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列に戻った勇人は、もう借り物にするなよと思いながら、スタートしていく彼らを見ていると、中原がこっちに向かって来ているのがっ目に入った。
まさかまた何てことは、ないよな?
イヤな予感を抱きつつ見守っていると
「勇ちゃああ――んっ!来てえええ―――っ!」
「・・・は?ゆ、勇ちゃんっ?」
何でその呼び方でと、考える間のなく中原に腕を掴まれてゴールへと引っ張って行かれた。
「おい、離せっ!痛いだろっ!」
「ああ、ごめん・・」
何がおかしいのか、中原は謝りながら笑みを浮かべていた。
何だこいつ?何を考えていやがる!
中原の考えが読めなくて、警戒していると
「ええっと・・・また、勇人さまですか?」
審査員もいい加減飽きたのかやる気のない様子だ。
いや、でもそれをお前がするかっ!!
嫌味な奴だ。むっとしていると中原がお題の紙を渡す。
一体何が書かれているのやら・・どうせ、誰でもいいのに面白そうだからという理由で連れて来たんだろう。そう思っていた。まあ、お題は多少気にはなるが・・
「何々、お題は・・・ん?これは本当ですか?」
「ああ、本当だ。オレもさっき思い出したんだがな」
「はあ~・・そうですか」
中原の言葉に疑いを向ける審査員。ちらちらと見て気分が悪くなる。
「おい、早くお題を言えっ!」
「いや、しかし・・これは今まで聞いたことがありませんし・・」
「聞いたことがあるかどうかは関係ない!お題を言わないと、進まないだろ?」
審査員は少し迷ったようだが、勇人の顔を見ると責任を取れよと言わんばかりに睨まれた。
「では、中原くんのお題です。彼のお題はあああ――っ『幼馴染』です。さあ、勇人さまこれは事実ですか?」
幼馴染と聞いてオレはぽかんとした。
何だそれ?中原とオレが幼馴染?そんなの聞いてない。まさか、こいつの言う通り点数稼ぎのためにウソを?
「勇ちゃん、オレだよ。覚えてない?保育園で一緒だった、中原亜矢、あーちゃんだよ」
「・・・あーちゃん?」
あーちゃん・・何か聞いたことがあるような・・・?
「お別れの時、泣いて追いかけて来てくれたじゃないか?『あーちゃん行かないでっ』て・・」
中原の顔を見て必死に思いだそうとしているが、あいにくと保育園のことはあまり覚えていない。
「ん―――・・・あーちゃん、ねえ?母さんなら覚えているかもしれねえけど・・」
「はあ~・・やっぱり、か・・じゃあ、勇ちゃんのお母さんに聞いてみる?」
「えっ?」
中原が指さした先には、なんと勇人の母親に幸村浩美がテント内の席でニコニコしながらこっちに手を振っていた。
「勇ちゃああ―――ん、あーちゃんっ」
「はっ!」
「え・・・」
「・・・ほう」
母親の浩美が『あーちゃん』と呼んだことで中原と勇人は幼馴染だということが証明された。
こちらが何も言っていないのに、何でわかったんだろう?
時々、こうやってオレがやろうとしていることを先読みすることがある。
それが不思議で前に聞いたことがあった。
『母さんはどうしてオレがしようとしていることがわかるの?』
『ん・・・わからないわ。でも、かわいい息子のことなら何でもわかる。それが母親だと思うの・・』
それ以上は聞かなかったげ、きっと特殊能力でもあるんだろうと割り切ることにした。
まあ、それは置いといて・・・
「中原って、ホントにオレの幼馴染だったのかああ――っ?」
「ああ、そうだ・・」
「いやいやいや・・今までそんな素振り見せてなかっただろうがっ」
「実は、お前の母さんを見て思い出したんだよ・・」
「母さんを見て?」
「あの人、いつもお前を優しい顔で見ていたからな・・・それで思い出したんだ。あと、噂話で・・」
「わああ――・・マジかよ」
戸惑っている勇人を見ながら中原は審査員に結果を聞く。
「なあ、合格でいいんだよな?」
「ええ、勇人さまは思い出しておられないようですが、お母さまの言葉で合格と認めます。ですが、これは今回だけですから・・」
つまり二度目はないということだ。
「よしっ!」
してやったりのとした中原に、勇人はそれでいいのかと突っ込みたくなった。
しかし、中原が幼馴染だとは・・・・思い出せないが世の中狭いと思うのだった。
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