最速レベルアップはダンジョン飯バフで!~ハズレスキル《料理強化》が実は経験値取得量増加のバフが可能な最強スキルでした!~

ある中管理職

文字の大きさ
4 / 53

4話 初めての階層主

しおりを挟む
「ぶ、も、ぶもおぉ……」

 息を切らしながら発する低い呻き声、3mほどの巨体、赤く見るからに分厚い皮膚、研磨したのかと疑ってしまうくらい尖った2本の角は血で汚れている。

 考えたくはないけど、こいつ人間を殺したばかりか?

「はは……。アルミラージなんかとは比較にならないな。こっえぇ」
「はぁ、はぁはぁ……。そ、そりゃああいつ怒り心頭だからな。寝込みを襲ったのが悪かったのか、それともこの尻尾が原因か、とにかく『手駒』を準備する時間はない。あいつ、自分が疲れてるからって俺たちが自分に害のない、つまりは喋ってるこの時間はのそのそ動いているが、逃げようとしたり、スキルや魔法を発動させようとすればまた勢いよく襲ってくるつもりだ。というか馬鹿だぞ、お前。なんで俺なんかと合流したんだよ」
「あ、足が竦んで」

 ミノタウロス。
 その姿をとらえてから俺の身体は金縛りにあったかのように硬直。
 そこそこ距離はあったはずなのにいつの間にか男と合流してしまった。

 それだけミノタウロスの放つプレッシャーは凄い。

「まぁあんなしょぼいステータスだったら分からんでもないけど。……はぁ。『召喚師』って職業柄俺もあんまり直接殴り合うってのは苦手なんだけど……。生き残るにはこれしかない、か。おいうすのろ! ここらで決着付けてやるよ」

 男はここまで階層主を連れてきてしまったことに罪悪感を感じているのかミノタウロスのもとに突っ込んでいった。
 流石にあの難関試験を突破しただけあって、まだまだその動きは軽快でスタミナもありそうだが……

「ぶもっ!」
「は、っや! やっぱ俺、向いてねえって!」

 ミノタウロスはそんな男の動きに動じることなく、的確にその手に持つこん棒を振るう。

 男はそれをギリギリのところで躱しているように見えるが、服は破れ、肌には切り傷が。

攻撃に転じる余裕はなく、このままだと男はいつか殺される。
 そう悟った瞬間だった。

 ミノタウロスが男ではなく俺を見たのだ。

「ぶ、も……。ぶもおおおおおおおおおお!!」
「な、に?」
「もしかしてパッシブスキルのせい、か?」

 攻撃を止め、俺のもとに向かってくるミノタウロス。
 男はそれを引き留めようとしたが、無駄に終わる。

 そして恐怖心で固まる俺にミノタウロスの角がだんだんと近づき、俺の身体を貫き……はしない。

「ぶも?」
「おいおいおい! マジかよ……。一体どうなってんだ?」
「痛いけど……た、助かった」

 ミノタウロスの攻撃によって尻もちをつかされはしたものの、致命傷には至らなかった。

 痛みの度合いを例えるなら突き指した時くらいかな。
 スライム食っといて本当に良かった。

「これなら……。おい! ここから俺とお前、2人で逃げられるよう特別に1匹召喚してやる! それまで時間を稼いでくれ!」
「え? それって……」
「ミノタウロスの尻尾を触媒に召喚を発動……召喚まで残り10分」

 その場に座り込んだと思えば目を閉じて動かなくなった男。

 ミノタウロスはそんな男に目もくれず、今度はこん棒を使って俺に攻撃を仕掛けてきた。

「ぶもおおおっ!」
「よし! もう、戦える!」

 攻撃を喰らっても死なないという安心。
 それが俺から恐怖心を払拭してくれ、今度は容易に攻撃を躱すことができた。

 レベルが上がったからなのか、身体は軽く感じるし、むしろ今まで以上に冷静に戦闘ができているかもしれない。
 思えばさっきまでの戦闘は全てごり押しでどうしようもないものだった。

 だけど俺だって10年間鍛えに鍛えて、素の運動能力は高いはず。
 冷静になればこれくらいできて当然だ。

「喰らえ!」
「ぶも!?」

 ミノタウロスの動きはよく見れば単調で読みやすい。
 俺は隙をついてミノタウロスの脇腹にさっきまで食事用で使っていたサバイバルナイフを突き刺した。

 戦闘用の武器として配布された剣もあるが、あれは俺には重すぎて、特にこういったスピードを求められる戦闘に使うことはできそうにない。
 
 やっぱり俺にはこのナイフくらいコンパクトなものが武器として都合がいいらしい。


「――ぶもぉおおぉぉっ!」
「はぁはぁはぁ! こん棒はもう当たらない! それに、その角も! だから、もうあきらめろって!」

 ちくちくちくちくサバイバルナイフでダメージを与えているはずなのに、ミノタウロスの攻撃は止まらない。
 
 興奮のせいでもう自分が疲れていることすら忘れているのか?
 ともあれ、これがまだまだ続くようなら今度は俺のスタミナが切れて……攻撃力がまだ低いせいで俺はやられる。

 俺のスタミナ切れが先か、ミノタウロスの絶命が先か……。

「そんなチキンレース……。くそ! こいつ、早くくたばれって――」
「料理の奴! これで2人とも逃げれるぞ! 召喚レベル3……亜人種!」

 俺がミノタウロスにもう一撃入れようとした時、とうとう座り込んでいた男は口を開き……その足元に魔法陣を映した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア
ファンタジー
HOTランキング1位ありがとうございます! 2000年代初頭。 突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。 しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。 人類とダンジョンが共存して数十年。 元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。 なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。 これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。

実家にガチャが来たそしてダンジョンが出来た ~スキルを沢山獲得してこの世界で最強になるようです~

仮実谷 望
ファンタジー
とあるサイトを眺めていると隠しリンクを踏んでしまう。主人公はそのサイトでガチャを廻してしまうとサイトからガチャが家に来た。突然の不可思議現象に戸惑うがすぐに納得する。そしてガチャから引いたダンジョンの芽がダンジョンになりダンジョンに入ることになる。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

処理中です...