最速レベルアップはダンジョン飯バフで!~ハズレスキル《料理強化》が実は経験値取得量増加のバフが可能な最強スキルでした!~

ある中管理職

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16話 報酬

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「勝手に決めないでもらえるかしら? それに……今の私なら私たちなら勝て――」
「一応レベルがバレないようにプロテクトの魔法を掛けてもらってはいるけど……。今の攻防で実力差に気づけないっていうのが既に未熟な証」
「いいから、続きをするわよ!」
「おいミークっ!」

 パッシブスキルの『赤い衝動』は高い攻撃力を手に入れる対価として過度な興奮状態を招いてしまうらしい。

 今の一撃で出しきったからか、身体は咄嗟に動いてくれない。
 ならこれを引き留めるためにも……

「『威圧』――」
「『抑圧解放:フェーズ0』」 

 俺がスキルを発動させたと同時に荒井さんも何か呟いた。

「くっ……これ、は……」
「はぁはぁはぁはぁ……。うっ、おえ゛っ……」

 すると、俺の放った『威圧』は即座により強い殺気で塗り替えられ、ミークや他の探索者は嗚咽を漏らし始めた。

 恐怖から自分の中で何かが競り上がってくるこの感じ……。

 もはや俺たちと荒井さんの立場は敵同士なんか生易しいものじゃない、例えるなら人と家畜とかそれくらいの……。

「ふぅ……。ちょっと脅かしすぎたか?」
「やりすぎです」
「でも実際上のモンスターはこれどころの殺気じゃないんだから。今のうちに慣れとくのは悪くないだろ?」
「それは……。はぁ。【波】の詳細がバレた後だといっそのこと荒井さんのやり方が正しく思えてきましたよ」
「だろ? 私はしばらく上で待ってるからさ、まずは全員が2階層に侵入できるようにレベル上げ。そっからは私の方で色々と準備しておくから。今日のところは一先ず解散。どうせお前ら、もう今日は戦えないだろ? 」

 そう告げて辺りを見回す荒井さん。

 確かにここにいる同期の探索者は全員グロッキー。
 明日からもダンジョンにこれるかどうかすら怪しい。

「あっ! そうだそうだ。お前に約束のやつ渡さないとだな。何がいいかなぁ……。うーん……。これなんてどうだ?」

 荒井さんは俺のもとに近づくと、ステータス画面を見ながら悩む仕草を見せると、大体バスケットボールくらいのグロテスクな肉の塊をアイテムポケットから取り出した。

「イグニールっていうモンスターの心臓だ。10階層に出てくるモンスターで、武器職人のやつに渡せばそれなりの武器になる。売ると手取りで30万いくかいかないかくらいだったかな?」
「30万!?」
「私こっちの金銭感覚が分からないんだけど、その驚きかたから察するにとんでもない額なのよね?」
「高いけど驚きすぎって感じ。それくらいの階層まで進めばこのくらい当たり前に手に入るから。あんなに脅かしたが……いいだろ、探索者ってのは。そんじゃあな。他は分からんけど、お前らは絶対明日もダンジョンにこいよ。楽しみにしてるからな」

 そう言って去っていった荒井さん。

 嵐のような時間がようやく終わり、緊張からの緩和で気が抜けた探索者たちのほとんどはほっと肩を撫で下ろす。

 ただ気が抜けて嘔吐する人、失禁する人もちらほら見受けられるけど……。

「帰る、か……。痛ぅ……。明日これダンジョンに侵入できるかな?」
「肩貸すわ。私はなんだかんだダメージないから」
「助かる。……。ミークは、あんまり無理はしなくていいから。俺と違って探索者ってわけでもないし、これに付き合う必要もないだろうからさ」
「それはそうかもしれないけど……。あれにやられっぱなしなのは癪に触るわ。それに生活費を稼ぐにはあれをカモにして……。特訓、悪くないじゃない」

 不適な笑みを浮かべるミークに若干恐ろしさを感じつつも俺たちはゆっくりと帰路に着いたのだった。
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