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第27話 魔王、慣れられず
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朝焼けが空を薄紅色に染める頃。筆の家の厨房からは、軽快なフライパンの音が響き渡り、食堂からは子どもたちの朗らかな笑い声が溢れ出す。外の畑では、土から顔をのぞかせたばかりのジャガイモが、朝日を浴びてキラキラと輝いていた。まるで、今日という日も、昨日と同じように平和な一日が始まる――そう錯覚させるような、穏やかな風景。
だが、その数日前から、この家を包む空気は、どこか奇妙にざわめいていた。
「お、おい……なんか、後ろにいるぞ……」
リュウが、まるで背後を幽霊でも見たかのように不安げな視線を投げかける。その言葉に、子どもたちの楽しげな声が一瞬にして凍りついた。
ギギィ……。
ログハウスの重々しい扉が、ゆっくりと、しかし確実に開いていく。その隙間から現れたのは、息を呑むほどの異形――漆黒のローブを纏い、威圧的な角を頭に戴き、見るからに筋骨隆々とした長身の男だった。彼の存在だけで、部屋中の空気が一気に張り詰める。
「ふぁぁ……朝の芋は実にうまいな……」
その低く、まるで地を這うような轟く声が食堂に響き渡ると、子どもたちどころか、そこにいた全員の足がすくみ上がった。本能的な恐怖が、彼らの心を支配する。
「ぎゃあああああ!! 魔王だぁぁぁぁ!!!」
ついに、何人かの子どもが甲高い悲鳴を上げて一斉に逃げ出した。厨房スタッフは驚きのあまり鍋をひっくり返し、熱いスープが床に飛び散る。ミランダに至っては、反射的に手にしていた包丁を、まるで魔物を迎え撃つかのように構えていた。
「落ち着けってば! こいつ、もう魔王じゃないから!!」
リュウが必死に大声で叫ぶも、その声はほとんど届かない。無理もない。どう見ても、目の前の男は、完璧なまでに「魔王」そのものなのだから。威圧感と存在感が半端ではない。
「なぁ……ダルクス。お前さぁ……もう、魔王軍、やらないんだよな?」
リュウは、震える声で恐る恐る確認した。もしここで「いや、気が変わった」などと言われたら、まさに世界の終わりだ。
「うむ。我は第二の人生を“芋”に捧げると決めたのだ。人里で静かに暮らす所存である」
ダルクスは、その恐ろしい形相に似合わない、どこか不敵な笑みを浮かべた。しかし、その笑みもまた、周囲の恐怖を煽るだけだった。
「その姿でか!?」
リュウは、もはや呆れを通り越してツッコミを入れた。これでは「静かに暮らす」どころか、毎朝のように大パニックが巻き起こるだろう。
「そ、それは……生まれついての威厳というものが……」
ダルクスは、そう言って威張るように胸を張った。だが、その頭上の角は天井にすれすれ、通路は彼の巨体にきしみ、ログハウス全体が悲鳴をあげている。威厳どころか、単に邪魔なだけだ。
「じゃあ、もうちょっと威厳下げてくれません!?」
リュウが木製の梁を指しながら叫ぶと、ダルクスはキョトンと首をかしげた。どうやら、彼には「威厳を下げる」という意味が理解できないらしい。
そして夜。ほとんど理不尽とも言える一日を終えたリュウは、疲労困憊の顔でノートを開いた。朝から魔王騒動、そして昼間は芋を巡る攻防。彼の精神は完全に擦り切れていた。
「……書くか。ちょっとだけ……ほんの、ちょっとだけ」
呟きと共に、彼の手に握られたペンに、微かな魔力が宿る。リュウは、この世界を綴る能力者だ。書いたことが現実になる、そんなチートな力を持っている。彼は、震える手でインクを走らせた。
《魔王ダルクスの魔力を封じ、人間の姿へと変える。角もなく、体も少年のように。年齢換算十四歳程度。改名してマオ》
ぱぁん!
