公爵令嬢の選択

つきほ。

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第1章 婚約破棄と転落

第8話 剣の重み

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 訓練場に響く剣の音が、朝の冷たい空気を切り裂いた。

 マリアンヌはロイとの組手を繰り返していたが、その腕には疲労が蓄積していた。

 「ほら、公爵令嬢様よ!そんな調子で実戦を乗り切れると思うのか?」

 ロイの容赦ない言葉と剣の重さが、マリアンヌの足元を崩そうとする。

 だが――。

 (まだ倒れるわけにはいかない。)

 マリアンヌは歯を食いしばり、剣を持ち直した。




 「お前は力任せに戦おうとしてる。剣はただの鉄の塊じゃねえ。」

 訓練を終えた後、ロイはマリアンヌに木剣を突きつけた。

 「剣は自分の意思を伝えるための道具だ。相手を倒すためだけに振り回せば、そのうち剣に振り回されるぞ。」

 マリアンヌは荒い息を吐きながら、ロイの言葉を心に刻む。

 「……道具、ですか。」

 「そうだ。剣に誇りを乗せろ。」

 ロイはそう言って、汗を拭うとさっさと訓練場を後にした。




 訓練を終えたマリアンヌは、文書の事件について考えながら騎士団の倉庫を調べていた。

 ふと、背後から足音が響く。

 「何を調べている?」

 現れたのはシリウスだった。

 「あなたには関係ありません。」

 マリアンヌは表情を崩さずに言い放つ。

 「そうか。だが、今のお前はまるで剣を持つ理由を見失っているように見えるな。」

 「……?」

 シリウスは冷笑を浮かべ、棚の影に手を滑らせる。

 「敵は剣を奪うよりも、心を奪うほうが早い。覚えておけ。」

 そう言い残して立ち去るシリウスの背を見送りながら、マリアンヌは拳を握り締めた。




 マリアンヌは静かに倉庫の扉を閉じた。

 剣に誇りを乗せる――ロイの言葉と、シリウスの言葉が交錯する。

 (私は剣を持つ意味を証明しなければならない。)

 そう心に刻みながら、マリアンヌは再び訓練場へと向かった。

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