クズ王子、弟にざまあされる

相沢京

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婚約者エレン2

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「むぅ、んん・・」



いきなりキスをされてビックリしたカインだが、その行為が嬉しくてエレンの背中に手を回した。

少し離れていただけなのに、肌に感じる彼の温もりに安堵する。


「・・ん、んん・はぁ・・う・・ん」



舌を絡めお互いの存在を確かめるように貪る。

ぴちゃぴちゃと耳に入る音に羞恥心が頭をかすめるがそれよりも気持ちを抑えることができなかった。


「・・はぁ・・エ・レン・」

「・・カイン」


激しさが増し、このまま最後までしたいところだが、国王への報告の義務があるので名残惜しいが離れる。


「カイン・・これ以上はダメだよ」

「ええーっ!」


駄々をこねるように頬を膨らませている姿は幼い子供のようで、エレンを困らせた。


「陛下に報告しなきゃいけないからね・・・」

「それって、拉致された件か?」

「ああ、そうだよ」


高ぶっていた気分が一気に覚めてカインの目つきが変わった。



「それ、オレも聞きたい。今、聞いてもいいか?」

「・・あー、うんそうだね。オレも広間でのことも聞きたいし・・」


エレンは少し迷ったが頷く。少しでも情報を得て整理する必要があると思ったからだ。


「じゃあ、カインから話して」

「ああ、実は・・」



カインは広間でのことを全て話した。

ダグラスが平民を伴侶だといいカインに虐められたと因縁をつけられたこと。
自身が王太子だと思い込んでいたこと。
攻撃魔法を受けたこと。
クリスがダグラスを庇い王妃に責めたこと。
ダグラスが不実の子でアルバ伯爵が父親だと名乗り出たこと。


最後に国王が忘却の魔法を貴族たちにかけたこと。




それを静かに聞いていたエレンは何やら考えこみ頷いた。


「そうか、そううことか・・」

「ん?何・・?」

「うん、いや・・それは後で話すとして、今度はオレね」












あの日、エレンは学園長に呼び出された。だが、訪ねてみれば不在で仕方なく帰ろうとしたところで不審な奴に声をかけられた。



「エレン様ですか・・?」

「・・・ああ、そうだが・・あなたは?」


相手を確かめようとしながらも念のためは警戒する。だが、それを見切っていたのかいつの間にか少人数ではあるが囲まれていた。


攻撃されても剣士でもあり魔法使いでもあるエレンには余裕だった。だが、一歩踏み出した時、地面が光り出した。


「こ、これは・・転移の魔法陣かっ!」


気づいたときは遅く、発動してそこからエレンの姿は消えていた。




「やったぞ!うまくいった・・これであの方もお喜びになるだろう」

「ああ、そうだな。よし、ここに長いは無用だ。引きあげるぞ!」

「「おおっ」」


油断させて、エレンをまんまと罠に嵌めて歓喜にわく不審な奴らだが、あってはならないミスを犯したことに気付いていなかった。



強制転移されたエレンが行き着いた先は納屋だった。


「えっ!ここって確か・・・」



折れた剣や盾、そのほかにもガラクタらしいものが乱雑に置かれている。



「あいつら正気か?ここって鍛冶屋の納屋だよな・・」



そう、エレンが贔屓している町の鍛冶屋である。



「強制転移させるならもっと他にもあるだろう。魔の森とか立ち入り禁止区域とか・・何で鍛冶屋の納屋なんだよ?あいつら、バカなのか?」


呆れると同時に舐められたことに怒りを感じた。



「見つけ出して痛めつけてやる!だが、誰がこんなことを?」



そう、結果がどうであれ自身が強制転移されたことは何か意味があるはずだと考える。


「はあ・・取り合えずここから出たほうがいいな。追手がいるかもしれないし・・」



そう言いながら立ち上がった時、不意に納屋のドアが開いた。















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