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婚約者エレン
しおりを挟むカインは走っていた。行先は保護されたエレンの部屋だ。
報告では保護したとだけしか聞いていない。不安で不安でたまらなくて国王に挨拶もろくにせずに広間を出たのだ。
「エレーーーンっ!」
大声で叫んで扉を開けると、呑気に食事をしているエレンの姿が目に映った。
短く整えられた金髪に大きな青い瞳。ゆったりとした白いシャツに青いズボン。突然のカインの登場に驚いたのか口に運んでいた手が空中で止まっていた。
「カイン・・?」
カインの姿を見て立ち上がり傍へと近寄る。
「そんなに慌ててどうしたの?」
「・・どうしたのって・・・・エレンが襲われたって聞いたから・・」
「ああ・・それね。大丈夫だよ。カインは心配症だな・・」
ニコニコしながら頭を撫でられて、ムッとするも無事だとわかって安心したのか、ホッと息を吐いた。
「ケガはない?」
「ないよ・・」
「本当に・・?」
「ないってば・・このオレがあんな奴らに負けるとでも?」
エレンは国で一番の剣士であり魔法使いでもある。よっぽでのことでもないかぎり負けることもケガもすることもない。
それはわかっているけど、万が一ということもある。
「何なら、確かめてみる?」
そう言いながらシャツのボタンを外していくと、鍛えられた胸板が視界に入りカインは頬を赤く染めた。
「な、ば・・バカっ!こんなところで脱ぐんじゃない!」
慌ててシャツをつかんで隠そうとすると、その手をエレンしたが掴んだ。
「フフフ・・カインはホント照れ屋さんだな。こんなことで顔を赤くするなんて・・」
笑みを浮かべながら掴んだ手を口元に持っていきチュッとキスをした。
「エレンっ!!」
ゆでだこのように真赤になったカインにいたずら心が湧く。
このままベッドに誘いたいところだけど、このあと国王との約束があるため残念に思いながら、カインの顎をクイッと持ち上げる。
「エレン・・?」
目を潤ませてじっと見るカインに胸をキュンとさせながらここまだ我慢だと言い聞かせせ唇に奪った。
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