいが、顔色が悪い。あ、聞こえてるのか・・・
「じゃあ、そうするよ」
「さすが、我が息子じゃ」
何だ、イヤな予感がするんだけど・・
陛下がこっちを見て視線が合うと、ニタ~と笑った。何だよ気持ち悪いな。何を企んでいやがる。
「アルト殿、とにかく場所を移そうではないか」
「・・・・え、いや別にここで」
「そうですよ。アルト様」
「・・・あ、アルト、陛下のおっしゃる通り場所を移そう」
んんん?何だこれ・・?オレをどうしてもここから出したいみたいだけど、何かあるのか?
王子とクソ親父に両側を挟まれて無理やり移動させられる。
待て!待て!待て!これ絶対何かあるパターンだろ?親父の目も泳いでるし・・・
「さあさあさあ、行きましょう」
にこやかに笑みを浮かべる王子の手を振り払うことはできず、ズルズルと部屋の外に連れ出された。そして移動先は来客室だ。そこには書類が用意されていてサインを求められた。
怖いことに文面がオレには読めない。王族しか読めないようになっているらしい。
「さ、これにサインしてください」
「ええ――っ!これ何て書いてあるんだ?」
「ええーっと、その・・」
「・・・・怪しいな。まさか」
「いいから、サインしろ」
「あぁんっ!クソ親父は黙ってろっ!」
「これこれこれ、ケンカするでない」
「むぅっ・・」
「アルト殿、頼むからサインしてくれ!でないと・・」
「でないと・・?」
「でないと、話が進まぬ」
「・・・はあ?」
「大丈夫なんだろうな?変な奴じゃねえよな?」
「ええ、大丈夫です。怪しいものではありません」
「そうそうそう!」
「んんん・・・」
サインを渋っているとじとーっと三人に囲まれて鬱陶しいたらありゃしない。もう、サインするか?でも、何か怪しいんだよな?
「アルトよ、これだけは使いたくないが・・国王命令じゃ。サッサとサインをせよ!」
「・・・陛下、それは卑怯だ。そんなこと言われたら従うしかねえだろ・」
クソッ!どうしてもサインしなきゃいけねのかよ!何が書いてあるんかわかんねえのに、しかも教えてくれねえし・・。
「アルト殿っ!」
グイグイと陛下に推されて仕方なくペンを取る。ホントにこれ大丈夫なんだろな?
「確認ですが、これ奴隷とか借用書とかじゃないですよね?」
「ああ、違う!」
うう~ん・・ああっもう!
やけくそ気味でペンを走らせサインをした。
「はあ~・・これでいいですか?」
手渡すと二人はニコッと満面の笑みを浮かべた。
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