公爵令嬢の選択

つきほ。

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第3章 陰謀と裏切り

第29話 裏切りの兆候

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 洞窟を抜けたマリアンヌたちは、夜の闇に包まれた森を慎重に進んでいた。持ち帰った書類をしっかりと守りながら、彼女の心には影の組織が残した言葉が重くのしかかる。

「この国の腐敗……いったい何が真実なの?」

リナが小声で問いかけたが、マリアンヌは答えず、ただ前を見据えた。




 騎士団に戻ったマリアンヌたちは、すぐに団長室へ向かった。机に広げられた地図と資料の山を前に、エリック団長は深い皺を刻んだ眉をさらに寄せた。

「これが……影の組織の証拠か。」

書類の中身に目を通し、団長は低く呟いた。

「王宮内に協力者がいる可能性が高いということか。」

マリアンヌは頷いた。

「はい。ですが、具体的な名前は記されていません。」

団長は厳しい表情のまま答える。

「調査には慎重を期す必要がある。内部で動きを察知されれば、この証拠も無力化されるだろう。」




 報告を終えた後、マリアンヌは廊下でロイとカインに向き直った。

「この書類を調べれば、裏切り者の手掛かりが掴めるかもしれない。でも、誰を信じるべきかが問題だわ。」

カインが腕を組んで答えた。

「団長は信じられるとして、他の騎士団員がどうかは分からない。」

ロイが険しい表情で続ける。

「影の組織がここまで広がってるなら、騎士団内に潜んでる可能性もある。」

リナが不安げに呟く。

「そんな……仲間が裏切り者だなんて……。」

マリアンヌは深く息を吐いた。

「今は慎重に動きましょう。」




 その夜、マリアンヌが一人で訓練場に立っていると、背後から足音が近づいた。

「また悩んでいるのか?」

振り返ると、シリウスが立っていた。彼は軽い笑みを浮かべながら剣を肩に担いでいる。

「あなたには関係ないわ。」

冷たく言い放つマリアンヌに、シリウスは興味深そうな視線を向けた。

「王宮内に裏切り者がいると聞けば、誰だって気になるさ。」

マリアンヌは警戒を緩めずに言った。

「何が言いたいの?」

シリウスは近づき、静かに囁いた。

「その書類だけで真実を知ったつもりになるな。表の顔だけを見ていては、本当の敵を見失うぞ。」




 シリウスの言葉が耳に残る中、マリアンヌは剣を握り直した。

(本当の敵……それが誰なのか、この目で確かめてみせる。)

彼女の視線の先には、夜空に浮かぶ月が冷たく輝いていた。


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