まるで空気が弾けるような音と共に、原稿帳から淡い光がこぼれ出した。それはあっという間にダルクスを包み込み、そして――。
「な、なに!? 体がっ……!」
ドサッと音を立てて落ちた漆黒の魔王マント。それを翻して現れたのは、誰もが目を疑う光景だった。金髪のくせっ毛に、紅い瞳。そこに立っていたのは、まごうことなき十四歳の少年だった。
「ふむ、我は……な、なんだこの軽さは!? どこだ、我の角!!」
マオ(旧ダルクス)は慌てて頭を掻きむしり、床に落ちたはずの角を探そうと足元をバタつかせる。その姿は、先ほどの威厳ある魔王とはあまりにかけ離れていた。
「……変わった……魔王が、少年に……」
リュウもルナも、Tシャツのまま、口をぽかんと開けてその光景を見つめていた。理解が追いつかない。
「見た目だけだぞ! 中身はそのままだからな!」
リュウが慌てて釘を刺すと、マオは「むーっ」と頬を膨らませた。その仕草は、どこか可愛らしい。
「それ一番厄介やん!!」
リュウが思わず勢いよくツッコミを入れると、ログハウスには、再び騒然とした空気が漂った。だが、今度は恐怖ではない。むしろ、困惑と、そしてどこか、新たな騒動の予感に満ちていた。
こうして、“魔王ダルクス改めマオ”――魔王の子ども化という、想像を絶する大混乱の幕が、静かに、しかし確実に切って落とされたのだった。
***
翌朝。まだ陽の光も柔らかな時間帯だったが、筆の家の木製の廊下には、早くも低く、そして少し戸惑ったような声がこだましていた。
「ふむ……足が、軽い。背も……低い。鏡はどこだ? 余の威厳を確認せねば」
マオは、まだ慣れぬ十四歳の体を確かめるように呟きながら、廊下をそろりと歩く。その足取りは、どこかぎこちない。
「ちょっとマオ! パジャマのままうろつかんと! 朝食前に顔を洗いなさいってば!」
その声と共に、ルナがタオルを握りしめ、颯爽とマオの元へと駆け寄ってきた。容赦ない彼女の言葉に、マオはぴくりと反応する。
「我は魔王であるぞ!? 洗顔など、側近の仕事ではないのか!?」
マオはふんぞり返り、片眉を上げて抗議の姿勢を見せた。だが、その小さな抗議は、ルナには全く通用しなかった。
「ちがーーーう!!」
ルナは躊躇なくマオの耳を引っ張り、強制的に洗面所まで連行した。マオはむくれた顔をしつつも、洗面台に無抵抗で顔を寄せる。まるで、飼い慣らされた猫が水を飲むかのように。
「……まるで猫やね。されるがまま」
「されるしかないというか、気づいてないまであるよね」
廊下の陰から、そっとその様子を見守っていたティアとロッテが、小声でくすくす笑い合った。新たな日常の、可愛らしい一コマだ。
食堂では、ミランダたちが和やかな朝食の準備を進めていた。そんな中、マオは席に着くと、まるで王族がメニューを告げるかのように、堂々と宣言した。
「朝食はライスとスープ、焼き魚、漬物に煮物……そして芋だ」
「朝から品数、多っ!?」
ミランダが慌ただしく大皿を並べながら、思わず声を上げた。朝食にしてはあまりにも豪華すぎる。
「食卓は“国の縮図”である。多ければ多いほど、国が豊かになるのだ」
マオは、さも当然とばかりに誇らしげに顔を上げる。その言葉に、ミランダはまな板に突っ伏しながら呟いた。
「国運までかけるな朝食に!!」
「……はいはい。卵焼きも追加ね。ところで、この子、王族育ちか何かなの?」
ミランダは苦笑しながら、マオの言葉に付き合うように卵焼きを追加する。そして、ふと疑問を口にした。
「魔王族です」
リュウが簡潔に答えると、ミランダは納得したように深く頷いた。魔王族なら、これだけ威張るのも納得だ。彼女は黙々と卵を焼き始め、マオは満腹そうに腹をさすった。
「では、余の任務に戻るとしよう」
