33 / 57
第3章 陰謀と裏切り
第31話 王宮の影
しおりを挟む翌日、マリアンヌは騎士団の仲間たちと共に、団長室に呼ばれた。机の上には、影の組織の証拠となる書類が広げられており、エリック団長の表情はこれまでにないほど険しかった。
「この書類の内容を精査した結果、王宮内の特定の部署が組織に関与している可能性が高いことが判明した。」
団長の言葉に、マリアンヌを含む全員が息を飲んだ。
ロイが口を開いた。
「その特定の部署というのは?」
団長は深くため息をついた。
「王宮の財務局だ。組織の資金が不正に流れ込んでいる形跡がある。」
リナが驚きの声を上げる。
「財務局……?そんな重要な場所に?」
カインは腕を組みながら考え込んだ。
「つまり、裏切り者が高い地位にいる可能性があるってことだな。」
団長は頷いた。
「だが、この段階で証拠を持ち込むのは危険すぎる。少しでも動きを察知されれば、我々の情報はすぐに消されるだろう。」
団長はマリアンヌに向き直り、静かに言った。
「そこで君に頼みたい。王宮への調査に参加してほしい。」
マリアンヌは驚きの表情を浮かべた。
「私が、ですか?」
団長は頷きながら続けた。
「君は公爵令嬢としての立場がある。財務局に近づくためには、その背景が必要だ。」
リナが心配そうに口を挟む。
「でも、それは危険すぎます!」
マリアンヌは一瞬迷ったが、剣を握りしめて答えた。
「わかりました。私にできる限りのことをします。」
その夜、マリアンヌが王宮潜入の準備を進めていると、シリウスがまた姿を現した。
「お前が動くとは思っていた。」
彼はいつものように軽い口調だったが、その目には真剣さが宿っていた。
「財務局に近づくのは簡単じゃない。奴らは自分たちを守るためなら何でもする。」
マリアンヌは冷静に応じた。
「知っています。でも、それでもやらなければならない。」
シリウスは少し笑いながら言った。
「いいだろう。ただし、忘れるな。お前の背後にも影がいるかもしれない。」
翌朝、マリアンヌは王宮へと向かうため、騎士団を出発した。ロイとカインが見送りに現れ、ロイは真剣な表情で言った。
「無理をするな。何かあればすぐに戻ってこい。」
マリアンヌは微笑みながら答えた。
「ありがとう。でも、大丈夫です。必ず何かを掴んできます。」
彼女が馬車に乗り込むと、遠ざかる騎士団を見つめながら胸の奥で誓った。
(私は、この剣で真実を暴いてみせる。)
0
あなたにおすすめの小説
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる