41 / 57
第3章 陰謀と裏切り
第39話 扉の先にある真実
しおりを挟む重々しい鉄の扉を前に、マリアンヌは深呼吸をして剣を握り直した。
「この先に何があるか分からないけど、必ず確かめるわ。」
リナと書記官もそれぞれ武器を構え、頷く。
「影の組織の核心部分があるなら、この扉の向こうだと思います。」書記官が静かに言った。
マリアンヌは扉に手をかけ、力を込めてゆっくりと押し開いた。
扉の向こうには、広々とした地下室が広がっていた。かつては倉庫として使われていたのか、壁沿いには古びた棚が並び、中央には長机が置かれている。だが、その机の上には明らかに最近まで使われていた書類が積まれていた。
「これは……資金の流れを示す帳簿?」
マリアンヌは素早く書類に目を通した。その内容は驚くべきものだった。
「王宮の高官が影の組織と繋がっている証拠……?」
リナが怯えた声で言う。
「この名前……王宮の財務局だけじゃない。他の部署の名前も記載されています……。」
書記官が眉をひそめ、ある書類を取り上げた。
「これは……軍の補給物資の流れです。王宮内だけではなく、軍の一部にも影響があるということか。」
マリアンヌは書類を握りしめながら、状況の深刻さを噛みしめた。
「つまり、王国の中枢の一部が影の組織と繋がっている……。」
その瞬間、背後で物音がした。
「誰かいるわ!」
マリアンヌはすぐに剣を構えた。暗闇の奥から、ゆっくりと足音が響く。
「おやおや。ここまで辿り着くとは、大したものだな。」
姿を現したのは、黒いローブを纏った男だった。鋭い目つきと不敵な笑みが特徴的で、彼はゆっくりと歩み寄ってきた。
「お前は……?」
マリアンヌが問いかけると、男は静かに名乗った。
「私の名はカイル。この拠点を管理している者だ。」
書記官が低く呟く。
「影の組織の幹部の一人……。」
カイルは面白がるように言った。
「公爵令嬢がわざわざこんな場所まで足を運ぶとは、思ってもみなかったよ。」
マリアンヌは鋭く剣を構えた。
「あなたたちの悪事を暴くためよ。王宮の腐敗も、すべて明らかにする。」
カイルは笑った。
「ほう、それは面白い。だが……その証拠を持ち帰れると思うな。」
彼が指を鳴らすと、周囲の影の中から数人の黒装束の兵士が姿を現した。
「待ち伏せされていた……!」
リナが息を呑む。
マリアンヌは剣を握り直し、リナと書記官に小声で言った。
「戦うしかないわ。覚悟して。」
影の兵士たちは一斉に襲いかかってきた。マリアンヌは素早く身を翻し、最初の敵の攻撃をかわす。剣を振るい、確実に一人を倒す。
書記官も短剣を手に応戦し、リナも懸命に戦っていた。
「リナ、下がって!囲まれないように!」
マリアンヌの指示に従いながら、リナは慎重に動く。
だが、戦いの最中、カイルが何かを呟いた。
「さて、そろそろ潮時か……。」
彼は懐から何かを取り出し、床に投げつけた。瞬間、白い煙が地下室を満たす。
「煙幕!?くっ……視界が……!」
マリアンヌが煙の中で剣を構えたまま警戒する。しかし、煙が晴れた時、カイルの姿はすでになかった。
「逃げられた……!」
マリアンヌは悔しげに言った。だが、辺りを見回すと、まだ書類が残っていた。
書記官が急いで書類を確認する。
「完全に処分する時間はなかったようですね。重要な手掛かりが残っているかもしれません。」
リナが小さく呟く。
「でも、あの男がここを管理していたということは……やっぱり影の組織は王宮の内部にも深く入り込んでいる……。」
マリアンヌは剣を収め、書類を抱えながら決意を固めた。
「今度こそ、この証拠を持ち帰ってすべてを明らかにする。」
地下室を後にするマリアンヌたちの背後で、蝋燭の炎がゆらめいていた。
影の組織の秘密に触れたことで、彼女たちはさらなる危険の渦中に足を踏み入れてしまったのかもしれない。
9
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪意には悪意で
12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。
私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。
ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。
欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜
水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。
魔王乱立の時代。
王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。
だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。
にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。
抗議はしない。
訂正もしない。
ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。
――それが、誰にとっての不合格なのか。
まだ、誰も気づいていない。
欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。
あなたが愛人を作るのなら
あんど もあ
ファンタジー
結婚して八年の夫が、愛人を作った。それも私の推しの女優を! 「君と違って彼女には才能がある」と言う。ならば、私も才能のある愛人を持つ事にいたしましょう。愛人の才能を花開かせる事が出来るのはどちら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる