オレが受けなんてありえねえ!

相沢京

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「あのさ、もう気づいていると思うんだけど・・・オレは・・オレは会長の弟の『はやと』だ」


ゆっくりだけど、ストレートにそう告げた。だってごちゃごちゃ御託ごたくを述べても仕方がないからだ。

緊張して喉が渇く。会長が弟を探していたのはみんな知っていた。それを知っていてオレは隠していた。

それは佐川の件があったからだけど、それをどう捉えるかは彼しだいだ。


「・・・黙っていたこと、怒ってる?」

「・・・・いや」


夏樹はやっと勇人の口から真実を聞けて嬉しかった。


「勇人、お前が弟ではないかというのは誘拐された時に生徒会と風紀で話合いをして気づいた。『勇人』と書いて『はやと』と読むんだな。そんな単純なことに気づかないなんて・・・」

「・・・」

「勇人、すまない。オレの弟」

「うん、兄さん・・」

やっと兄さんと呼べる喜びと秘密にしていたことからの解放に肩の荷が下りて自然と涙が零れた。


「夏樹兄さんと呼んでくれるか?」

「・・夏樹兄さん」


照れながらそう呼ぶと、嬉しそうに笑みを浮かべた。


「後は何も言わなくてもいい。佐川の件が絡んでいることはわかっている。辛い思いをさせてすまなかった」


申し訳なさそうに目尻をさげる表情は学校では滅多に見られない顔だ。それが今は自分だけに向けられているそれが堪らなく嬉しかった。

頭を撫でる夏樹兄さんの手が心地よくてオレも自然と笑みを浮かべた。



「よかったな、勇人。これで正真正銘の家族だ」

「うん、ありがとう」


父さんも晴広兄さんも母さんも満面の笑を浮かべオレたちは幸せを感じた。



そしてその後お茶を飲みながら、今後どうするか会議がなされた。




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