「ん? 何するの?」
「屋根で芋干しだ」
「やっぱり芋か」
マオは涼しい顔で立ち上がり、まるで当然の任務を果たすかのように、背後の階段を上っていった。彼の「芋」への情熱は、魔王から少年になっても、全く変わっていないらしい。
昼下がり。ぽかぽかと温かい陽気の下、ログハウスの屋根の棟には、綺麗に並べられた芋の列が輝いていた。その傍らで、マオは心地よさげに目を細めている。
「よい……芋の香りと共に眠るこのひととき……これぞ真の平和……」
マオは両手を腰に当て、満足げに空を見上げた。穏やかな時間。このまま、何事もなく一日が過ぎていくかのように思えた。
だが、その瞬間。
「ダルクス様ァァァアアアア!!!」
木霊のように響く大声とともに、空気が震えた。それは、この平和を打ち破る、あまりにも唐突な来訪者の予兆だった。
「!?」
マオが慌てて飛び起き、リュウもハンモックから跳ね起きた。尋常ではない魔力の気配と、その声は、かつての魔王ダルクスの部下である可能性を示唆していた。
「な、なに!? 空から!? あれ翼っ!? って、女の人が三人!?」
リュウの叫びに、ティアとルナも庭先に出て空を見上げる。そこには、信じられない光景が広がっていた。
屋根に音もなく降り立ったのは、真っ黒な翼を持つ三人の魔族の女性たち。彼女たちの眼光は鋭く、まるで獲物を見つけたかのように、マオを強く見据えていた。彼らの目には、マオの姿がどのように映っているのだろうか? そして、この来訪は、新たな混乱を巻き起こすのか――。
「ま、魔王様!? まさか、その姿は……」
一人が震える声で問いかける。混乱と驚きに満ちたその声は、この平和な日々が、またもや揺らぎ始めることを告げていた。
「ふむ、久しいな。我が忠実なる側近、否、世話係どもよ」
マオは肩をすくめ、かつての威厳そのままに挨拶した。その言葉に、リュウは天を仰ぐ。
「やっぱり世話係だったぁああああ!!!」
リュウの絶叫が、どこまでも続く青空に高くこだました。そして、彼らの新しい、そして波乱に満ちた日常は、さらに加速していくのだった。
だが、その数日前から、この家を包む空気は、どこか奇妙にざわめいていた。
「お、おい……なんか、後ろにいるぞ……」
リュウが、まるで背後を幽霊でも見たかのように不安げな視線を投げかける。その言葉に、子どもたちの楽しげな声が一瞬にして凍りついた。
ギギィ……。
ログハウスの重々しい扉が、ゆっくりと、しかし確実に開いていく。その隙間から現れたのは、息を呑むほどの異形――漆黒のローブを纏い、威圧的な角を頭に戴き、見るからに筋骨隆々とした長身の男だった。彼の存在だけで、部屋中の空気が一気に張り詰める。
「ふぁぁ……朝の芋は実にうまいな……」
その低く、まるで地を這うような轟く声が食堂に響き渡ると、子どもたちどころか、そこにいた全員の足がすくみ上がった。本能的な恐怖が、彼らの心を支配する。
「ぎゃあああああ!! 魔王だぁぁぁぁ!!!」
ついに、何人かの子どもが甲高い悲鳴を上げて一斉に逃げ出した。厨房スタッフは驚きのあまり鍋をひっくり返し、熱いスープが床に飛び散る。ミランダに至っては、反射的に手にしていた包丁を、まるで魔物を迎え撃つかのように構えていた。
「落ち着けってば! こいつ、もう魔王じゃないから!!」
リュウが必死に大声で叫ぶも、その声はほとんど届かない。無理もない。どう見ても、目の前の男は、完璧なまでに「魔王」そのものなのだから。威圧感と存在感が半端ではない。
「なぁ……ダルクス。お前さぁ……もう、魔王軍、やらないんだよな?」
リュウは、震える声で恐る恐る確認した。もしここで「いや、気が変わった」などと言われたら、まさに世界の終わりだ。
