最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職

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第7話 パーン

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第7話 パーン

 パーン、パーン。


 パーンッ!!


 アハハハハハハハハッ!

 つっよおぉ!

 強すぎて匙加減が分からーん。


「こりゃあ別の意味でコボルトの肉集めるのしんどいな」


 ダンジョン『NO2』1階層。

 あれだけ1匹倒すのに苦労していたコボルトが強めに叩いただけで、面白いくらいに破裂しております。


 肉片がそこかしらに飛び散って、顔は返り血でドロドロだ。

 店長からの注文品はコボルトの全身死体。


 こんなに簡単に破裂されたら倒すより全身をそのまま残して持ち帰る方が難しいって。


「うーん……。だったらこれでどうだ?」


 俺は逃げようと後ろを向いたコボルトを見つけると、さっと近づいてデコピンならぬ後ろ頭ピンを力半分で決めた。


 するとコボルトは身体をビクンと跳ねらせて、地面に転がった。


 DEATHの表記もあるし間違いなく殺せているんだけど……何かちょろ過ぎて倒したっていう実感が沸かないな。


「まぁいいや。取りあえずこいつをしまってと……あーもう見当たらなくなったか」


 ついつい殺しすぎたせいでこの辺のコボルトは見当たらなくなってしまった。


 となれば次の作業はあの道の封鎖だな。


「――お、あったあった」


 少し歩いた所に昨日の状態のままの進入禁止入り口があった。


 進入禁止の立て看板が脱出の時に直したままの位置にある。

 あの後ここに入った人はいなさそうだ。


「じゃあサクッと塞ぎますかっ! 通路の壁でも壊して岩を――」



「がるぅ……」



 進入禁止の道の入り口を抜けて作業に取りかかろうとすると、奥から聞き覚えのある鳴き声が響いてきた。


声の大きさからしてそこそこ距離は離れていそうだけど……。


「念には念を、てね。人間の安心安全の為、俺の狩り場維持の為に大人しく殺されてくれ」





道を塞ぐ岩の右端に匍匐前進で人が通れるほどの隙間が空いている。


昨日ここを通して倒れた2人を運んだんだっけ。


「よっと」


俺はうつ伏せの状態になるとその隙間からまず中の様子を見る。


「うわぁ、いるなぁ」


毛むくじゃらの脚がそこら中を動き回っている。


昨日の俺がここで戦った事でモンスターを発生させるべき場所と認識された?


原因は分からないが、取りあえずこのコボルト達も殺しておこう。


「――がっ?」

「わっ!?」


そのまま隙間を進み向こう側に出ようとすると正面の隙間にすっぽりとコボルトの口が埋まってしまった。


どうやら俺の存在に気づいたらしい。


それにしてもこのコボルト……何かでかくない?


「道空けろっ! うらぁっ!」


俺は1度後ろに下がり立ち上がると、その隙間の少し奥を狙って思いっ切り蹴りを繰り出した。


爪先にコボルトの鼻の感触を感じたけど、それは一瞬。


さっきまで殺していたコボルトと同じでパーンと清々しい音を立てコボルトの鼻はどこへやら、消えてしまったようだ。


久々にこんなに勢い良く蹴りをかましてちょっとだけ太股に違和感が。

動いてるつもりだけど、この歳になるとどうしても……。


「いやいやいや、あれから10年、歳はとったが今の俺にはヤバいステータスがある。32歳でも突っ走ってくぜ!」


自分を鼓舞して向こう側に出る。


さぁコボルトの10、20位俺がぶっ飛ばして――


「「「がっ!」」」

「……えーっと、もしかしてここに発生するのって全部お前なの?」


見渡す限りのでかいコボルト達、小さいコボルトの姿は見えない。


蹴り飛ばしたコボルトの大きさからなんとなく予想はしてたけど、ここコボルト【RR】の群生地か。


「きっと放っておいたらここの岩を退けられてマジで外がヤバかったかもな。ただ俺からしたらラッキーでしかないけど」

「「「が、あ」」」


俺が舌舐めずりをして1歩また1歩近づく度、コボルト【RR】達は震えながらゆっくりと後退りする。


さっき仲間をぶっ飛ばしたのが大分恐怖心を煽ったらしい。


ふふ。

いつもいつも反抗的に、俺を餌とでも思っているかのように襲ってきていたあのコボルトしかも【RR】で群れをこんな風に脅せる時が来るなんて……。


「さて、どいつから殺して、どいつを俺の腹に納めてやろうかな」


俺は昨日食べた焼肉を思い出しながら両手を組み、ヤンキー漫画の見よう見まねでパキパキと音を鳴らして見せたのだった。
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