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14.誘拐
しおりを挟むガラスの割れる音や物が倒れる音が部屋に響く。
こんな大きな音をたてて侵入するなんて素人か?
恐らくだが、プロならこんなマネはしないだろう。
―――バキ、バキバキっ!
割れたガラスを踏んで家の中へ中へと入って来る。
侵入者はやはり五人。
全身黒い服に身を包み覆面までしている。
ここの人間ではないと思うが一体どうやって・・?
幸村家のセキュリティ対策は万全だった、はず・・
それを破って侵入したというならこの嵐に紛れたに違いない。
まさか、手引きした奴がいるとか?
それにオレたちがここにいることは一部の人間しか知らないはず・・
二階には和也がいる。
さて、どうしたものか・・
おっと、一人がこっちに来る。
まだ、オレには気づいていないな
後からそっと忍び寄り寝室から持ち出した警棒で後頭部を殴り、気を失ったところをロープで縛り上げた。
よし、これで一人―――・・
そっと覗くとまだ玄関の辺りに三人がうろうろしている。
突破するのはまだ無理だ。
でも、オレがここにいると和也が逃げられない。
一人が二人から離れた。
巡って来たチャンスは見逃さない。
後から肩を叩いて振り向いた瞬間に腹に拳を入れる。
これで、二人目―――・・
ガタン―――!
男が倒れた拍子にイスが倒れて残りの奴らに気づかれた。
殴りかかって来る一人に回し蹴りをくらわす。
三人目―――・・
四人目が木刀を振り回してきた。
おい、それどこにあったんだ?
逃げながら、正面で受け止めねじ伏せて木刀を奪い取る。
バランスを崩して前かがみになったところで後頭部に手刀を入れるとそのまま床に落ちた。
「ふう~・・・」
これで、全部か?
もう一人いたと思ったけど・・・見回しても人影はない。
あれ、気のせいだった、か?
おかしいと思いながらものびている連中をロープで縛る。
寝室から警棒とロープを持ち出したのは正解だったな。
最後の奴を縛りながら周りを見回すと顔が引きつった。
「あちゃーこれは酷いな・・」
足元にはガラスの破片だらけで物が散乱していた。
その中に何か光る物を見つけた。
「何だこれ・・?」
それが気になって拾おうとした屈んだ時
バチバチバチ―――っ!!
背中に突き刺すような痺れが全身を襲う
「ガハッ―――っ!」
そのまま床に倒れこんで痙攣をおこす。
ピクピクと手足がしびれ指一本動かない
歪んだ視界に男の顔が入る。
クソッ!やっぱりもう一人いたのか!
こんなもの拾うまえに確認すべきだったと後悔しながらオレの意識が遠のいて行く。
油断、した・・和、也・・・に、げ・・ろ・・
ここでオレは完全に意識を手放した。
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