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第2章 試練と成長
第16話 疑念の交錯
しおりを挟む書類を手にしたまま、マリアンヌは冷たい空気の中に立ち尽くしていた。
ロイが眉をひそめる。
「これを団長に報告するのか?」
カインは肩をすくめながら反論した。
「待てよ。これが本物の証拠かどうかも分からないだろう?」
「じゃあ隠すのか?」
ロイの声が荒くなる。
「ここまで来て見つけた証拠を黙っておけっていうのか?」
「だが、誰を信じればいいんだ?」
カインの言葉が静寂に響いた。
マリアンヌは二人を見つめた。
「落ち着いて。」
彼女の言葉にロイとカインは視線を向ける。
「証拠が本物かどうかは私たちだけじゃ判断できない。でも……このまま隠しておけば、もっと状況は悪くなる。」
リナが心配そうに声を上げた。
「でも、もしこれが誰かの罠だったら?」
「罠かどうかも含めて、確かめる必要があるわ。」
マリアンヌはそう言い切り、書類を慎重に巻き直した。
「団長に報告しましょう。」
階段を上がり、倉庫に戻ろうとしたそのとき――。
「俺なら、その書類は渡さないな。」
通路の入り口でシリウスが立ちふさがった。
「またあなた……。」
マリアンヌは警戒を強める。
「団長に報告すべきものよ。」
「報告してどうなる?内部に裏切り者がいるかもしれないんだぞ。」
「あなたはそれを知ってるの?」
シリウスは軽く笑った。
「さあな。ただ、こういう場合は誰を信じるかが命取りになる。」
ロイが苛立った声を上げる。
「お前は何が言いたいんだ?」
シリウスはマリアンヌに目を向けた。
「お前の選択次第で、この件は鎮火も爆発もする。」
マリアンヌはシリウスを真っすぐに見返した。
「私はこの国を守るために剣を取ったの。疑われようと、報告するわ。」
「ふうん……。」
シリウスは意味ありげに微笑むと、壁にもたれかかった。
「その覚悟、最後まで貫けよ。」
マリアンヌは剣を握り直した。
(この選択が正しいかどうかは分からない。それでも――。)
彼女は静かに息を整え、通路をあとにした。
背後ではシリウスが微笑んだまま、その場を動こうとしなかった――。
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