「うむ。我は第二の人生を“芋”に捧げると決めたのだ。人里で静かに暮らす所存である」
ダルクスは、その恐ろしい形相に似合わない、どこか不敵な笑みを浮かべた。しかし、その笑みもまた、周囲の恐怖を煽るだけだった。
「その姿でか!?」
リュウは、もはや呆れを通り越してツッコミを入れた。これでは「静かに暮らす」どころか、毎朝のように大パニックが巻き起こるだろう。
「そ、それは……生まれついての威厳というものが……」
ダルクスは、そう言って威張るように胸を張った。だが、その頭上の角は天井にすれすれ、通路は彼の巨体にきしみ、ログハウス全体が悲鳴をあげている。威厳どころか、単に邪魔なだけだ。
「じゃあ、もうちょっと威厳下げてくれません!?」
リュウが木製の梁を指しながら叫ぶと、ダルクスはキョトンと首をかしげた。どうやら、彼には「威厳を下げる」という意味が理解できないらしい。
そして夜。ほとんど理不尽とも言える一日を終えたリュウは、疲労困憊の顔でノートを開いた。朝から魔王騒動、そして昼間は芋を巡る攻防。彼の精神は完全に擦り切れていた。
「……書くか。ちょっとだけ……ほんの、ちょっとだけ」
呟きと共に、彼の手に握られたペンに、微かな魔力が宿る。リュウは、この世界を綴る能力者だ。書いたことが現実になる、そんなチートな力を持っている。彼は、震える手でインクを走らせた。
《魔王ダルクスの魔力を封じ、人間の姿へと変える。角もなく、体も少年のように。年齢換算十四歳程度。改名してマオ》
ぱぁん!
まるで空気が弾けるような音と共に、原稿帳から淡い光がこぼれ出した。それはあっという間にダルクスを包み込み、そして――。
「な、なに!? 体がっ……!」
ドサッと音を立てて落ちた漆黒の魔王マント。それを翻して現れたのは、誰もが目を疑う光景だった。金髪のくせっ毛に、紅い瞳。そこに立っていたのは、まごうことなき十四歳の少年だった。
「ふむ、我は……な、なんだこの軽さは!? どこだ、我の角!!」
マオ(旧ダルクス)は慌てて頭を掻きむしり、床に落ちたはずの角を探そうと足元をバタつかせる。その姿は、先ほどの威厳ある魔王とはあまりにかけ離れていた。
「……変わった……魔王が、少年に……」
リュウもルナも、Tシャツのまま、口をぽかんと開けてその光景を見つめていた。理解が追いつかない。
「見た目だけだぞ! 中身はそのままだからな!」
リュウが慌てて釘を刺すと、マオは「むーっ」と頬を膨らませた。その仕草は、どこか可愛らしい。
「それ一番厄介やん!!」
リュウが思わず勢いよくツッコミを入れると、ログハウスには、再び騒然とした空気が漂った。だが、今度は恐怖ではない。むしろ、困惑と、そしてどこか、新たな騒動の予感に満ちていた。
こうして、“魔王ダルクス改めマオ”――魔王の子ども化という、想像を絶する大混乱の幕が、静かに、しかし確実に切って落とされたのだった。
***
翌朝。まだ陽の光も柔らかな時間帯だったが、筆の家の木製の廊下には、早くも低く、そして少し戸惑ったような声がこだましていた。
「ふむ……足が、軽い。背も……低い。鏡はどこだ? 余の威厳を確認せねば」
マオは、まだ慣れぬ十四歳の体を確かめるように呟きながら、廊下をそろりと歩く。その足取りは、どこかぎこちない。
「ちょっとマオ! パジャマのままうろつかんと! 朝食前に顔を洗いなさいってば!」
その声と共に、ルナがタオルを握りしめ、颯爽とマオの元へと駆け寄ってきた。容赦ない彼女の言葉に、マオはぴくりと反応する。
「我は魔王であるぞ!? 洗顔など、側近の仕事ではないのか!?」
マオはふんぞり返り、片眉を上げて抗議の姿勢を見せた。だが、その小さな抗議は、ルナには全く通用しなかった。
「ちがーーーう!!」
