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イベントとはいえ弟にこんなかっこうをさせていて、『何?』はないと思う。それはここにいた全員が思っていることで、拓也は頬を引きつらせ、夏樹は呆れて遠い目をしていた。


ビシッ―――!


鞭が晴広の目の前で地面に勢いよく落ちる。


「ひっ!」


驚いて飛び跳ねる晴広に、拓也は自分にも鞭が飛んでくるかとビクビクして助けを求めた。。



「理事長、何とかしてくださいよ!オレちゃんと頼まれたことはやり遂げたんですからあああ―ーっ」

「へえ~・・・」

「えっ・・あ、ちょっと待て!だからといってここまでしろとは頼んでないぞ!」

「あ、酷い!オレは理事長命令だと思ったから張り切ったのに・・・」

「ハハハ・・拓也くん、何を言ってるのかな~?」


余計なことを言うなと目で合図を送るがそれを拓也はスルーして尚も話を続ける。


「何言ってるんですか、オレに勇人のコスプレが見たいから協力してくれって言ってきたじゃないですか?だから、オレは・・」

「それ以上は言うなああ――っ!」


慌てて拓也の口を塞ぐが既に遅しというやつで、氷のような冷たい視線を二人に向けていた。


「へえ~・・・そうだったんだあ~」

「ゆ、勇人、違うんだ。オレは勇人を学校に馴染ませたくて・・・それで」

「・・・・・」

「ええーっ、そんなこと言って・・」

「黙れっ!」


更に醜態をつく拓也の口を塞ぐが間に合わず、勇人の怒りはマックスになった。


「・・・・言い訳は聞きたくねえよ!二人とも、お仕置きだっ!!」


今まで聞いたことのない低い声に二人は固まり、勇人が振るった鞭の犠牲になった。


「ぎゃああああああああああああああああ――――っっ!!!」


自業自得である・・・。






数分後―――


身体をピクピクさせながら地面と対面している二人。

肩で息をしている勇人。

未だに魔法少女のままの夏樹と、うわ言のように呟いている早瀬。

頭を抱えている海斗。


もはや生徒会としての機能を果たしていない彼らに、離れて見ていた中原は和也と共に放送のテントに向かいマイクでひと言。


「ええー・・・、この後の応援団は午後からとし、今からランチタイムへと入ります。集合時間は一時半です。以上です」


時計を見れば、十一時。

これくらいあれば全員復活しているだろうという中原の冷静な判断だった。





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