最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職

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第24話 余計な事を言いおってからにぃぃいいいいいいいっ!!!

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「ふぅ……これでここが使えるようになったかな。ありがとう小鳥遊君」

「はは、店長と景さんの驚く顔が目に浮かびますね」


 養殖場に本格的に客席を作り始めてから約2週間。

 

 コボルトとゴブリンから得た魔石と俺がダンジョンに潜って手に入れた魔石でようやく必要なものが一通り揃ってここを客席として開放出来そうな所までこぎつけた。


 店長と景さんにはここを秘密にしたかったから、ゴブリンの用の部屋を肉を捌く部屋にして、コボルトのいる部屋にゴブリンが発生するようにした。


 設備の配置に関しては今横にいる小鳥遊君に相談。

 ここをサプライズで見せたいという俺の要望を応えるべく、細江君は捌き係を買って出て、肉の捌き方を休日返上で学び、今は店長や景さんの代役さえ務め、ここの進展、状況を勘付かれる可能性を減らしてくれた。


 細江君や小鳥遊君が慕ってくれているのからってちょっと甘えすぎてしまったかもしれないけど、その分いいな所が出来たんじゃないか?


「コボもありがとな、ゴブリンとコボルト両方の面倒を見て大変だったろ?」

「いやぁまぁ……でもゴブリンの基本性能がコボルトより低かったんで良かったですよ。ゴブリンが増えすぎてもコボルトがガンガン殺してくれるんで。ただ、ゴブリンを育てるのは厄介でしたね。あいつらちょっと頭が悪すぎて……。同じモンスターとして恥ずかしい限りっすわ。もっと喋ったり、相手の強さを見極めてへりくだったりしないと」


 腕を組みながらゴブリン育成の愚痴を溢すコボ。


 いや、多分ゴブリンが普通でお前が異常なだけな気はするけど……。


「でも結局ゴブリンを『ジェネラル』までは育てられたんだから、お前の育成手腕も上がったって事だな」

「ゴブリンみたいな奴、まぁ俺達も何ですけど、群れで狩りをする習性のあるモンスターはリーダーを作ってやれば簡単って分かりましたんで。『ジェネラル』1匹をこしらえた時点でシステムは完成でしたよ」


 得意げな顔がちょっと鼻につくな。


 でも実績はあるし、今日くらいは威張らせてやるか。


「そういえばコボルトは【RR】とかっていう表記なのにゴブリンは『ジェネラル』とか名前が違うのはなんでなんだ?」

「あー、それは僕が教えてあげます。コボルトはコボルトという名前、種類で、強さに大きなばらつきがあるから【RR】などのクラス分けがあるんです。一定まで達してその枠に収まりきらない個体であれば、大幅に姿を変えて名前も変わるはずです。多分コボはもうコボルトではなく違う呼称が付いているはずですよ」

「なるほどねえ。じゃあ逆にゴブリンっていう種類はどこまで行っても強さが均等だから【RR】みたいな表記がないんだ」

「それもありますけど、ゴブリンの方が大幅に変化する、これを進化って呼ぶんですけど、その回数が多い事と進化までの条件が緩い事が原因って言われてますね」


 光に包まれて身体が大きくなっても、【RR】等のクラス分けがされる間は『進化』っていう扱いじゃないのか。


 なんかややこしいな。


「そんな事よりも早く2人を呼びましょう! そろそろ食後の休み時間も終わりますって!」

「そうだね、えーっとじゃあ呼んでくるから。あ、コボは養殖部屋の扉を閉めておいてくれ。ゴブリンの方はたまにこっちに来ようとするから」

「あいつら……出たところで弱い個体だとすぐ衰弱して死ぬ事を理解出来ないのかぁ」


 呆れたようなコボの声を聞きながら俺は休憩室に繋がる階段がある肉を捌く用の部屋に足を踏み入れた。


 すると……。


「いやーすいません。ちょっと早めに来ちゃったっていうのに中に入れてもらっちゃって」

「いやいやいや、お構いなくお構いなく。あ、宮下! お客さんが来たからお茶の準備をしてくれ」

「あ、宮下さんお久しぶりです」

「雅さん……。あれ、昨日連絡したよりも大分早いですね」

「いや、夜は店長さんが疲れちゃうと思って……そんなに時間はかからないと思うので」


 現れたのは店長、雅さん、景さん。


 本当は今日の夜の営業時間後に来てもらうはずだったんだけど、雅さんなりに気を使って早めに来てくれたらしい。


 もしかして連絡の変更……あー来てたの気付かなかった。


「すみません、連絡気付けば出迎え位行ったんですけど……」

「いえ、店の前を掃除してた女の子と面識があって中に入れてもらえたので」

「そうでしたか、じゃあ奥に席があるので店長と景さんも早くこっちに来てください。実はここの内装をですね――」


 気付いてしまった。


 店長と雅さんが親し気にしているのに景さんだけが俺に冷たい視線を送っている事に。


 あっれー俺なんかしたかな?


「宮下君、一ノ瀬さんの事を名前で呼んでるんだ。しかも連絡先も交換して……店の関係者になるかもしれない方なのに、なんで私には話してくれてなかったの?」

「ええっと、それは最近ダンジョンに潜る機会が増えてタイミングが……。それに店長から雅さ――一ノ瀬さんの事は聞いてると思って」

「ふーん……。それで2人は仲がいいんですか?」


 ふーんって……。


 ヤバいこんな冷たい態度の景さんを見た事が無い。


 これは今、早急に何とかしないと!


「たった1回会っただけで、そんなにですよ! 10年間同じ店の人間として働いてきて、しかも恩人の景さん以上に仲がいい人なんていないですし、俺なんかが一ノ瀬さんと関係どうこうっていう話をするのはおこがましいってレベルです!」

「そう、だね。私も宮下君が1番、か――」

「でも、宮下さんの『アレ』見ましたよ。それに私、下着を見られました。これってもう裸の付き合いをした仲って事じゃないですか?」



 こんの人、いーや痴女が余計な事を言いおってからにぃぃいいいいいいいっ!!!

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