公爵令嬢の選択

つきほ。

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第3章 陰謀と裏切り

第39話 扉の先にある真実

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重々しい鉄の扉を前に、マリアンヌは深呼吸をして剣を握り直した。
「この先に何があるか分からないけど、必ず確かめるわ。」

リナと書記官もそれぞれ武器を構え、頷く。
「影の組織の核心部分があるなら、この扉の向こうだと思います。」書記官が静かに言った。

マリアンヌは扉に手をかけ、力を込めてゆっくりと押し開いた。




扉の向こうには、広々とした地下室が広がっていた。かつては倉庫として使われていたのか、壁沿いには古びた棚が並び、中央には長机が置かれている。だが、その机の上には明らかに最近まで使われていた書類が積まれていた。

「これは……資金の流れを示す帳簿?」

マリアンヌは素早く書類に目を通した。その内容は驚くべきものだった。

「王宮の高官が影の組織と繋がっている証拠……?」

リナが怯えた声で言う。
「この名前……王宮の財務局だけじゃない。他の部署の名前も記載されています……。」

書記官が眉をひそめ、ある書類を取り上げた。
「これは……軍の補給物資の流れです。王宮内だけではなく、軍の一部にも影響があるということか。」

マリアンヌは書類を握りしめながら、状況の深刻さを噛みしめた。

「つまり、王国の中枢の一部が影の組織と繋がっている……。」

その瞬間、背後で物音がした。




「誰かいるわ!」

マリアンヌはすぐに剣を構えた。暗闇の奥から、ゆっくりと足音が響く。

「おやおや。ここまで辿り着くとは、大したものだな。」

姿を現したのは、黒いローブを纏った男だった。鋭い目つきと不敵な笑みが特徴的で、彼はゆっくりと歩み寄ってきた。

「お前は……?」

マリアンヌが問いかけると、男は静かに名乗った。
「私の名はカイル。この拠点を管理している者だ。」

書記官が低く呟く。
「影の組織の幹部の一人……。」

カイルは面白がるように言った。
「公爵令嬢がわざわざこんな場所まで足を運ぶとは、思ってもみなかったよ。」

マリアンヌは鋭く剣を構えた。
「あなたたちの悪事を暴くためよ。王宮の腐敗も、すべて明らかにする。」

カイルは笑った。
「ほう、それは面白い。だが……その証拠を持ち帰れると思うな。」

彼が指を鳴らすと、周囲の影の中から数人の黒装束の兵士が姿を現した。

「待ち伏せされていた……!」

リナが息を呑む。

マリアンヌは剣を握り直し、リナと書記官に小声で言った。
「戦うしかないわ。覚悟して。」




影の兵士たちは一斉に襲いかかってきた。マリアンヌは素早く身を翻し、最初の敵の攻撃をかわす。剣を振るい、確実に一人を倒す。

書記官も短剣を手に応戦し、リナも懸命に戦っていた。

「リナ、下がって!囲まれないように!」

マリアンヌの指示に従いながら、リナは慎重に動く。

だが、戦いの最中、カイルが何かを呟いた。

「さて、そろそろ潮時か……。」

彼は懐から何かを取り出し、床に投げつけた。瞬間、白い煙が地下室を満たす。

「煙幕!?くっ……視界が……!」

マリアンヌが煙の中で剣を構えたまま警戒する。しかし、煙が晴れた時、カイルの姿はすでになかった。




「逃げられた……!」

マリアンヌは悔しげに言った。だが、辺りを見回すと、まだ書類が残っていた。

書記官が急いで書類を確認する。
「完全に処分する時間はなかったようですね。重要な手掛かりが残っているかもしれません。」

リナが小さく呟く。
「でも、あの男がここを管理していたということは……やっぱり影の組織は王宮の内部にも深く入り込んでいる……。」

マリアンヌは剣を収め、書類を抱えながら決意を固めた。

「今度こそ、この証拠を持ち帰ってすべてを明らかにする。」



地下室を後にするマリアンヌたちの背後で、蝋燭の炎がゆらめいていた。

影の組織の秘密に触れたことで、彼女たちはさらなる危険の渦中に足を踏み入れてしまったのかもしれない。









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