公爵令嬢の選択

つきほ。

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第3章 陰謀と裏切り

第30話 裏切りの影

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 翌朝、騎士団内は妙な緊張感に包まれていた。団員たちの視線はどこかぎこちなく、言葉を交わす者も少ない。マリアンヌはその空気の変化にすぐ気づいた。

「何かが起きている……。」

彼女は周囲を見渡しながら呟いた。




 訓練場ではリナが落ち着かない様子で剣を握っていた。

「どうしたの?」

マリアンヌが声をかけると、リナは戸惑った表情で答えた。

「昨日の夜、倉庫の鍵がまた見つからなくなったそうです。それで、誰かが内部の人間を疑っているみたいで……。」

マリアンヌの胸に嫌な予感が走る。

「また内部の動き……。」




 マリアンヌはすぐに団長室を訪れた。エリック団長は窓の外を眺めながら、腕を組んでいた。

「団長、倉庫の件を聞きました。」

エリックはゆっくりと振り返り、重い声で答えた。

「影の組織が動き出した可能性が高い。だが、それだけではない。」

マリアンヌが眉をひそめる。

「どういう意味ですか?」

団長は机の上の書類を指差した。

「内部の誰かが、外部と接触している痕跡がある。だが、証拠が足りない。」




 団長室を出たマリアンヌが廊下を歩いていると、シリウスが壁にもたれかかっていた。

「またか……。」

マリアンヌがため息をつくと、シリウスは軽い口調で言った。

「お前も疲れているようだな。」

彼はゆっくりと近づき、低い声で続けた。

「倉庫の鍵の件……これ以上騎士団内で疑心が広がれば、敵は笑うだろう。」

マリアンヌは険しい表情で問い返した。

「どうしてそんなことを知っているの?」

シリウスは目を細め、少し笑った。

「俺は動きを見ているだけさ。だが、覚えておけ。本当の裏切り者は、すぐそばにいるかもしれない。」




 その夜、マリアンヌは倉庫の周囲を調べていた。ふと、床に光るものが目に入る。

「これは……?」

彼女が拾い上げたのは、騎士団員が使う標準的な小型のナイフだった。

「なぜこんな場所に……。」

その刃には見覚えがあった。リナが持っていたものと同じだったのだ。

「リナが……?」

マリアンヌの胸に疑念がよぎったが、すぐに首を振った。

「そんなはずはない。」




 マリアンヌはナイフを握りしめながら、薄暗い倉庫を見つめた。

(この証拠が何を意味するのか……私は必ず確かめる。)

彼女の心に芽生えた疑念は、次第に形を持ちはじめていた。










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