ルナは躊躇なくマオの耳を引っ張り、強制的に洗面所まで連行した。マオはむくれた顔をしつつも、洗面台に無抵抗で顔を寄せる。まるで、飼い慣らされた猫が水を飲むかのように。
「……まるで猫やね。されるがまま」
「されるしかないというか、気づいてないまであるよね」
廊下の陰から、そっとその様子を見守っていたティアとロッテが、小声でくすくす笑い合った。新たな日常の、可愛らしい一コマだ。
食堂では、ミランダたちが和やかな朝食の準備を進めていた。そんな中、マオは席に着くと、まるで王族がメニューを告げるかのように、堂々と宣言した。
「朝食はライスとスープ、焼き魚、漬物に煮物……そして芋だ」
「朝から品数、多っ!?」
ミランダが慌ただしく大皿を並べながら、思わず声を上げた。朝食にしてはあまりにも豪華すぎる。
「食卓は“国の縮図”である。多ければ多いほど、国が豊かになるのだ」
マオは、さも当然とばかりに誇らしげに顔を上げる。その言葉に、ミランダはまな板に突っ伏しながら呟いた。
「国運までかけるな朝食に!!」
「……はいはい。卵焼きも追加ね。ところで、この子、王族育ちか何かなの?」
ミランダは苦笑しながら、マオの言葉に付き合うように卵焼きを追加する。そして、ふと疑問を口にした。
「魔王族です」
リュウが簡潔に答えると、ミランダは納得したように深く頷いた。魔王族なら、これだけ威張るのも納得だ。彼女は黙々と卵を焼き始め、マオは満腹そうに腹をさすった。
「では、余の任務に戻るとしよう」
「ん? 何するの?」
「屋根で芋干しだ」
「やっぱり芋か」
マオは涼しい顔で立ち上がり、まるで当然の任務を果たすかのように、背後の階段を上っていった。彼の「芋」への情熱は、魔王から少年になっても、全く変わっていないらしい。
昼下がり。ぽかぽかと温かい陽気の下、ログハウスの屋根の棟には、綺麗に並べられた芋の列が輝いていた。その傍らで、マオは心地よさげに目を細めている。
「よい……芋の香りと共に眠るこのひととき……これぞ真の平和……」
マオは両手を腰に当て、満足げに空を見上げた。穏やかな時間。このまま、何事もなく一日が過ぎていくかのように思えた。
だが、その瞬間。
「ダルクス様ァァァアアアア!!!」
木霊のように響く大声とともに、空気が震えた。それは、この平和を打ち破る、あまりにも唐突な来訪者の予兆だった。
「!?」
マオが慌てて飛び起き、リュウもハンモックから跳ね起きた。尋常ではない魔力の気配と、その声は、かつての魔王ダルクスの部下である可能性を示唆していた。
「な、なに!? 空から!? あれ翼っ!? って、女の人が三人!?」
リュウの叫びに、ティアとルナも庭先に出て空を見上げる。そこには、信じられない光景が広がっていた。
屋根に音もなく降り立ったのは、真っ黒な翼を持つ三人の魔族の女性たち。彼女たちの眼光は鋭く、まるで獲物を見つけたかのように、マオを強く見据えていた。彼らの目には、マオの姿がどのように映っているのだろうか? そして、この来訪は、新たな混乱を巻き起こすのか――。
「ま、魔王様!? まさか、その姿は……」
一人が震える声で問いかける。混乱と驚きに満ちたその声は、この平和な日々が、またもや揺らぎ始めることを告げていた。
「ふむ、久しいな。我が忠実なる側近、否、世話係どもよ」
マオは肩をすくめ、かつての威厳そのままに挨拶した。その言葉に、リュウは天を仰ぐ。
「やっぱり世話係だったぁああああ!!!」
リュウの絶叫が、どこまでも続く青空に高くこだました。そして、彼らの新しい、そして波乱に満ちた日常は、さらに加速していくのだった。
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